第257話 銀晶石巨兵戦!1

文字数 1,150文字



 野生のってことは、どうやら、こいつは魔王軍の兵隊じゃない。
 見ためはナッツと戦ったゴーレムによく似てたものの、ボディーはシルバンと同じ銀晶石だ。シルバンの巨大バージョンである。

「おっきいね」
「大きいですね……」

 さっき、けっきょく、シルバンとはろくに戦わないままに仲間になってしまったので、銀晶石のボディーの耐久性がイマイチわかんないんだけどさ。
 銀晶石は合成の魔法媒体になるくらいだ。たぶん、魔法が効きにくいとか、逆に吸収するとか、そんなんじゃなかろうか。

「ロラン。外のメンバーを交代しといたほうがいいよ。ケロちゃんじゃ心もとない」
「ケロ……」

あっ? ケロちゃん、傷ついた?

「そうですね。バランと、ぽよちゃんで」
「場合によっては途中でクマりんを出してもいいね。パパを呼ぶとママを呼ぶをやってくれたら、かなりの攻撃力になるし」

 人間が僕と蘭さんだけだから、僕たち二人が倒れたら、パーティーを統率する者がいなくなっちゃう。
 僕らは慎重にメンバーを選んで、銀晶石のゴーレム(大)に挑んでいくのだった。

 まずはバランの薔薇だ。
 これは、ほんとに助かる。
 力がモリモリ湧いてくる。

「じゃあ、バランはメンバーを守ってね」と、蘭さん。
「了解いたしました」

 蘭さんのマジックは以前にくらべて、いくつか増えた。

 もっと燃えろ〜(^_^*)
 冷たくなれ〜(°▽°)
 もっと冷たくなれ〜(°▽°)
 ブレイブツイストー‧˚₊*̥(∗︎*⁰͈꒨⁰͈)‧˚₊*̥
 元気いっぱい〜ヽ(*´∀`)

 そうか。ブレイブツイストって、あんな顔文字なのか。
 この前は蘭さんの表情まで見てる余裕なかったけど、白目むいて叫びながら、なおかつキラキラしてないといけないのか。
 僕にはムリだ。顔の難易度が高すぎる。

 いきなりブレイブツイスト行くのかなと思ったけど、蘭さんはようす見のつもりか、通常攻撃を四連発した。
 ビシビシと鞭が舞うと、巨兵の体から、銀色のカケラがけずれる。
 あっ、銀晶石だ。ラッキー。

 バランはぽよちゃんと蘭さんを守った。
 ぽよちゃんは……と、あっ、忘れるとこだった。

「あっ、ぽよちゃん。聞き耳してね?」
「キュイ〜!」

 聞き耳によると、銀晶石巨兵の行動パターンは思ったとおり、フルスイングアームアタック。
 それと、さっきシルバンがしてたのは、これなんだろうな。
 ミラーボール。
 ミラーボール——知ってますか?
 ピカピカ光る鏡を貼りつけた球状の装飾品。えーと、昔のクラブとかにぶらさがってるイメージ?
 まあ、この二つなら知ってる技だ。なんとかなる。
 もう一つ、よくわからない技があった。
 ミダスタッチ(ランク2)——

 モンスターの得意技でランクアップしてるの初めて見るなぁ。
 ミダス……。
 なんだろうか。
 背筋がザワザワする。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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