第107話 ギルドをくまなく見物〜

文字数 1,388文字


 僕とアンドーくんは冒険者ギルドに登録した。
 ピカピカの冒険者バッジというのを貰えた。いちおう装飾品あつかいになっていて、防御力が5上がる。それだけでも、ちょっと嬉しい。僕は猛から預かったばあちゃんのお守りしか装飾品つけてないんで、旅人の帽子にバッジを飾った。

 じつはなにげに情報屋ってのが気になってるんだけど、とりあえず、武器屋と防具屋をのぞいてみる。
 ようやく、鋼鉄(はがね)シリーズが店に置かれていた。黒金よりワンランク上のやつだ。

 でも、破魔の剣と銀の胸あてを身につけてる僕には用のない代物だ。ただ、盾と靴だけは黒金だったので買いかえた。
 現実の僕なら鋼鉄でできた盾なんて、たぶん持ちあがらないし、鋼鉄の靴なんて履こうものなら、一歩ごとにウンウンうならないといけなくなるんだけど、ここでは不思議と難なく持てる。たぶん、ゲーム内の力数値のせいなんだと思う。

「アンドーくんは盾、持てないんだね。魔法使いだから」
「そげです。アサシンも持てなかったんで、かわらんけどね。武器は短剣なら持てぇみたいだね」

 どれどれ。ほんとだ。たしかに、アサシンのときに使っていたダガーがそのまま持ててる。でも、魔法使いが杖じゃないなんて、ありえない。

「ちょっと待ってよ。あっ、やっぱりね。杖のほうが魔法攻撃力あがるよ」
「そげだね」

 鋼鉄の杖って、固そうだなぁ。魔法使いの武器にしては、かなり頑丈そうな気がする。じっさい、攻撃力もそこそこある。鋼鉄の剣の攻撃力42に対して、杖なのに攻撃力32は優秀。魔法攻撃力は30。回復魔法は25%アップ。二千五百円なり。

「転職祝いに買ってあげるよ」
「えっ? いいの?」
「いいよ。いいよ〜」

 へへへ。富豪だからね。
 なにしろ一回八千円を十五メートルごとに拾えば、あっというまに数十万たまる。すると拾う額もガンガンあがる。サンディアナにつくまでに百二十万拾っちゃった。

 とりあえず、早く銀行に行きたいんだよね。
 僕は武器屋をあとにしようとした。
 が、そこに鋼鉄のブーメランなるものを見つけた。黒金のブーメランは三村くんに返したんで、全体攻撃できる武器を僕も持っとくほうがいいのかもしれない。予備の武器として、それも購入しておく。

 すると、武器屋のおじさんが抽選券をくれた。
 あと、メンバーズカードを作ってくれた。

「これ、スタンプが全部たまったら、どうなるんですか?」
「シルバー会員になれる。シルバー会員になると、買い物のとき必ず抽選券を貰える」
「へえ。必ずはいいなぁ」
「そしてシルバーカードがいっぱいになると……」
「いっぱいになると?」
「ゴールド会員になれる!」
「ご、ゴールド会員になると、何かいいことが……?」
「王都にあるゴールド会員にしか入れない特別な店に入ることができるようになる!」
「と、特別な店?」
「この世に一つしかない貴重な商品だけを集めた店だ」
「おおー!」
「ちなみにメンバーズカードは全国店舗共通だよ。武器防具のほか、雑貨屋もオッケーだからな。あっ、さっきの防具の購入ぶんもポイントつけといてやるよ」

 なるほど。雑貨屋もアリなら、いらない武器を山ほど買わなくてもいいのか。じゃあ、回復アイテムをたんまり買えばいいのかな。
 ぜひ、ゴールド会員になろう!
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み