第31話 ミノタウルス戦! 3

文字数 1,039文字



 蘭さんが呪文を詠唱する。
「みんな、がんばろ〜!」

 どんだけ上げる気だ?
 と思ったら、次は蘭さん、ドラゴンテイルをふるった。
 斧をぬくために四苦八苦しているミノタウルスに見事にキマる。ミノタウルスの背中に赤いミミズばれが浮かびあがった。
 ミノタウルスの息がちょっと荒くなってきてるぞ。けっこう効いてるみたいだ。

 そして、三村くんのブーメラン。
 三村くんと僕は一回ずつしか攻撃できない。ミノタウルスとの素早さの数値の差が、二回攻撃できるほどにはひらいてないせいだ。

 僕は三村くんがブーメランを投げたあと、すぐに走りだした。順番から言って、攻撃のあと急いで逃げださないと、僕がターゲットにされる可能性が高い。

 僕はミノタウルスの背後にまわりこみ、破魔の剣をスコンとツノのあいだに叩きこんだ。
 か、固い。
 ぜんぜん切れない。
 これ、ほんとに剣か?
 それともミノタウルスの皮膚が丈夫すぎるのか?

 とにかく、効いてるかどうかじゃない。切るっていうより剣で殴ったあと、そのまま、うしろにとびすさる。

 ちょうどそのとき、三村くんの投げたブーメランがミノタウルスの胸を強打した。ミノタウルスは瞬時、よろめいた。最初にみねをやられてるから、足元のダメージが残ってるのだ。

 ミノタウルスは急に怒りだした。
 HPが減ってきたのかもしれない。
 斧をぬいて反撃してくる。
 すかさず、三村くんが自ら前に出て、ミノタウルスのフルスイングを鉄の盾で流した。

 スゴイぞ。
 僕らのパーティー、けっこう相性いい。

 次はまた、蘭さんの番だ。

「みんな、がんばろ〜!」

 まだ上げるのか。
 でも、行ける。
 力があふれてくる。エネルギーの奔流が全身をかけめぐり、爆発しそうだ。

 さらに蘭さんは鞭をふるった。
 今度はミノタウルスの足をからめとり、横倒しにする。

 よし。三村くんがブーメランを投げた。
 次は僕の攻撃だ。
 もうミノタウルスは虫の息だ。
 ふうふう言ってる。
 次の一撃でしとめられるんじゃないかな?

 僕は、つい欲張ってしまった。
 僧侶はみんなの回復役だ。
 守りと回復に徹しないといけなかったのに。

 横倒しになったミノタウルスのみぞおちを、ゴツンと一発。
 たしかに、すごく効いた。
 ミノタウルスが一瞬、白目をむいた。
 でも、次の瞬間、ミノタウルスは雄叫びをあげて起きあがり、僕の頭上に巨大な斧をふりかざした。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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