第254話 考える! 小説を書く能力

文字数 1,359文字



 ヤッター!
 一見しただけじゃ、この違いはわからないかもしれないけど、つまみ食いの内容がかなり変わった。
 ランク1のときは、吸える数値は1〜3だった。それが2〜5になった。
 しかも前は戦闘中一回しか使えなかったのに、この技が三回も使える。
 何よりも、ボス相手に有効なんだ!
 吸える数値がもっと高ければ、ボスを弱体化できる、ものすごい技になるんだけどなぁ。

「これで、うまくすれば、一度の戦闘で数値を15伸ばせるんだ。スライムと百回戦うだけで1500もステ上げできるんだよ!」
「スゴイですねぇ。かーくん。この調子だと、あっというまに僕じゃ追いつけなくなりすね」
「安心して。僕はロランを助けるプリーストだから」
「……ありがとう」

 それにしても、小銭拾いも、つまみ食いもランクアップしたのに、なんでいつまで経っても、小説を書くのランクは上がらないんだろう?
 けっこう、たくさん書いてきたんだけどなぁ。
 今ここまでの文字数でも三十三万字。
 これだけ書いてもダメなのか?
 いや、もしかしたら、ただ書くだけじゃ上達しないとか?

 この話、これまで99%は事実をそのまま書き写してきた。
 でも、それだけじゃダメなんだとしたら? 何かが足りてないんだとしたら?
 事実を書きかえて異なる形にしてしまう、あの力。
 あれをもっと発揮させることができれば——

 事実を書きかえて……か。
 そこなのかな?
 その力を伸ばすためには、もっとどんどん書きかえていかないと上達しないってことかな?

 でも、以前、ナッツのお母さんを助けようとしたとき、どうしても入力ができなくて書きかえられなかった。今のランクではできないって……。
 つまり、そうか。今のランクでできる書きかえをくりかえしていけば、そのうちランクが上がって、もっと重要なことも書きかえられるようになるのか。

 なるほど。まじめな僕の性格があだになってたんだな。
 じゃあ、これからは内容をチョコチョコ変えてくか。
 だからって、なんでも好き勝手を書いてたんじゃ、この世界のためにならないしな。僕らにプラスになることを書きたい。

 僕はつまみ食いの数値で好きにステータスを上げられるようになったけど、みんなはそうじゃない。
 みんなのステも上げられれば、戦いはますます有利になっていく。

 僕はよこ目で蘭さんのステを見た。
 蘭さん、レベル25になったって言ってたな。

 レベル25
 HP225、MP101(111)、力78(64)、体力57、知力100(110)、素早さ158、器用さ106、幸運117。

 これが蘭さんのステか。
 素早さはあいかわらず抜群だけど、つまみ食いしてる僕にくらべたら、やっぱり、かなりの差がついちゃったなぁ。

 僕はスマホをとりだし、チョチョイと書きなおしてみる。



 ***

 僕はよこ目で蘭さんのステを見た。
 蘭さん、レベル25になったって言ってたな。

 レベル25
 HP226、MP102(112)、力79(64)、体力58、知力101(111)、素早さ159、器用さ107、幸運118。


 ***

 これでどうだ?
 各ステータス1ずつだけど、上げてみた。これを毎日くりかえしていけば、十日後には各ステータス10上がってる。百日後には100だ。
 僕の書きかえ能力の向上にもなるし、一石二鳥だね!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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