第357話 深い迷宮をぬけて

文字数 1,251文字



 まだまだ火祭り開催中!

 サラマンダーやビッグブッキーや、火竜の子のほかに、ここからは火竜(小)っていうのが出てくるようになった。火竜の子よりは大きいけど、成竜ってほど完全に大きくはない感じのやつらだ。

 それと、たぶん、火属性攻撃で集まってるせいだと思うけど、なぜか、野生のクマちゃん(レッド)が出てくる。
 クマりんの仲間だ。
 ボディが真っ赤で、耳に赤いリボンをつけてる。
 たぶん、女の子で、子グマちゃんよりは成長してるけど、クマりんのパパとママほどは大きくない。
 クマりんのお姉さんくらいのサイズかな?
 クマりんがいたら、また殴りあうことになってたかもしれない。
 テディーキングにならずに『がおー』を使ってくる、あなどれない子だ。

 あいかわらずの強敵が出現する。
 でも、だんだん、僕らは苦戦しなくなっていた。
 レベルが上がる。上がる。
 僕はレベル33に、アンドーくん、ぽよちゃんも33。たまりんは31。ケロちゃんは29。シルバンでも27になった。

 僕らは暗い洞くつを進む。ひたすら進む。
 こっち側もかなりの広さだ。
 これ、地盤沈下したら、ミルキー城は完全に崩落するだろうなぁ。

 お財布とられちゃったけど、新たに拾ったお金だけで、また二千億円になった。
 それにしても、僕のお財布、なんでなくなったんだろぉ……。
 やっぱり誰かに盗られたのかなぁ?
 誰に? 誰にだよぉー?
 悲しい。僕の招き猫ぉ。戻っておいでぇー!

 しばらく歩くと、二回めの回復の泉があった。
 たしかにお腹もすいている。
 前の泉から四時間はさまよってたと思う。

「休憩しようかぁ。腹ペコだよー」
「かーくん。なんかああで?」
「あるよ。ただのパンとチーズとゆで卵だけどね! 桃缶がデザート」
「わあっ。なんでもいいわ。食わや」

 ここでも泉の水を飲みながら、携帯食をむさぼる。時間は夜の八時になってた。どおりでお腹すくわけだ。これが僕らの夕食かぁ。
 今ごろ、蘭さんは王様といっしょに豪華な晩さんを食べてるんだろうなぁ。
 いいなぁ。僕も特上肉のステーキが食いたい。

「ここの宝箱は火属性関連が多かったねぇ。火竜のウロコとか、炎の杖とか。カンテラ、助かった。明るいよ」

 周辺の火の精を集めるようになってるらしくて、エネルギーいらずで、つねに明るい。これからは洞くつ探索も少しはやりやすくなった。

 食後にまた僕はスマホを出して、ここまでの出来事をポチポチと打ちこんだ。
 うしろの壁にもたれようとして……おや? デジャヴーだぁ。
 壁のすきまから光がもれてる。
 もしや、ここは?

 僕はすきまに目をあてて、むこう側をのぞいた。
 あわい光。
 細長い部屋だ。
 角度的に例のアレは見えないけど、ここは、やはり……。

 僕は壁から目を離して、上のほうを見あげてみた。
 ある。
 間違いない。

「みんな! 見てよ。ユニコーンだ。ユニコーンの頭がある。ついたんだよ。ここがあの鏡の間の仕掛け扉の前なんだ!」

 僕らは、ようやく目的地にたどりついた。
 長かった洞くつとも、おさらばだ〜!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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