第226話 ポルッカ戦!4

文字数 1,432文字



 石になっても、まわりのことは見えている。
 不思議だなぁ。
 たぶん、みんなには僕が石像にしか見えないんだろうなぁ。

「困ったな。かーくん石になったで。馬車のメンバー、出したほうがええんちゃうか?」
「わが出ぇよ? わなら隠れ身でターゲットにならんけんね」

 三村くんとアンドーくんが言うんだけど、蘭さんは思案顔。
 そして、蘭さんは言った。

「待って。もう1ターンだけ、このままで。バラン。守るは一回発動したら、戦闘の終わりまで続くの?」
「いいえ。効果は3ターンです」
「じゃあ、今と次のターンは続くんだね。なら、バランとシャケはケロよんを倒して。もし、攻撃回数があまったら、ポルッカさんを攻撃」
「わかりました」

 三村くんがおどろいてる。

「ええんか? バジリスク隊長は?」
「バジリスク隊長の石化攻撃はバランの守るでふせげます。あとまわしでもいい。やっかいなのは守るでふせげないケロよんだ。ケロよんをこれ以上呼ばれる前に、ポルッカさんを戦闘不能にしないと」

 ああ、やっぱり、蘭さんは勇者だ。
 それに冷静だよね。
 現実の蘭さんと同じ気質。
 たしかに、毎ターン二匹ずつケロよんが増えていくと、最終的に戦えるのが、三村くんとバランだけになってしまう。
 もしかしたら、クルウは天使の羽飾りを装備してるのかもしれないけど、あいかわらず、僕らの戦いぶりをながめてるからなぁ。そんなに観察しなくてもよくない? ちょちょっと剣の舞してくれたらいいのに。

「わかった。ほなら、ケロよん優先な。かーくんはあのままなんか?」
「一人ずつ石にされたら大変なので。少しのあいだ、盾になっていてもらいましょう。ポルッカさんが倒れるまでは」

 ぐすん……。

 バランの薔薇のあと、蘭さん四連打!
 続けざまにポルッカさんを打った。
 ああ、お年よりにヒドイことを。
 でも、こうしないとヤドリギのカケラが出てこないんだよね。

 ポルッカさんは「ギャー!」と悲鳴をあげて、うずくまった。
 でも、まだ倒れない。
 聞き耳してないから、どのていどHP残ってるのか見当もつかないけど、かなり効いてる。HPはあんまり高くない。
 そう言えば、アンドーくんのときも倒すのに長いターンはかからなかったな。

 続いて、バランの攻撃。
 二連続攻撃で、ケロよんを一匹倒し、一匹は攻撃したけど倒れなかった。残った一匹は三村くんがケリをつける。

 でも、これじゃ、さっきのターンと状況は変わらない。
 とりあえず、僕を交代させて、アンドーくんを出せばよかったのに。

 敵のターンに移った。
 バジリスク隊長が攻撃してくる。
 バランが守るとかばうで一身に受ける。守るのカウンターでバジリスク隊長Aに100ダメージ。
 じわじわとHPを減らしてはいるんだけど、それはこっちもいっしょだ。
 バランのHPがちょっとずつ減っている。次のターンでは回復しないと、バランが倒れたら、パーティーの盾がいなくなるよ?

 ポルッカさんは、またまた叫んだ。やっぱりそうだ。この人、仲間呼びしか行動しないんだ。

「誰かー! 来ておくれー! 誰かー! 来ておくれー!」

 あれ? 同じこと二回言わなかったか?
 そう思った瞬間、ケロよんたちがやってきた。ケロよんC、D、E、Fだ。
 よ、四体も来たー!
 増殖しすぎだよ。
 ポルッカさんを中心に、両脇にバジリスク隊長とケロよん二体ずつが左右に!
 これ、もう終わったんじゃない?
 さすがに四回もケロよんの自動石化攻撃くらったら……ああ、全滅が見えてきた。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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