第41話 樹海のボスは毒アナコンダ

文字数 834文字



 緊張の高まっていく音楽。
 蘭さんが険しい表情で言った。

「前方に強いモンスターの気配があります。レベルは25くらい。たぶん、アナコンダですね」
「というと、お城でワレスさんが戦ってたやつ?」
「まさか。あれはスネークドラゴンって言って、れっきとしたドラゴンの一種です。今の僕らじゃ太刀打ちできません。でも、アナコンダなら、やってやれないことはないです」

 三村くんが不安そうな顔になる。
「中ボスやろ? 回復魔法必須やで。おまえら、MP残っとるんか?」

 僕はパラメータを見た。
 ヤバイ。最大値110のMPが、あと30しか残ってない。“元気になれ〜”が一回使用するのにMP3必要だ。つまり、十回しか回復魔法が使えない。
 ボス戦の場合、蘭さんは“みんな、がんばろ〜”を優先的に使う。つまり、回復役は僕しかいない。その上で毒攻撃……これは、かなりマズイかも。

「ど、どうする? ひきかえす?」
「それはできませんよ。ここまでに使った毒消し草の数を考えてください。帰り道にも同じ枚数が必要なら、どう考えても僕らは途中で全員、倒れますよ」

 それは、そうだ。

「行くしかありません」と、蘭さんは勇者らしい勇ましい顔つきで言いはなった。

「そうだね。どうせ倒れるんなら」

 僕の幸運で、なんとか奇跡が起こせないだろうか?
 どうか、ミノタウルス戦ほど過酷になりませんように。
 てか、猛ももっと戦ってくれェ。

「じゃあ、行きますよ?」
「う、うん」

 僕らは、そうっと小屋のほうへと歩いていった。
 すると、その直前、とつぜん木の陰から、スルスルっと、そいつがすべりだしてきた。

 赤と黒のシマシマの体。
 アナコンダ実物のカラーリングじゃないけど、そこはモンスターだから、しかたがない。

 出た。アナコンダ!
 しかも、お供に大ムカデを二匹したがえてる。

 また毒攻撃か……。
 僕らの毒消し草とMPがつきる前に、なんとか倒せますように!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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