第162話 幻のたまりん?
文字数 1,268文字
ほのかに薔薇色をおびた純白の肌。
白磁のようなそのおもては完璧な美貌であり、夢見るような薄紫色の瞳と、くるくる巻いた
綺麗だなぁ。
こういう美少女、僕の小説のなかで、これまでにも何人か書いてきたよねぇ。
ユーベルもそうだし、『オシリスは夢のなか』のダイアナとか、『タイプJ』のエンジェルとか。『一角獣の贈りもの』のなかでは、エメロードね。
エメロードによく似たアンフィニやインウイも、ちょいカラバリとかヘアスタイルが違うだけ。
けっきょく、僕の好みなんだよなぁ。
何人、金髪美少女書くねんってほど出てくるよね。
そういう理想の美少女が涙を浮かべて、僕のほうを見つめてくるのだ。僕、失神してるけど。
「かーくんを離して! モンスターなんかにさせないから!」
「ブヒヒ? なんで、火の玉が精霊族に? まあいいわい。わがはいを止めることはできないのだぞよ。ブッヒッヒ。さあ、勇者よ。モンスターになるがいい!」
グレート所長は機械を止めて、さっき僕らがすきまから見ていたときに入れた人を手術台からおろすと、そこへ僕を乗せた。
やめてェー。モンスターなんかなりたくないよ。
そこで、僕の意識はとだえた。
完全に気絶してしまったようだ。
うーん。うーん。ヤダよぉ。
僕をモンスターにしないでよぉ。
猛ぅー。助けてー!
気がつくと、目の前にアンドーくんが立っていた。
「あっ、あれ? アンドーくん?」
「よかった。かーくん。気がついたね」
僕は変身マシンから出されていた。あたりには白衣の竜兵士が全部、倒れている。グレート所長の姿はない。ぽよちゃんは起きてるし、たまりんは火の玉だし、ナッツは気絶してる。
さっき見たのは全部、夢だったんだろうか?
たまりんがめっちゃ美少女だったんだけど?
あッ! それどころじゃない!
「ああっ、僕、モンスター? モンスターになった?」
アンドーくんがおかしそうに笑う。
「まだなっとらんよ。すぐ機械から出したけん」
「そうなんだ?」
「かーくんがどぎゃんモンスターになったか三十分後に見に来るって言って、グレート所長が出ていったけん、隠れ身で入ってきて急いで助けだしたわ」
なるほど。状況はわかった。
「ゴーレムは?」
「あそこ」
アンドーくんの指さす檻のなかにいた。戦闘が終わったから、檻に戻されたんだ。でも、あの傷じゃ再起不能っぽいけどなぁ。
「そのゴーレム。さっき、ようすが変だったよ。トドメさそうとしたとき、ナッツの腕輪かなぁ? 見たあと、急に動かんやになった」
「えっ? ナッツの腕輪?」
僕はナッツの腕を見た。
木の実で作った素朴な腕輪をしてる。
装飾品の部屋で、お母さんの首飾りだと言っていたものと、おそろいのブレスレットだ。
僕はドキッとした。
おそろいの木の実の装飾品。
それを見て攻撃をやめたモンスター。
これは、もしかして……?