第197話  重要会議3

文字数 1,040文字



 悪のヤドリギはミルキー城にひそんでいる。少なくとも、ブラン王を傀儡(かいらい)にして、つながってる。

 だからと言って、ボイクド国の騎士たちが、なんの理由もなく隊をなしてミルキー城に乗りこんでいけば、それこそ侵略ととられかねないので、それもできない。
 表立っては別の名目で乗りこみ、ひそかにブラン王からヤドリギのカケラをとりのぞくしかない。
 できるなら、悪のヤドリギ本体の居所をつきとめ討伐する。

 そこまでの話しあいはできた。

「あの国を訪問するのによい弁明があるだろうか?」と、コーマ王が言うと、ガロー男爵が頭をひねった。
 あっ、この世界ではガロー男爵は侯爵で、大臣でもあるらしい。だから、ガロー大臣だね。

「ブラン王の前のココノエ王の時代なら、友好条約を結んでいたので、なんとでも言いわけは立ったのですがね。ブラン王になってから条約は破棄されてしまった。だからこそ、らんらん姫との婚儀がひじょうに大事だったのだが」

 ああ、蘭さん、ほんとは男の娘だったから。

「ロランがいれば、自分のお城に戻るだけだから、問題なかったんだけど」

 無意識に僕はつぶやいていた。
 みんなの目が僕を見る。

「勇者とはまだ再会していないのか?」と、ワレスさん。
「まだなんです。遅いですよねぇ」
「勇者を危険にさらすのは良策とは言えない。まだ弱いからな。もう少し育ってからでも……と思っていたが、どのていど育ったかな? それによりけりだ。充分に育っているようなら、おれのサポート付きでミルキー城に乗りこんでもいい」

 えっ? ワレスさんと旅?
 ワクワク。いっしょに戦いたいです、はい。

「あの、この国でロランを見つけて保護したことにすれば、ワレスさんたちの隊がついてきてもおかしくないですよね?」
「そうだな。しかし、肝心の勇者がいない」
「そうなんですよね。そろそろ着くころだと思うんですが。フィリンドって街で僕らに手紙を残したのが三日前なんです」

 ワレスさんは考えこんだ。

「おかしいな。フィリンドからなら、もう到着していていいはずだ。おれの部下を使いに出そう」
「ありがとうございます」

 会議は終わりだ。
 そのさきのことは、蘭さんが来てからじゃないと。

 蘭さんたちがやってくるまでのあいだ、お城や街の見物をしたいなぁ。
 そう思っていたときだ。
 ワレスさんが言った。

「ならば、勇者の代わりに、おまえの実力を見てやろう。兵士訓練所に来い」

 えっ? 僕ですか?
 はいはい。行きます。行きます。
 わ〜い。憧れの英雄に手あわせしてもらえるよ〜
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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