第278話 ガブキング戦!1

文字数 1,356文字



 ええー? いきなりボス戦?
 朝イチでボス戦?
 やだなぁ。なえるよ。

 ガブキングは前にザコで出たガブガブ草の大きいのだ。
 クネクネする触手がいっぱいあって、するどい歯でガブガブしてくる花の数も多い。花の色は毒々しい黒まじりの紫。

「ぽよちゃん、戦うよ? バランも帰ってきてよ?」

 ダメだ。ぽよちゃん聞いてない。夢中で、ぽよぽよ草をムシャムシャしてる。そんなに美味いのか? 同じく、くぽちゃんもぽよぽよ草しか見えてない。したがって、バランも戦闘に参加できない。
 ああ……主戦力がぁー!

「しょうがないね。今回は、ぽよちゃんとバランなしで戦おうか」
「そげだねぇ」

 というわけで、こっちの戦闘メンバーは、蘭さん、僕、アンドーくん、くまりん、NPCのスズラン。
 まあ、バランの薔薇がないのは残念だけど、ステータス的にはそんなに苦戦するメンバーじゃない。

 がぜん、蘭さんはやる気になった。

「メンバーがたりないぶん、がんばりましょう! みんな、がんばろ〜!」

 あっ、久々に見たなぁ。
 蘭さんの可愛いガッツポーズ。
 ここんとこずっとドレス姿のままなんで、ハートを持っていかれる。
 ズッキュン!

 蘭さんは『みんな、がんばろ〜』の重ねがけ。でも、行動が二回しかなかった。
 ん? 二回?
 も、もしかして……速いのか?
 このモンスター。
 蘭さんの素早さで二回ってことは、ふつうのモンスターにくらべて二倍の速さってことだ。

「アンドーくん。みんな巻きのほうがいいかも」
「わかった。みんな、巻きで行こう〜!」

 次は僕か。
 素早さ98になってるからな。
 遊び人のせいで、全ステータスがマイナス補正10%かかってるけど。

 いきなり傭兵呼びかな?
 でも、聞き耳してないから、敵がどんな技を使うのかわからない。カウンターとか持ってるとヤバイ。
 とりあえず、ここはようす見だ。

 ガブガブ草は根っこを切られると、あっけなく倒れたっけ。
 こいつもガブガブ草の大きなヤツだから、きっと弱点は同じはずだ。
 僕は走っていって、精霊王のレプリカ剣を横なぎに——ん?
 おかしいな。
 なんでだろう? たしかに根っこを狙ったのに、届いてない。
 変だなぁ。目測をあやまったかな?

 しょうがないんで、僕は自分の位置まで帰っていく。最終走者じゃないんで、そのままモンスターの攻撃くらう心配なくなったのは嬉しい。

 クマりんは容赦なく、パパを呼んだ。
「ま〜!」
 呼び声とともに、水色のテディーキングが現れる。
 あっ、キング対キングだ。

 ちなみに、テディーパパキングのステータスはっと。
 レベルは20か。
 HP1500、MP150、力550、体力550、知力150、素早さ150、器用さ150、幸運100。

 んー? 思ったより低い?
 レベル10のテディーキングのステータスが衝撃すぎたか。
 まあ、力550でも充分にすごい。
 レベル50のワレスさん並み。
 それに、テディーキングが使う『がおー』って魔法は、炎系のブレスだ。木属性のガブガブ草は炎が大の苦手だった。

 楽勝、楽勝と安心したんだけど。
 あれ? テディーキングのようすが変だぞ? あばれるを使ってるんだよな?
 両手の交互ラッシュ。
 だけど、ぜんぜんパンチがあたってない?

 ま、まさか……ガブキング。
 こいつ、全部よけてるのかっ?
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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