第193話  王都到着〜!

文字数 1,355文字



 やっとだ。
 やっと着いた。
 王都だ〜!

 ボイクド国の王都シルバースター。
 駅舎もサンディアナより遥かに豪華で、天井がきれいなアーチを描いている。
 都会の空気がただよってるぞ。くんくん。

「わあッ。やったー。都だー。やっとここまで来たんだー!」
「ミルキー城の城下町もにぎやかだけど、ここはもっとガイな街だねぇ」
「キュイ、キュイ〜」

 さてと、あんまり大きな街だから、どこから行ったらいいのかな。
 やっぱり、まずはギルドかな?
 蘭さんたちと合流して、それからお城に行って、ワレスさんと再会するんだぁー!

 街並みは、なんちゃってネズミランドの巨大バージョンだ。駅を一歩出ると、右も左もわからない。
 駅のすぐまん前にギルドがあってよかった。じゃないと完璧に迷ってた。

「あっちのほうにお城が見えるねぇ。街の見物もしたいけど、お城に行ったあとかなぁ」

 のんきに話してたんだけど、僕らはまもなく衝撃の事実を知った。

 ギルドの受付にて。

「えッ? まだ到着してない?」
「はい。ロランさんという冒険者は、まだこの王都本社ギルドには来ておられませんよ」
「でも、僕らより三日はさきに出発してるんだけど……」
「馬車なんでしょう? それなら、汽車のほうが早いですから、追いこしてしまったのかもしれませんね」
「ああ、そうですね。そうなのかも」

 しょうがないのでギルドの受付のお姉さんに、ロランかシャケが来たら、僕らがさきに到着していることを伝えてもらうように頼んだ。

 待ってるあいだ、街の見物を……と思ったら、そうもいかなかった。お城から迎えの兵士がやってきたのだ。
 ギルドに入る情報は随時、お城に伝えられるようになっているらしい。

 迎えの兵士は……彼をひとめ見て、ハッとしたね。
 まちがいない! クルウだ。ワレスさんの右腕。長い黒髪をうしろでたばねた、背の高いスマートな騎士。ハンサムだねぇ。
 もちろん、クルウも僕の書いてる小説のなかの登場人物だ。ワレスさんのシリーズに出てくる。

 クルウを先頭にして、二人ほどついてきてる。そっちは見たことないなぁ。てか、見るのはクルウだって初めてだけど、わが子ってわかるもんなんだねぇ。あまりにもイメージにピッタリなんだよ。

 僕はニコニコしながら近づいていった。

「当ててあげましょう。あなたの名前はクルウですね? もしかしたら、本名のエラードのほうを名乗ってるかな?」
「ワレス隊長からお聞きおよびでしたか? さようにございます。私はクルウ。ワレス隊長のもとで副騎士長をつとめております」

 うんうん。さすが、生まれながらの騎士の家柄。礼儀正しいなぁ。

「ワレス隊長の命により、お迎えにあがりました。ボイクド城へ来てくださいますか?」
「いいけど、パーティーのリーダーは僕じゃないんだ。僕も副リーダーかな? ロランがまだ到着してないんだよ」
「先日、サンディアナの街で魔物製造工場の報告をしたのは、あなたではありませんか?」
「僕です」
「では、来てください。そのときのもようを詳細に話してもらいますので」
「は〜い」

 クルウの目が笑ってる。
 たぶん、クルウにも、僕はぽよぽよだと思われてる。いいもんねぇ。ぽよちゃんと僕は仲間だもんねぇ。

 僕らはクルウにつれられてお城へ向かった。
 ああ、ワレスさんと再会だ。嬉しいなぁ。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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