第196話  重要会議2

文字数 971文字



 会議中——

 僕には、まだほかにも気になることがあった。

「じつは、この報告もしておきたいんですけど。ここにいるアンドーくん。さっきも話しましたが、ミルキー城の兵士なんですよ。特殊工作部隊で働いてたんですけど、僕らと戦ったとき、ヤドリギのカケラであやつられてたんですよね。それで、今はその手紙、僕が持ってはないんですけど、ブラン王の手紙も途中で手に入れて。自分の心が何かにあやつられてる、助けてくれって内容でした。つまり、ブラン王も悪のヤドリギにのっとられて、操作されてるんじゃないかと思うんです。自分の弟であるロランの命を狙うのは、そのせいじゃないでしょうか」

 みんなが一瞬、黙りこんだ。
 そのあと口をひらいたのは、ワレスさんだ。

「ブラン王の性格が一変したという話は、たしかに聞いている。魔物らしきものが城内をウロついているというウワサも届いた。おそらく、ミルキー城は今、悪のヤドリギの拠点だな」
「ですよね……」

「キャラバンを使って人間をモンスターに変えているのは、豪のゴドバ。勇者の抹殺に力を入れているのが悪のヤドリギか。四天王の動きがだいぶ明るみに出たな」

 そんで、裏切りのユダは僕の兄ちゃんなんですよぉー、とは言えない。

 ワレスさんは思案顔でつぶやく。
 誰かに聞かせるためというより、自分の考えをまとめるためのようだ。

「かつてこの世界が四つにわかれていたという伝説は、この城にも残っている。各地に封印された扉が存在するとも聞く。おそらく、それがすべての根源なのだろう。今の魔王がその伝説に関連しているのかどうかの調べは、司書長に当面、お任せしよう。
 我々、一兵卒にできることは、魔王の牙城の一角でもくずすこと。ならば、所業の知れた四天王を追いつめていこうか。キャラバンの行方を追うことも大事だ。が、ここは居場所のわかっている悪のヤドリギをまず討とう。一体ずつ、確実にな」

 わあッ。頭のキレる美形!
 カッコよすぎィ〜!

「国王陛下。私めに悪のヤドリギ討伐のご認可をいただけますか?」
「うむ。わが名において命ずる。悪のヤドリギを倒し、この世に平和をもたらしてくれ」

 ワレスさんは立ちあがり、コーマ王のもとにひざまずくと、その手をとってキスをした。

「わが忠誠を陛下に」

 うぎゃーっ!
 これもカッコよすぎる。
 中世騎士道とはブロマンスと見たりー!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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