第235話 早くなりたいゴールド会員

文字数 1,399文字



 武器屋と防具屋に行ってみた。
 さすがは大きな都市のギルドだね。
 品ぞろえが豊富だ。
 これまで立ちよったことのある店に置かれていた品物はすべて、そろっていた。

 シルバーシリーズも全部、置かれている。ポルッカさんの店にはなかった、銀のヤリや、銀の弓、銀のよろい、シルバーブーツなど。
 シルバーシリーズより数値のいい炎シリーズが防具のみ置かれていた。
 炎の帽子、炎のよろい、炎の手袋、炎の靴だ。防御力はシルバーシリーズとほとんど変わらないけど、火属性のダメージをそれぞれ5%ずつ軽減してくれる。シリーズセットで装備すると、さらに効果が倍になる。つまり、四点セットで装備すれば、火属性ダメージを40%カットできるのだ。

「うーん……炎の攻撃がメインのダンジョンに行くときは、これが必須になりそうだね。炎のよろいって言うけど、軽鎧タイプだから女の子でも装備できるし」

 真っ赤な色のレザージャケットみたいなものだ。赤いライダーズジャケット。猛に似合いそうだなぁ。

「これ、そのうち必要になりそうな気がするから、人数ぶんセットで買っとこうか。帽子やブーツは今の装備より強いから、今からでも装備しとけばいいし」

 炎の手袋は盾あつかいのようだ。盾装備ができない人にも装備できる。
 それに、盾なのに攻撃力も10上がるのがいい。さっき銀の盾を買ったから、どっちを装備するか迷うとこだね。防御力は手袋より、銀の盾が上。

「じゃあ、炎シリーズのセットを六人……いや、八人ぶんください。ケロよんも着れるかもしれないし、予備は預かり所に預けとくから」
「ありがとうございます! しめて十四万四千円になります! あっ、ダブルAなんですか? じゃあ、二割引きで十一万五千二百円ですね」

「あと、銀の弓、スズランさんが装備できるよね? それを一つと、銀のヤリも誰か装備できるかもだし、予備でもらっとこ」
「はい! 八千五百円の二割引きで六千八百円です。では、合計で十二万三千七百円ですね」
「はいはい」

 この世界には消費税という概念がないのか。ありがたや。

 僕はみんなに武器防具を渡した。帽子とブーツがみんな赤くなって、銀の盾を持ってるので、制服みたいだ。僕だけ旅人の帽子のほうが、まだ数値が高かったんで、帽子はそのままだけど。

「じゃ」と言って立ち去ろうとすると、店員が呼びとめた。
 それにしてもこの店員、サンディアナのソウレさんとペリペンさんにそっくりだ。

「かーくんさんは今ので、ギルド加盟店での買い物総額が五十万円に達しました。シルバー会員です。これ、どうぞ」

 シルバーのカードを渡された。今までのカードはスタンプがいっぱいになってる。
 そうか。まだシルバー会員なのか。
 ゴールド会員に早くなりたいなぁ。

「あの奥の部屋って、もしかして?」
「そうです。ゴールド会員さま限定の高級商品のみをあつかう専門店です」
「いくら使えばゴールド会員になれるの?」
「五百万円ですね」

 シルバーカードはスタンプを百個押せる。つまり、五万円で一個のスタンプ。
 五百万か。寄付のつもりで雑貨を買いまくってもいいんだけど、雑貨は単価が知れている。やっぱり武器防具を買わないとなぁ。だからって、使いもしない装備品、たくさん買いたくないし。

「あっ、そうだ! 合成屋があるんでしたね? あそこでお金使うのも、買い物に入りますか?」
「ああ。入るよ」

 よしッ! 合成しまくるぞ!
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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