第227話 ポルッカ戦!5

文字数 1,420文字



 おばあちゃん。強い。
 ばあちゃんパワー、あなどれなかったよ。
 もしかしてターン経過の回数だけ仲間呼びできるんじゃ?
 だとしたら、3ターンでは三回仲間を呼んで、ケロよんがさらに六匹も増える。

 そうなったら、いくら頑丈な三村くんとバランが残っても、集中攻撃されて、ふつうにダメージで倒れてしまう。

 ふっ。全滅かなぁ。
 クルウが助けてくれないかなぁ?
 立ってるだけなら、スズランと代わってくれないかなぁ?
 とは言っても、スズランも石化を治す魔法は覚えてなかったよね?

 泣いたよ。今、僕、石なんで、涙は流せないけど、心は泣いたよ。

 そんなことを考えているうちに、3ターンめに入った。
 四匹のケロよんの舌が舞う!
 二匹は三村くんを、一匹はバランを、もう一匹は蘭さんをなめた。

 ああー! 蘭さんまで石になるのか?
 そしたら、いよいよ指示を出す人がいなくなる。

 石の心臓がドキドキする。
 ん? 鼓動してないか?

 けど、よかった!
 ケロよんのフェイントは石化確率50%だ。フィフティーフィフティー。
 蘭さんは麗しい顔をしかめたけど、石にはならなかった。
 くう……僕って、幸運数値が高いわりに、意外と運悪くない? 肝心なときにかぎって失敗するみたい。
 やっぱりズルして数値あげたからかな? ちゃんとこの世界の神様に幸運度99998と認識されてないのかな?

 蘭さんがつぶやく。
「……なまあったかい」

 そうかぁ。ケロよんの舌はあったかいのかぁ。ぬいぐるみなのになぁ。

 とにかくだ。
 このターンのケロよんの攻撃、持ちこたえた! そこ、とっても大事です。

 薔薇、発動!
 もっとがんばろ〜が三回も重ねがけ。
 さらに、バランの全ステータスはこれで、それぞれにプラス300。

 蘭さん、また四連続攻撃かな?
 いや、違う?
 両手をひろげたぞ?

「虹のオーロラー!」

 あっ! スゴイ。天井に七色のオーロラがかかった。わあっ。キレイだなぁ。
 オーロラなんてテレビでしか見たことないけど、まあ、たいていはグリーンだ。まれに赤とか、紫とグリーンの混合ね。
 まさか、レインボーのオーロラを見れるなんてねぇ。眼福だったよ。
 心も弾むし、体も軽くなったような気がする。今なら石のままでも動けそう……って?

「あっ! 石じゃない! もどったー!」
「虹のオーロラは味方にかかってるすべての悪い効果をとりのぞきます。敵に対しては、ステ上げなどのよい効果のすべてが打ち消されます」
「ロランが前に言ってたやつだね。おぼえたんだ」
「ええ。勇者職、マスターしました」
「そうなんだ」
「今は魔法使いなんですよ」

 なるほどね。それで、蘭さんの攻撃がイマイチだったんだ。職業補正で力が低くなっちゃってるんだな。

「もっとがんばろ〜のおかげで、だいぶ攻撃力あがったから、このくらいならいけるかな。見ててください。僕、強くなったんですよ」

 蘭さんはニコっと笑うと、一撃ずつ、バジリスク隊長を叩いた。

 大丈夫かな? 両方とも倒れてないけど。
 蘭さんは1ターンに四回行動できる。
 でも、一回は虹のオーロラで使ってるし、バジリスク隊長を一撃ずつ。
 残りあと一回しか行動できないけど?
 バジリスク隊長が尻尾切りで再生しないように、ほかのメンバーで補助するしかないかな?

 が、次の瞬間だ。

「勇者、最終奥義です。ブレイブツイストーッ!」

 蘭さんが叫ぶと、虹色の二本の巨大な光が、ねじれあいながら竜のように敵全体を横なぎにしていった。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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