第92話 僧侶か天職か、それが問題だ(ハムレット風)

文字数 919文字



 アンドーくんは魔法使いになった。
 HPと力がだいぶ下がってしまったが、かわりに『燃えろ〜』が使えるようになった。MPも職業補正で上がった。
 早く冷気系の攻撃魔法をおぼえてもらいたいもんだ。

「ぽよちゃんやクマりんは?」
「残念ですが、モンスターは職業につけません」
「あっ、そうなんだ」
「ですが、この世のどこかには職業のツボをとらえた職ツボというものが存在するそうです。それを手に入れれば、あるいはモンスターでも……」
「なるほど」

 このゲームとあのゲームがごっちゃになってるなぁ……。
 このゲームでは職業の奥義書だったはずだし、あのゲームではツボは合成や保存などのアイテムの一種だった。

 それにしても、みんなの職業は決まったけど、僕はどうしようか?
 プリースト!
 そう。もちろん、ぽよちゃんを死なせてしまったときのあの悔しさを忘れていない。

 でも、でもなのだ。
 あのときと今では、だいぶ状況が違う。
 僕は僧侶が覚えるであろう回復魔法をすでに三つおぼえてる。

 元気になれ〜ヽ(*´∀`)
 もっと元気になれ〜ヽ(*´∀`)
 毒よ消えろ〜(^ー^)ノ☆︎*.。
 この三つだ。

 基本職としては、あと覚えるのは蘇生魔法の不完全なやつくらいじゃないだろうか? 蘭さんがすでにおぼえてる『死なないでー?』だ。
 もしかしたら、全員のHPを中くらい回復させる『みんな、もっと元気になれ〜』くらいはおぼえるのかもしれないけど、今のところ必須でおぼえたいのは、それくらいだ。
 なんと言っても、フェニックスの灰を大量に手に入れてしまったから、蘇生魔法のありがたみが急激に薄れてしまった。

 うーん。悩むところだなぁ。
 僧侶からの魔法使いで、たぶん魔法のエキスパートの上級職につけるようになる。賢者とか、そういう感じのやつだ。
 魔法を自在に使いこなすかーくん。
 ウットリ。憧れるなぁ。
 でも、僕の得意技を考えたとき、小銭拾いを最大限に活かせるのは、商人の奥義じゃないだろうか?
 そう。傭兵呼びだ。

 うーん。迷う。
 みんなのために僧侶になるべきか、我欲のために商人になるべきか、それが問題だ。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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