第124話  お魚さんの巣窟

文字数 1,341文字


 たまりんはハープを抱えて、嬉しそうに馬車のなかへ入っていった。
 手がないのに、どうやって持ってるんだろう? 念の力かな?

 そういえば、妖精の羽衣着せてあげてるし、装備品だけは妖精のよう。

 そんなことを言ってるうちに、モンスターが現れた。


 野生のウツボンが現れた!
 野生のテッポオが現れた!
 野生のヒトヒトが現れた!
 野生の海スライムが現れた!


 いっぺんに四体も出てしまったか。
 ウツボとテッポウウオとヒトデの巨大化したようなモンスターたちだ。スライムはソーダ色でシュワシュワと内部に泡がたっている。波を表現しているのかもしれない。気泡入りのビー玉だね。

「全部、初めての敵か。油断できないね」
「ロランがおらんし、一体ずつ集中して倒そか?」

 すると、アンドーくんが言った。

「あっ、わは前にウツボンとテッポオとは戦ったことああよ。ウツボンは火力高いだけで、テッポオは自分のHPを半分にけずって鉄砲の弾みたいに飛んでくう“捨て身”って攻撃がやっかいだったが。けずったHPの倍のダメージ与えてくうけん。100ダメくらうこともああよ」

「じゃあ、テッポオからやっつけようか」
「せやな」

 僕らのなかで一番速くて攻撃力が高いのは、今やぽよちゃんだ。成長したなぁ、ぽよちゃん。というか、装備品がよすぎる。レベルも18になった。

 ぽよちゃんのステータス。
 HP93、MP40、力35、体力35、知力50、素早さ80、器用さ58、幸運90。

 この数値の伸びかたは蘭さんと同じタイプだな。素早く攻撃ができて、クリティカル率が高い。

 マジック
 巻きで行こう〜( ̄^ ̄)
 仲間〜ナカマ♪︎(ノ'∀︎')人('∀︎'ヽ)ナカマ♪︎

 得意技も“聞き耳”が使えるようになってる。
 聞き耳って、なんだろう?
 蘭さんの危険察知みたいなものかな?
 こういうときは長押しだ。
 詳細説明を見ると、戦闘中に敵モンスターのステータスがわかる。ターンを要しない。と書いてあった。

 つまり、初見のモンスターでもステータスを見て特徴をつかめるってことか。弱点がわかれば戦いに有利だ。

 仲間〜ナカマ♪︎(ノ'∀︎')人('∀︎'ヽ)ナカマ♪︎っていう呪文が激しく気になるけど、この感じだと二人で使う合体魔法的なやつかな?

 とりあえず戦闘だ。

「ぽよちゃん」
「キュイ?」
「ちょっと、聞き耳っていうのしてみてくれる?」
「キュイ」

 ぽよちゃんは僕の言うがままに、長い耳をピクピクさせた。可愛いなぁ。ハート模様。

 ぽよちゃんの聞き耳によると、ヒトヒトはスターリングっていう全体攻撃をかましてくる。でも攻撃力0.5倍ってなってるから、通常攻撃の半分のダメージを敵全体に与える技のようだ。ブーメラン攻撃のようなものだ。テッポオほどの緊急性はない。

 海スライムの特殊攻撃は、溶かす。
 溶かす……なんかイヤな響きだなぁ。
 攻撃力0.8倍。
 それ以上の詳細は読めない。

「じゃあ、テッポオ、ウツボン、ヒトヒト、海スライムの順番で倒そうか」
「よっしゃ」
「ぽよちゃんも、ためずに攻撃してね」
「キュイ〜!」

 よし。戦闘開始だ!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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