第228話 ポルッカ戦!6
文字数 1,035文字
二重らせんを描くまばゆい光がやんだとき、敵は一瞬で一掃されていた。
バジリスク隊長ABも、四体のケロよんも目をまわして倒れている。
ポルッカさんだけが白目をむきながら立っていた。
まだ倒れないんだ。
やけに強いな。
この人、ほんとにただの老婆なのか?
「あと少しですね。もう倒せますよ」
「そうだね」
僕らが剣をかまえなおしたときだ。
マルッカとムルッカがとびだした。
「ママー!」
「ママをいじめないで?」
うっ。いじめてるわけじゃないんだけどな。
痛い。子どもの涙目は痛い。
どうしようかと戸惑っていたときだ。
ポルッカさんが白目をむいたまま、笑いだした。
「ハハハーッ! きさまが勇者か! この子どもの命が惜しければ、おとなしく私めに殺されるがよい!」
おかしい。
コイツ、ポルッカさんじゃないぞ。
口調もさっきと変わったし、声が違う。
「悪のヤドリギだ!」
僕は気づいた。
ポルッカさんの喉のところがモコモコしてる。
ヤドリギのカケラだ!
ポルッカさんが失神してるから、あいつがポルッカさんの体をあやつってるんだ。
ヤドリギに支配されたポルッカさんは、ムルッカをつかんで、どっかからとりだしてきたナイフを喉元につきつけた。
ひ、卑怯な……。
ポルッカさんだって、ほんとはそんなことしたくないんだよ?
きっと心のなかでは泣いてるんだ。
蘭さんは歯ぎしりしている。
誰も動けない。
一歩でも動いたら、ムルッカが切りさかれてしまう。
でも、そのとき、僕はふと思いついた。
そうだ。あの技は残りHPが少ないほど高い確率で発動するんだよな。
僕がチラリと横目で見ると、アンドーくんはうなずいた。
アンドーくんの姿が、ふつっと消える。
「ハハハハーッ! さあ、勇者、観念するがいい! 私めが成敗してくれますよ?」
高笑いしてるけど、見えてないんだな。
もしかして白目むいてるから?
いやいや、でも僕らのことは見えてるみたいだからな。白目でも見えるんだ。
「ハハハハハーッ! さすがに勇者でも手出しできぬみたいよのぉ。ほほほ。おまえを殺して手柄にしてくれるわ!」
どうでもいいけど、えらく長広舌。
よくしゃべるなぁ。
あんまりいい気なって、そんなにひっぱってると、どんなめにあうかわかんないよ?
「ハハハ! ハハハハハハハハーッ!」
えい。ポコリ!
とつぜん、ポルッカさんは倒れた。
ポワーっとポルッカさんの口から、ヤドリギのカケラがとびだしてくる。
アンドーくん、隠れ身発動中!
やったね!