第258話 銀晶石巨兵戦!2

文字数 1,123文字



 ミダスってギリシャ神話に出てくる王様の名前だ。さわったものが、なんでも黄金に変わってしまうっていうね。
 さわったものが……。

 石化? 石化かなぁ?
 さわったものが石になっちゃうとか?
 用心しよう。

「よくわかんないけど、ミダスタッチっていうのに気をつけようね。ぽよちゃんは、じゃあ、はねてから、ためてね」
「キュイ!」

 ぽよちゃんも二回行動できるようだ。
 銀晶石の巨兵も素早くはない。

 最後は僕の出番——なんだけど、馬車からケロちゃんがとびだしてきた。そして、「ケロー!」と攻撃!
 あっ……四人めの行動が終わってしまった。僕は強制的に馬車のなかへ戻されてしまう。

「ああー! かーくん!」
「ご、ごめん。ロラン」

 うーん。さっき、ケロちゃん、傷ついてたみたいだからな。自分にもできると主張したかったのか?
 でも、それなら、ぽよちゃんを外に出すんじゃなかった。ぽよちゃんは石化異常に耐える装備じゃないんだよねぇ。バランが守ってくれるから、大丈夫だと思うけど……ん?

 僕は気づいたぞ。
 ケロちゃんは?
 ケロちゃんは勝手に出ていっちゃったから、バランに守られてない。
 ケロちゃんは石化に耐えるのか?
 耐えるよね?
 自分で石化攻撃できるんだもんね。

 ステータス画面で確認してみる。
 石化耐性は——な、ない!
 ないのかっ?
 相手を石化できるけど、自分もなっちゃうのか!
 うーん。困った子だなぁ。

 僕はなりゆきを見守った。
 たまりんが、ゆらりとよってきて、僕をなぐさめてくれた。

「ありがとう。たまりん」

 たまりんは火力が弱いんで、近ごろは戦闘にはあんまり立たないけど、仲間思いの優しい子だ。
 デレないツンデレのスズランさんより優しい。
 僕のヒロインは火の玉なのか?

 そんなこと考えてるうちに、銀晶石巨兵の番だ。めんどうなので、銀ちゃんでいいや。うちのシルバンの名前として却下されてしまったから、せめて、こっちで使おう。

 銀ちゃんはミラーボールをかましてきた。ギラギラして……あっ! このパターンは、またケロちゃんが!
 案の定、ケロちゃんの目がチカチカしてる!
 や、ヤバイ。パニックになっちゃったぞ。

 僕らのターン開始。
 ケロちゃんの自動石化攻撃!
 ああッ! ぽよちゃんがなめられた。
 ぽよちゃんが石にぃー!

「ぽよちゃーん!」

 僕はあわてて馬車を走りだし、ぽよちゃんをかかえあげる。

「ごめん。ぽよちゃん。このバトルが終わったら治してあげるからね」

 ああ、キュイ〜って返事が聞こえない。切ないなぁ。
 僕は泣く泣く、石像になったぽよちゃんを馬車に入れる。

 ケロちゃん、便利な技を持つ子だと思ったけど、けっこう暴れんぼうだった。
 仲間のせいでピンチになってるんだけど……。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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