第301話 次はアラビアンなセット
文字数 1,420文字
「ぽよちゃんには?」
「アラビアンナイトセットAやな」
なるほど。アラジンが着てそうな赤い袖なしのジャケットに、白いふわっとしたパンツ。それに羽飾りのついた白いターバン風の帽子だ。
胸に精霊のアミュレットをつけると、いい感じにマッチする。
「さすがだね。どう見ても今のセーターとズボンのほうが露出度が少ないのに、アラビアンナイトの防御力が高い。ジャケットとパンツで70か。帽子は35。しかもジャケットに炎属性攻撃20%カット! あっ、即死系魔法無効の効果もついてる!」
「ええやろ〜? ジャケットの裏、見てみぃや。ぽよちゃんってネームが入っとるやろ? 今回は時間かけたんで、愛情の入りぐあいも完璧やで」
前に即席で作ってもらった帽子のネームししゅうは、即死系魔法の確率半減だった。
でも、今回のジャケットのネームタグは、ぬいめが細かいし、月とラクダの模様まで入ってる。これが愛情の違いか。
「いくらなの?」
「セットやし、一万五千円やな」
「買うよ。あっ、薔薇のコサージュもちょうだい」
「毎度〜」
ぼられてる。
でもいい!
「ぽよちゃん。おいで〜」
「キュイ〜」
「お着替えしようねぇ。ああ、可愛いよ。やっぱ可愛いよぉ〜!」
アミュレットもつけて数値も上がったし、いいことづくしだ。
薔薇のコサージュがモチーフ的に浮かないこともないが、そこはいいや。気にしない。
「ちなみにこの薔薇のコサージュって人間はつけられないの?」
「つけられるで」
「僕のも買おう。今、ばあちゃんのアミュレットとギルドバッジだから。バッジより、こっちのほうが防御力高いし、火属性軽減が嬉しい」
「毎度〜」
僕はバッジを帽子から外して、かわりにコサージュをそこにつけた。現実ではやらないカッコだが、この世界では数値がすべてだ。恥ずかしさより命が大事。
「このアラビアンナイトセットBってのは?」
「これや」
ぽよちゃんのとセットの赤いジャケットと白いふわっとしたスカート、グリーンの石のひたい飾りのセットだ。防御力はセットAと同じ。
「女の子用か。たまりんは妖精の羽衣、着てるしな。ケロちゃんは男の子だし、それに今の炎シリーズがよく似合ってる。シルバンは重鎧が着れるみたいだから、オリハルコンのよろいでいいや。モリーは体形が特殊だし……バランはこういうの着るタイプじゃないよね」
バランをながめた僕は、ふと気づいた。
ん? もしかしてだけど、くぽちゃんが着れる?
「ああーッ! 着れる! くぽちゃんも装備品つけられる!」
なんてことだ。今まで、ぜんぜん思いもよらなかったけど、くぽちゃんも防具つけられるんだ。しかも、くぽちゃんが装備すると、バランの数値が上がる! バランだけ着せとけばいいってわけじゃないんだ。
くぽちゃんにアラビアンナイトBを着せると、ぽよちゃんとペアみたいで、より可愛いじゃないかっ!
なんてことしてくれるんだ、三村くん。センスよすぎるぞっ。
「セットBもちょうだい」
「毎度〜。一万五千円やで」
ぼられるなぁ……。
「ほな、オマケで、ぽよちゃんとくぽちゃんに、アラビア風リストバンドや。くつのあつかいやし、コサージュつけても、まだ履けるやろ」
赤に銀のふちどりのやつだ。
防御力は15。攻撃力プラス10%の付加。
「あっ、ぽよちゃんは風のバンダナがつけられなくなっちゃうなぁ」
コサージュを合成することができればいいんだよな。服装的にも、イマイチあわないし。
今回もいっぱい買ったなぁ。