第260話 銀晶石巨兵戦!4

文字数 1,241文字



「ヤッター! 勝ったよ!」
「なんとか、やれましたね」
「みなさん、お見事でした」
「ケロ?」

 ケロちゃん。もうなめないでくれ。
 それにしても変だな。
 戦闘音楽が鳴りやまないぞ。

「なんか、おかしくない?」
「そうですね。なんで音楽が変わらないんでしょう?」

 すると、下半身がガラガラにくずれた銀ちゃんの腕がかすかにあがり、自分の胸をタッチした。
 ん? タッチ? ミダスタッチ?

 次の瞬間、銀ちゃんは光り輝きながら蘇生した。ぜんぜんダメージが感じられない。完全復活だ。

「ええー! なんで?」

 蘭さんがうなる。
「ミダスタッチって技がありましたよね? ランク2になってた」
「うん」
「あれ、敵には石化攻撃。自分には蘇生魔法になるんじゃないですか?」

 僕は試しにシルバンのステータスを見た。

 シルバン。レベル1。
 HP50、MP0、力10、体力15、知力2、素早さ1、器用さ1、幸運5。

 なんだこのかたよった数値。
 HPと力と体力にすべてのステータスが寄ってる。幸運もまあまあ高い。
 つまり、あれか。
 固くて力も強い力技の戦士。
 もしかすると魔法はまったく覚えないのかもしれない。
 そして重くてノーコンだけど、クリティカルがキマりやすい。
 重さはともかく、器用さを装飾品とかで上げてやらないと、実戦では使いにくいかも。

 マジックはなし。
 得意技は銀ちゃんと同じだけど、ミダスタッチのランクは1だ。長押し詳細で確認する。

 ミダスタッチ(ランク1)
 戦闘中は石化攻撃。
 通常時はさわったものを銀晶石にする。通常時の使用は一日一回。

 あれ? 戦闘中以外にも使えるのか。
 しかも、さわったものを銀晶石にかえるのか?
 ちょっと待って。それ、わざわざこの森にとりに来なくても、毎日、銀晶石が手に入るってことか?
 えっ? そんなの踊っちゃうよ?
 かーくんの小躍りっ!

 あっ、いやいや。今は戦闘中だ。
 それより、銀ちゃんに勝つことを考えないと。

 やっぱり、思ったとおり、ランク1のミダスタッチは石化攻撃だ。
 でも、さっき、銀ちゃんは自分の胸をさわって蘇生した。蘭さんの言うとおり、ランク2の効果が自己修復なんだろう。

「どうしよう……僕もう、ブレイブツイスト使えませんよ?」

 蘭さんの顔色が青ざめてる。
 そりゃそうだ。頼みの大技が使えないんだから。
 大技。大技。僕、なんか忘れてるような?

「あっ!」

 僕はポンと両手を打った。
 そうだった。僕にも大技あったんだっけ。

「そうだった。傭兵呼び〜」

 ミャーコポシェットから、百万円硬貨が三枚も吐きだされてきた。
 だよね。
 今日はこの森のなか、すみずみまで歩きまわったからね。たぶん四、五キロやそこらは歩いてる。後半、一回で二百万以上拾ってたからな。

 ダダーッとかけよる大勢の足音。
 わあッと洞くつのなかは黒山の人だかり。
 ボコボコ、カキン、カキン、ゴッツンといろんな音がして、やがてそれらは去っていった。

 三百万ダメージ……。
 これ、人間だったら骨まで粉みじんになってるよね?
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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