第150話 赤、青、黄色の意味

文字数 1,186文字



「アンドーくん。コイツら、わりと簡単に倒せるから、MPは温存しとくほうがいいよ」
「わかった」

 アンドーくんは短剣で赤い本のまんなかを突く。本に刃の形の穴があいた。だけど、トドメは発動しなかった。残念。まだ倒れてない。

 次は僕のブーメランね。
 幸運度がバグのままなら、ブーメランの攻撃力はさほどじゃないんだけど、小説を書くのおかげで、クリティカル率がめっちゃ上がったからなぁ。
 ブンとハガネが風を切ると、黄色い本が半分にちぎれて床に落ちた。
 赤い本はヒラリ。
 青い本には当たったけど、通常ダメージだ。ふらふらしてるものの、落ちない。

 たまりんがハープを弾いて、ナッツの攻撃で穴のあいた赤い本が倒れる。

 一体、残っちゃったな。
 まあ、たいした攻撃してこないだろうけど——という僕の予想はくつがえされた。

 青い本はいきなり氷属性最強魔法『凍りつけ〜』を放ってきたのだ。

「ギャーッ! 痛い。冷たい。凍る! 凍るよッ!」

 みんなが即死魔法を浴びないように、僕が前面に立ってたから、ターゲットは僕。
 さ、寒い。凍えてしまう……。
 血の気がいっきにひいて、僕はめまいでクラクラになってしまった。HPが瀕死(ひんし)にまで下がってる。

「うう……血を……血を返してくれェ……」

 あっ、血じゃないか。
 どっちかっていうと体温ね。
 でも、そのときは前にコウモリ男に血を吸われたときの感覚におちいった。
 青い本にストローをさして、チューチュー、チューチューチューと血を吸いとる妄想をする。
 すると、不思議なんだよね。なんでか少し体温が戻ってきたような気がした。

 あれ? 変だな。
 僕のステータス。最大HPが上がってないか? レベルアップしたわけでもないのに、3ほど増えてる気がするんだけど?
 クラクラしてるので、そのときは幻覚だと思った。

 次のターン、たまりんがゆらりと揺れると、僕のHPはモリモリ復活した。

「な、治った! そうか。たまりん、僧侶だったもんね。ありがとう。助かった」

 ゆらゆら、ゆら〜り。
 嬉しそうな人魂もわりと可愛いもんだね。

 アンドーくんの通常攻撃で、青い本は倒れた。
 基本の勝利報酬のほかに、宝箱が一個。“赤い魔法”というカードみたいなものが出てきた。カードの表面に『もっと燃えろ〜(^_^*)』と書かれている。

「ああっ、わかったよ。赤い魔法が火の攻撃魔法。青い本は氷属性の呪文を唱えた。ってことは、アイツら、色によって属性が違うんだ。赤い本は火、青い本は氷、黄色い本は風属性とかかな? だから、属性にあった攻撃魔法じゃないと効かないんだ」
「なるほどねぇ。そうでだったかぁ」

 やっとコツがわかった。
 そのあともたくさんブッキーが出現したけど、今度は楽に倒すことができた。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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