第168話 精霊王の剣(レプリカ)の威力
文字数 1,519文字
「ヤッター! 装備品の呪いが解ける!」
「えっ? かーくん。魔法、おぼえたで?」
「うん。解呪魔法が使えるようになってる。やっと20万も払った武器が装備できるよ」
もう一も二もなく、僕は魔法を使った。これについてる顔文字が少し微妙なんだけど、無心で呪いをポイッとする感じかな?
何度かイメトレしてみたあと、僕は呪文を詠唱した。
「呪いよ、消えされ〜」
精霊王の剣(レプリカ)が、パアッと明るく輝く。まとわりついていた黒い
あらためて見ると、すごい剣だ。
レプリカとは言え、最強クラスの攻撃力を誇るだけある。刀身の輝きが違う。破魔の剣だって、そこそこ強い、いい剣なんだけど、なんていうか、まとっているオーラがもう雲泥の差。
しかも、これ、細身で軽いんだよね。両刃の騎士剣じゃなく、日本刀に近い。
「これでやっと破魔の剣から卒業だぁー。破魔の剣でも、まだ鋼鉄シリーズにくらべたら、ぜんぜん強いんだけどさ」
破魔の剣は三村くんに持たせよう。今度、会えたら……いつ会えるのかなぁ? 三村くん。蘭さん。
まあ、それはそれだ。
僕は破魔の剣をミャーコポシェットにしまった。かわりにレプリカに付属の精霊石セットをとりだす。
ああ、楽しいなぁ。
どの石をつけようかなぁ?
僕のチートスキルで手に入れた宝石ちゃんたち。
「たぶん、石の色が魔法の属性なんだよね? 赤が火属性かなぁ。火属性なら攻撃魔法が中心だよね。最初は無難に火属性で試してみよう」
精霊王のレプリカ剣の台座に、緋色の石をはめこむ。カチリとしっかり固定された。
にぎりしめるだけで剣の持つ力が腕に伝わってくる。名刀だ。いい買い物したなぁ。
ほかにもすぐに装備できる武器や防具がないかなぁ?
「あっ、たまりんが小悪魔のハープを装備できる。小悪魔のハープは通常攻撃ができるんだね。攻撃力が30か。付与効果が通常攻撃時に魅了30%の確率と、二ターンごとに“小悪魔のワルツ”発動。ボス戦ではHP回復してくれる海鳴りのハープのほうがいいんだけど、ふだんのザコ戦には、こっちのほうが使えるね」
僕はまた無心になって、「呪いよ、消えされ〜」と念じる。
一回唱えるのにMP10も使うから、あんまり多用はできないんだけど。
「はい。たまりん。こっち装備して、海鳴りのハープ、自分で持っておける? ムリなら僕が預かるけど」
たまりんは自分のお腹に海鳴りのハープを押しこんだ。入るんだ……。
世界樹の枝先はプリーストや魔法使いが装備できる杖だった。これはアンドーくんに持たせる。回復魔法の効果50%アップという優秀な杖なんだけど、アンドーくん、魔法使いだからなぁ。
ただ、装備品魔法として、『もっと元気になれ〜』と同じ効果がついてたので、実質、誰でも回復魔法が使えるようになる優れた武器だ。
シルバーナイフは攻撃力60。中盤でこの数値なら、かなり高い。効果はアンデッド系に1.2倍のダメージだ。現在地の下水道ではうってつけの効果なので、ナッツに装備させる。
パーティー全員の攻撃力が格段に上がった。ぽよちゃんは変わらないけど、すでに強い。
——と、僕のミャーコポシェットのなかをのぞきこんでいたクピピコが、何やら訴える目で僕を見つめた。
「クピっ。コピコピ、コビットコン、ピコー」
コビット語……世界一難解な言語。
しょうがないので、クピピコがのぞいていたポシェットのなかをたしかめる。
「あっ? これ?」
そうだった。そうだった。
あの亡霊店主から、コビット王の剣っていうのも買ってたんだっけな。
「待ってね。呪いとくから」
「クピっ!」
あっ、嬉しそうだ。
コビット語も話せるようになるといいなぁ。