第97話 まだまだ友達にボラれる僕
文字数 1,066文字
クマりんのコーディネートは完璧になった。
ぽよちゃんも完璧だ。幼稚園児みたいだけど完璧だ。
そのまわりを意味もなく、たまりんがふよふよしている。
もしかして……自分も欲しいんだろうか?
これまで、たまりんは火の玉だし、何かが着れると考えたことすらなかったけど、もしかして着れるのか?
試しにモニターを見てみると……あれ? 着れるぞ。青銅のよろいはムリだけど、前にぽよちゃんが着てた手編みのケープは着れる。軽装備なら可能ってことか。
もしかして……?
「あっ、やっぱり。クマのヨダレかけ、装備できるんだね」
「ヨダレかけは体形に関係あらへんさかいな」
「防御力……それでも40か。ただのヨダレかけなのに。銀の胸あてが45なんだよ? ヨダレかけが40。銀の胸あて作った職人さんが泣くよ?」
「愛情こもっとるさかいなぁ」
うーん。三村くんって天才なのかもしれない。いや、現実でもプロレベルにフィギュア製作うまいけどさ。
「人形師って得意技なんだよね?」
「せや。一段階が人形作り。二段階で人形の服作り。三段階はまだ到達してへんけどな。おれが作る服には心がこもるんや」
「その得意技もいいね。けっこう使える」
たまりんはヨダレかけと赤いリボンが装備可能だった。物理攻撃無効を持ってるとは言え、魔法攻撃やクリティカルから身を守るためには、防御力をあげとかないと。
「じゃ、ヨダレかけと赤いリボンください」
「まいどあり。三千五百円やで」
「まけてくれないんだ」
「しゃあないなぁ。まけへんけど、オマケにコレつけたるわぁ」
黄色にピンクのラインの入ったサポーターをくれた。防御力は5だけど、付加価値がスゴイ。攻撃力、クリティカル率プラス5%ってある。
装飾品なんで僕にもつけられそうだけど、もしかしなくても、ぽよちゃんに装備可能だった。ぽよちゃんの前足に履かせてあげることにする。ちゃんと足の裏は出るから走るのにジャマにはならないぞっと。
みんな、可愛くなったよ。
クマのアップリケのついたヨダレかけと赤いリボンをつけた火の玉が可愛いとしたらだけど。まあ、夜中に出会って、思わず「人魂だー!」と叫ぶことはなくなった。
ついでに僕も、ぽよちゃんの装備してた銀の胸あてに着替えたから、防御力が30近くも上がった。
それにしても、ものの三十分で総額二万二千五百円をしぼりとられたのだった。
フェニックス行軍で拾った小銭ぶんくらいだね。
三村くん、そこんとこ計算して作ってるんじゃないかなぁ?