第82話 フェニックス戦! 2

文字数 965文字


 僕は不安なまま、フェニックスを見つめた。

 フェニックスはドシンと片足をふみならした。大地が揺れ、僕らはおもしろいようにコロコロと転がる。
 ちょっとあちこち打ち身をしたものの、大したダメージじゃない。
 よかった。これがフェニックスの攻撃か。なんだ。HPは高いけど、攻撃はさほどじゃないってタイプなんだな?

「ロラン。僕が回復役にまわるから、攻撃は二人に任せたよ」
「わかりました」

 ここは蘭さんの「みんな、がんばろ〜」と、ぽよちゃんのアルテマハイテンションアタックで、ガッツリHPをけずっていくしかない。

 蘭さんはさっきと同じ行動。
 三村くんと、ぽよちゃんも同じ。

 僕だけは蘭さんに「もっと元気になれ〜」と回復魔法をかけた。最初の翼のダメージとさっきのコロコロのダメージで、HPが半分になってたからだ。
 蘭さんのHPがマックスに近くなった。

 次のフェニックスの攻撃、今度はさっきとは反対の足をドシンと鳴らす。
 やっぱり、たいしたダメージじゃない。
 この敵、ただの持久戦だぞ。
 HPが高い敵は倒すのに時間かかるけど、大きな攻撃が来なければ、さほどの心配はない。

 僕は安心しかけた。
 このまま、らくに削っていけると。
 次の僕らのターンは、ぽよちゃん以外、全員でアタック。あるていどのダメージは与えた。たぶん、フェニックスのマックスHPの十分の一くらいは。

 ところがだ。
 次のターン、フェニックスは妙な行動をとった。
 片方だけ翼をあげて、かるく背伸びするようなポーズをとる。心なしかクチバシの端が持ちあがってるぞ。
 すると、フェニックスの全身が淡く光りだした。
 な、なんだこりゃ?
 も、もしかして……もしかして、コイツ、ケガを治癒してないか?
 ああ、光りがおさまったフェニックスの体はピッカピカ!
 僕らの与えたわずかのダメージなんか、最初からなかったことになってしまってる!

 こいつ、『元気になれ〜ヽ(*´∀`)』を使いやがった。
 だから、かたっぽだけ羽ひろげたのか。
 さっきのアレが、フェニックスの笑顔か……。

 ど、どうしたらいいんだ?
 HP高い上に回復魔法まで使うなんて、これじゃこっちのMPがさきにつきちゃうよ。
 どうにか打開策があるんだろうか……?
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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