第167話  どこまでも続く袋小路

文字数 1,253文字



 とにかくまあ、仲間の活躍で、なんとか勝てた。
 変な実験場の地下だからか、出てくるモンスターがみんな可愛くない。
 どうするんだよ?
 タグに“可愛いモンスターいっぱい”って入れちゃってるのに、ぜんぜん可愛い子が出てこないじゃないか?

 出てくるのは、すてられた死体と、ブッキーと、這いよるヘドロとか、ヘドロスライムとかだ。ヘドロスライムはナメクジっぽいやつね。
 あーあ、前にコビット村のあった虹の谷に出てきた、クリスタルスライムはキレイだったなぁ。
 まあ、ブッキーがかなりの率で出てくるんで、魔法カード集めにはちょうどいいんだけど。

「それにしても広いね。枝道と袋小路ばっかりで、ぜんぜん出口が見つからない」
「兄ちゃん。オレ、疲れた」
「ちょっと休もうか」

 幸いにして、二メートル四方くらいの石畳の空間があった。
 僕らはそこに座りこんだ。
 ここでゴマ塩味のクラッカーを食べながら休憩する。

 僕はスマホでここにいたるまでの経緯を小説に書きこんだ。
 ついでに自分のステータスを見なおした。僕のレベルは22になっていた。おやおや。いつのまに。まあ、あれだけ戦ってきたんだから当然か。

 レベル22の僕の数値。
 HP211『3』、MP165『3』、力59(64)、体力56(61)、知力110、素早さ63、器用さ92、幸運99998。
『』内の数値はつまみ食いによって得た効果。

 ん? なんだ? この『』内の数値はつまみ食いによって得た効果ってのは?
 そういえば、ピンチのときに二回ほど、ストローでチューチューしたっけな。まさか、あれか?
 も、もしかして、ほんとにモンスターからステータス奪いとったのかっ?

 す、すごい。
 そんなバカなと思って本気にしてなかったけど、この得意技、ほんとに使えるんだ? いいんだ? こんなんしたら、マジで強くなっちゃうよ?
 できれば、数値の低い力とか体力が上がれば嬉しいんだけどなぁ。

 よし。今度からは積極的に使っていこう。ストローチューチュー作戦だ。チューチューにターン一回ぶん消費しちゃうから、ギリギリの戦いのときにはできない。楽勝できそうなときにやろう。今で言うなら、ブッキーだけで出てきたときとか。
 できることなら、死体やヘドロからは吸いたくない。ステータスになってしまえば、ただの数字なんだろうけど、気持ちの問題として、なんかイヤ。

 あっ? これって逆に強い敵からチューチューしたら、そいつのステータスを根本的に下げられるんじゃないか?
 まあ、戦闘中一回しか使えないから、戦闘の大局には関係ないか。これが何回も吸えるようになれば、ものすごくいやらしいステ下げ技として使えるんだけど。

 これだけでも、ふっひっひっなんだけど、僕は続けてマジックをながめて気づいた。

 マジック
 元気になれ〜ヽ(*´∀`)
 もっと元気になれ〜ヽ(*´∀`)
 毒よ消えろ〜(^ー^)ノ☆︎*.。
 呪いよ、消えされ〜(-_- )ノ⌒︎。

“呪いよ、消えされ”が使えるようになってる!
 これで装備品の呪いが解けるぞッ!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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