第148話 二階には何があるのかな?

文字数 995文字



 ぽよちゃんをずっと抱っこしてると僕の戦闘力が落ちるので、しょうがなく、ミャーコポシェットに入れた。ポシェットのチャックをちょっと開けたままにして、ぽよちゃんの前足と頭をそこから出しておく。ミャーコの頭の上にぽよちゃんの頭が乗っかる感じ。

 玄関ホールの裏側は、表側ほどではないけど、ちょっと広い空間になっている。プチホールだ。そして、二階の踊り場につながっていくカーブを描いた階段があった。ここから二階に上がっていくしかないようだ。

「あっ、ちょっと待って。今のうちに、ここがどこなのか確認してみるから」

 ミャーコポシェットに手をつっこんで、魔法の地図をとりだしてみる。
 自分のいる現在地には赤い点がピコピコしている。

 なんだ、こりゃ?
 僕ら、海のどまんなかにいることになってるんですけど?
 地図で言えば、右上の端の端のほうに、かろうじて点がおさまっている。そこに大地は描かれていない。

「ここが島ってことかな?」
「そげだないの?」

 鉛筆。鉛筆。シャーペンでもボールペンでもいいんだけど。なんか描くものないかな。
 ないよね。買ってないもんね。
 しょうがなく、スマホでピコピコしてる赤い点とその周囲を写真に撮っておく。次にここに来るときのために、ちゃんと記録しとかないとね。

「じゃあ、二階に行こうか」
「うん」

 今のところ視野にはモンスターの影はない。
 エンカウントするモンスターっていうのは、ふだん見えないくせに、いきなり姿を現わすからビックリするんだよね。

 そっと階段をあがる。
 階段の手すりも崩れかけてる。
 やっと二階の踊り場に来た。
 まだエンカウントしない。

 ここからは細いろうかと小さな部屋がならんでいた。

「部屋のなかにはモンスターがおうけんね」
「そうなんだ」
「でも、宝箱はいろんなとこにあったよ」
「えッ? そうなんだ?」

 それは回収しないと。
 海鳴りのハープみたいな貴重な武器や防具もあるかもしれないし。

 一番近い部屋の扉をあける。
 なかは図書室のようになっていた。
 モンスターが本を読むんだろうか?
 むしょうに興味が湧いてくる。

 僕は図書室のなかに入っていった。
 本だなの前に立ち、一冊、本をひきぬいた。
 ニヤリと本が笑った。
 あッ! モンスターだ!


 野生のブッキーが現れた!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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