第350話 レッドドラゴン戦!1

文字数 1,181文字



 ジャラーン、ジャラーンと、ボス戦は音楽だけでも、不安をあおりたてるよね。

 僕は念のために財布の中身を確認してみた。所持金はステータス画面で見れるから、ひとめでわかる。

 さっき、預かりボックスに入れた五百億円はやっぱり所持金あつかいじゃない。地下牢のなかはダンジョンじゃなかったから、この遺跡っぽい洞くつに入ってから拾った金額が今の所持金。

 す、すごいな。
 この洞くつ広かったから、二千五百億円、拾ってる。

 あっ、ヤバイ。ヤバイ。傭兵呼んだら一回で二十五億円も支払うことになる。僕は急いで、所持金を財布ごと預かりボックスになげこんだ。預かりボックスも四次元ポケット仕様らしい。助かる。傭兵呼びするときは、ここから出して使おう。

「じゃあ、いざとなったら、僕は傭兵呼びを使うよ。ぽよちゃんが寝ちゃったから、かわりにアンドーくん前衛お願い。みんな巻きで」

 うなずくアンドーくん。

 ちょっと心配なのは、うちのモンスター軍団たちのHPの低さだよね。小さいモンスターたちだから、総じてHPが人間よりだいぶ少ない。

 ケロちゃん、あのあとレベルが27にまで上がったから、ステータスもだいぶ伸びた。
 HP118、MP42、力66、体力66、知力90、素早さ120、器用さ40、幸運70。

 それでも、ものすごい火炎ブレスをくらったら、一発だ。
 国境の火竜戦でのとき、雄叫びを使った火竜は、ブレス一回でバランを瀕死に追いこんだ。弱点が火属性だったとは言え、バランの最大HPは300だ。
 ケロちゃんのHPが、いかに心もとないかわかるってもんだ。

 僕は戦闘直前だけど、急いでスマホを出して、ケロちゃんのHPにプラス100を書きこんだ。つまり、HP218と。ついでに、ここにいるモンスターたちは全員、足しておく。人間はいっぺんに100もHP増えたら、本人に怪しまれるかもしれないのでやめておく。
 よしよし。これで、ひとまず一撃死はまぬがれるだろう。

「かーくん。何しちょう?」

 イケノくんの無邪気な質問に、僕はてきとうに「うん。まあ」と答えておく。他意はない。戦闘前で落ちつかなかったからだ。

「じゃあ、行くよ! ぽよちゃん。聞き耳!」
「むにゃ……キュイ」

 ムニャムニャしてるぽよちゃんも可愛いなぁ。

 レッドドラゴンの行動パターンは、思ったとおり、雄叫びとファイヤーブレス。
 ただ、僕は気づいてしまった。
 ファイヤーブレスだけじゃない。
 ギガファイヤーってブレスがあるよ?
 ギガ? メガ飛びこえて、いきなりギガ?
 あと、あばれるも使う。
 これって、テディーキングの技だ。
 四連打攻撃だよね?

 しかも、HPは30000。
 フェニックスでも一万くらいだった。
 コイツはその三倍だ。

 強い……。
 レッドドラゴン、めちゃくちゃ強いぞ。

 ジャラーン、ジャラーン……って!
 だから、この音楽やめてくれェー。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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