第277話 職業のツボ!

文字数 1,373文字



 お楽しみはツボだ。
 これでやっと、ぽよちゃんたちも職業につける。

「スズランさん。このツボはどうやって使うんですか?」
「職業のツボですね。めずらしいものを見つけましたね」
「抽選で貰ったんだ」
「では、この職につきたい人がツボをかかえて、わたしの前に立ってください。あとはふつうにお祈りするだけです」

 ツボは六人が弓使いになれるだけのセットがある。盗賊のツボが少なくて、戦士と僧侶のツボが二個ずつあまってるんだけど。

 なので、ぽよちゃんを盗賊に、ケロちゃんを戦士に、クマりんも戦士にしてもらった。いちおう最初は向いてそうな職業ね。職業補正もついてステ上がるしね。

 ついでに僕は遊び人にしてもらった。
 商人、遊び人で盗賊になれる。
 盗賊ってのは上級職ってわけではなく、基本職の一種なんだけど、商人と遊び人をきわめないと表示されない、隠し職業のようだ。
 盗賊をマスターしたら、その上の大富豪になれる。
 さっき、死なないでェーも、あっけなく覚えちゃったし、僧侶でいるメリットがあんまりない。
 賢者にもなってみたいけどねぇ。やっぱり、総額アタックしてみたいなぁ。二億ダメージ!

「よし。じゃあ、これで、今日は職業経験値をたっぷりかせごう!」
「うん。行かやぁ」
「キュイ〜!」
「ケロ〜」
「…………」

 あっ、クマりん、しゃべるかと思ったけど、しゃべらなかった。

 僕らはギルドを出て、広場に止めておいた馬車に乗りこむ。次にこの場所に立つときは、魔法のほろ布を持って帰ってくるときだ。たぶん。

 旅人の帽子のおかげで、サンディアナまでは、ひとっとび。

「えーと。まず、場所のハッキリしてる竜の岬に行って、ぽよぽよ草っていうのを探そうか。そのあと、オリヤって村に行こう。ね? ロラン。それでいいよね?」

 竜の岬なら以前にも行ったことがあるし、なんなら旅人の帽子で飛べる。モンスターも以前のお魚ちゃんたちだろう。すぐにすむと思ったので提案したんだけど、蘭さんは、ふうっと長いため息をついた。

 ん〜? 今日は蘭さん。ほんとに、どうしちゃったのかなぁ?

「じゃあ、竜の岬に飛ぶよ?」
「はい……」

 竜の岬の近くって話だから、そっちから探したほうが早いだろう。最初から、竜の岬に飛べばよかった。こういうとこがウッカリな僕。ぽよっとな。

 ピュンと竜の岬に到着した。
 洞くつには入らないで、あたりをウロウロする。
 とつぜん、ぽよちゃんが走りだした!

「ぽ、ぽよちゃーん!」
「キュイキュイ! キュイィ〜!」
「ピュピュイ!」

 あっ! くぽちゃんまで!

「これこれ、ブラックローズ号。勝手に走ってはいけない。ブラックローズ——」

 バランが手綱をにぎりしめて制御しようとするけど、まったく言うことを聞いてくれないようだ。
 んん? というかさ。
 くぽちゃんって、正式名称はブラックローズ号だったのか。黒いぽよぽよだから、くぽちゃんでいいかなって思ってた。

 あわてて僕らも、ぽよちゃんたちを追いかけていった。
 と、どうだ。
 目の前にお花畑が。

 あっ、あれか?
 ぽよぽよ草?

 可愛い小さな水色の花。
 ダイコンの花に似ている。
 大きさ的には、ナズナって言ったほうがいいのかな?

 それにしても、なんだか一株だけ、いやにデッカイ気がするんだけど、あれは……?


 野生のガブキングが現れた!


 やっぱりね。
 モンスターだ!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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