第186話 帰ってきました! 文明圏!
文字数 1,456文字
僕らが語ったキャラバンの正体。
そして廃墟の研究所にさらわれていった人たちの末路。
人間がモンスターにされていたという事実。
それらはどれもS級ランクの機密情報に該当した。僕とアンドーくんにはギルドポイントが一万付与された。
さらには先日、街が襲われたときにギルドを守ったことや、街の人たちを救助したこと、他の街から誘拐されていた人たちを人間に戻したことなどの功績で、僕はいっきに五十近い称号を手に入れた。冒険者ランクもダブルAに上がった。アンドーくんはAランクね。
ひさしぶりのギルドだ。
いや、日にちにしてみれば、ほんの二、三日のことなんだけど、文明から引き離されて魔物の城に囚われていたことの緊張と恐怖が、そういうふうに感じさせるんだと思う。
僕は一千万を銀行に預けた。
「かーくんさんの貯金が二百五十万円に達しました。前回、さしあげられなかったオリハルコンのよろいをさしあげます」
「はい。ありがとう」
「かーくんさんの貯金が五百万円に達しました。創世の剣をさしあげます」
「はい。ありがとう」
「かーくんさんの貯金が一千万に達しました。妖精のティアラをさしあげます」
「はい。ありがとう」
「次は五千万に達したときに、風神のブーツをさしあげます。お楽しみに」
「はい。楽しみです」
いつものやりとりで、アレコレとプレゼントをもらった。嬉しいんだけど、いったい、どこまでくれるんだ? 限度額はないのか?
「これ、いくらまで粗品もらえるんですか?」
「一億円の詩神のハープが当企画の最後のプレゼントになります」
一億かぁ。それもけっこう、すぐたまりそうだなぁ。
どれもめっちゃすごいアイテムなのに、だんだん慣れてきちゃって、ありがたみが薄れてしまった。
おまけに僕に装備できないものが多いんだよな。創世の剣なんか、剣聖って職業じゃないと装備できない。
数値はダントツだよ? 攻撃力180って、精霊王の剣(レプリカ)よりも強いんだけど?
装備品魔法はついてないけど、付与効果としては、風の加護ってのがあって、風属性魔法の効果プラス50%だって。あと、敵から受ける風属性の魔法を無効化吸収し、ダメージ相当ぶんのHPを回復してくれる。
ノームの村で改良してもらえば、精霊石をとりつけて、装備品魔法も使えるようになるだろうし、いいなぁ。
妖精のティアラは、またもや女の子専用装備だ。クリティカルのダメージを半減してくれる。防御力は50。それと、ダンジョンなどモンスターが出現する場所を歩くと一歩ごとにHPとMPが1ずつ回復する。
こ、これも美味しい。
でも、僕には装備できないんで、今度こそスズランさんに——スズラン……。
ゆらゆら〜
「……たまりん、この冠、かぶりたいの?」
ゆらり!
どうしてこう、いつも、スズランさんがいない場所で手に入れてしまうんだろう?
「はい。じゃあ、これ、たまりんがかぶってね」
ゆら〜り!
ま、まあいい。人魂ちゃんが喜んでるし、オリハルコンのよろいだけは僕にも装備できる。
オリハルコンのよろいは重鎧だ。そのため装備できるのは、男性のしかも戦士、商人、騎士など力の強い職業のみ。なんと、防御力が170だ。蘭さんの精霊王のよろいが220だったから、かなりの強さである。
僕が魔法で呪いを解いた竜鱗のよろいは防御力100だった。こっちは男女問わず、魔法使い以外は着れるみたいだ。
どっちも特殊効果はない。
ちょっと残念。
でも数値はいいんで、僕はようやく銀の胸あてから卒業し、オリハルコンのよろいに着替えた。