第191話  山びこ戦!2

文字数 962文字



 ハッと気がついたのは、数分後。
 アンドーくんと、たまりんが戦闘している。アンドーくんにもフェニックスの灰、わけてあったから、それを使ってくれたようだ。
 僕とぽよちゃんは意識をとりもどした。

「この人たちは、どげする?」
「ほっといて! また『賭けてみる?』使われたら、たまったもんじゃないよ」
「ラジャー」

 アンドーくんは、くすくす笑ってる。
 いやいや、僕だって、こんなバカらしい死にかたしたくなかったよ。
 やっぱり遊び人なんて信用できないな。
 こっちに補欠メンバーが残っててよかった。じゃないと、僕ら全滅あつかいになってたところだ。

「まだイベントで負けが決まってるとき以外では、全滅したことないんだからね。不敗伝説って称号も貰ってるんだよ。変なおっさんなんかに、この称号とりけしにされたくな〜い!」
「かーくん。災難だったねぇ」
「気をとりなおして、やろうか」
「そげだねぇ」

 というわけで、仕切りなおし。

 ぽよちゃんも一回、戦闘不能になったから、せっかくのはねるや、ためるの効果が消えてしまった。もう一回、はねてからの、ためる。

 アンドーくんは「みんな、巻きで行こう〜」

 僕は通常攻撃なんだけど、思いたって、山びこの足の下が見える場所まで、よこに走りぬけてみた。

 あッ! いる! やっぱり、足の下の三角の空間になんか倒れてる。
 僕はそれを確認するために近づいていった。
 小さい……動物かな? あっ、鹿だ。子鹿のバンビが倒れてる。足にケガしてるみたいだ。
 そっか。ケガしてて、線路の上から動けないんだ。

 だから山びこは、この場所にすわりこんでるんだ。
 バンビを守るために。
 きっと、同じ山の生き物だったから……。

 僕は子鹿を抱きあげるために近づいていった。
 すると——とつじょ、山びこがあばれだす。両腕をあげ、大きく左右にふりまわした。
 こ、これが“守る”か。
 僕は空中にはねあげられ、地面にたたきつけられた。
 痛い……けっこうな痛さだよ。

「山びこ。僕は子鹿を傷つけないよ。ちゃんとケガの手当てもしてやるし、自分で歩けるようになるまで、めんどう見るよ」

 話しかけるけど、反応はない。
 困ったなぁ。
 人間の言葉がわかってないのかな?
 それとも、人間のことを信用してないのか?
 僕に害意がないこと、どうやったらわかってもらえるんだろう?
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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