第259話 銀晶石巨兵戦!3

文字数 1,278文字



 とにかく、僕らのターンだ。
 続いて薔薇が発動する。
 僕は一回、馬車に入ったから、前のターンの薔薇の効果は切れてるみたいだ。

「短期で決着つけるしかないかな。僕、ブレイブツイストをしますね」
「えっ? もう?」
「ほんとはもう少し、薔薇効果が高まってからにしたかったけど、ややこしいことになっちゃったし」
「う、うん」
「ケロ?」

 ケロちゃんは僕をなめてきた。
 僕には石化きかないけどさ……。

「さっき聞き耳で見たとき、銀ちゃんのHPは5800だった。さっき、ロランの四連続攻撃で、450けずれてるから、残りは5350だ」
「ブレイブツイストはMP消費するけど、直接攻撃系の技なんだ。通常攻撃の十倍のダメージを与える。攻撃力が上がれば、ダメージも強くなる」
「えーと、もっとがんばろ〜の効果は一回につき30%アップくらいみたいだよ。ロランは職業補正で力が64だよね。一回めの薔薇で83。二回めで107まで上がってて、これに武器の攻撃力が加算されて、その十倍がブレイブツイストの威力だね。じっさいには敵の防御力も関係するけど」
「ケロ?」
「ケロちゃん。僕をなめないでください。なまあったかいから」
「ケロケロ?」

 ケロちゃんは難しい話が嫌いみたいだ。やたらにペロペロしてくる。
 まあ、さっきの蘭さんの攻撃の三割増しの五倍がブレイブツイストの威力になる。140かけることの十倍。約1400ダメージってことか。
 今の蘭さんのMPだと三回しか使えないから、ダメージは合計で4200。
 銀ちゃんの残りHPは1200くらい。
 僕とバランの攻撃でそのくらいは行きそうだ。とくにバランは薔薇二回で200もステータスが上がってるから。

「わかった。じゃあ、任せる。ケロちゃんもレベルが上がって、もっと知力がついたら、ちゃんと命令を聞いてくれるようになるし。早く敵を倒してレベルを上げよう!」

 今はレベル1の赤ちゃんみたいなもんだからな。可愛いっちゃ可愛いんだけど、ボス戦では命とりだ。

「じゃあ、このターンで決着つけましょう」
「うん」
「了解いたしました」
「ケロ?」

 ああっ、バランがなめられて顔をしかめてる。顔っていうか、バランのサイズだと、ほぼ全身だ。ベロンと頭のてっぺんからつま先まで、ひとなめ。

 蘭さんは叫んだ。
「ブレイブツイストーッ!」

 僕は思わず、蘭さんの顔をじっと見てしまった。白目はむいてない。でも、なんかこうキラキラが発散されている。
 なるほど。あのキラキラが出せる人じゃないと勇者になれないってことなんだな。

 さらに蘭さんは連続して二回、ブレイブツイストを使った。
 銀ちゃんがフラフラしてる。
 続いて、バランの二連打!
 ローズクォーツの杖の石突きで、うまいぐあいに銀ちゃんの眉間を叩く。黒ぽよのくぽちゃんのジャンプ力があるからこそ、あそこまで届くんだね。
 スゴイ! 通常攻撃なのに800ダメージいった。

 よし。僕の番だ。やるぞ!

 僕は思いきり走っていって、銀ちゃんの腰の関節を精霊王のレプリカ剣で叩いた。カッキーンと高音が響きわたる。
 銀ちゃん、哀れ。ガラガラと崩れおちていった。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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