第313話 火竜戦!3

文字数 1,192文字



 バランの攻撃は、まだ大したことない。一撃で二百ダメージほど。薔薇の効果が上がるのは次のターンくらいからだ。

 クマりんはパパを呼んだ。必ず、パパから呼ぶけど、これは仲間にした順番なんだろうか?
 パパのボディープレスで五百ダメージだ。ただ急いで逃げないと、次は火竜のターンだ。

 火竜は深く息を吸いこんだ。
 火竜のブレス攻撃!
 真紅の火炎が渦巻きながら僕らを襲う。

「うわあッ!」
「あっ! バランが——」

 緊迫した蘭さんの声につられて見ると、バランが瀕死になってる。ギリでもってる。

「そうか。バランは木属性だから、炎の攻撃が弱点なんだ。ここは火属性攻撃を減らしてくれる、炎シリーズの防具でそろえとくべきだったね」
「かーくん。バランは僕が回復します。かーくんは攻撃に専念して」
「わかった!」

 バランが持ちこたえたので、二ターンめも薔薇が発動する。
 熱いほど力が吹きあがる。

 僕は火竜にかけよった。

「とうっ!」

 かけ声はイマイチかもしれないが、ダメージは七百だ。さらに、がんばろ〜効果がつく。
 次の攻撃は八百越した。
 ブーツの効果もどんどん、たまっていく。

 六回、七回、八回……十回攻撃しても、まだ動ける!
 三回めの攻撃以降は一回千ダメージだ。

「これでどうだー! ラストアターック!」

 てきとうに技名っぽいことを叫んで、僕はレプリカ剣を火竜の脳天につきさした。
 最後の一撃は千五百ダメージ!

 地響きをたてて、火竜は倒れた。
 巨大な生き物を、軽々と大地によこたえてしまったよ、僕。
 予想以上に特訓の成果が出てる。

「わ〜い、わ〜い! やったよ〜」

 両手をあげて、かけもどってくると、ぽつりとワレスさんがつぶやいた。

「狂戦士……」
「えっ?」
「可愛い顔して、意外とクレイジーな戦いかたをするな」
「えっ……」

 ガ━︎━︎(゚Д゚;)━︎━︎━︎ン!!

 ちょ、ちょっと傷ついたかも?
 思わず顔文字使ってしまうくらいには傷ついた。
 ふだん小説を書くときには顔文字使わないんだけどさ。
 どうせ、この話は呪文が顔文字だから……。

 くすん。褒めてもらえると思ったのにぃ。

 ワレスさんがクスリと笑う。
「褒めてるんだ」

 あっ、そう?
 ならいいけど。
 てか、僕の心、読んだね?

「読んでない。おまえの顔に書いてある」
「そ、そうですか……」

 戦闘終了の音楽が鳴った。


 火竜が倒れた。
 5000の経験値を得た。
 2500円を手に入れた。
 火竜は宝箱を落とした。
 火竜のウロコを手に入れた。


「よかったな。火竜のウロコは合成素材だ。おもに炎系ブレスを軽減する効果を得られる」と、ワレスさんが説明してくれる。

 合成素材かぁ。やったー!
 と思ってたら、テロップはまだ続いていた。


 火竜は名人の技を遺した。
 火竜の職業の魂を手に入れた。


 えーと?
 それはたしか、ツボがあったら転職できるやつ……?
 そっかぁ。モンスターも落とすんだぁ。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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