第134話 ルベッカさんを救え!
文字数 1,266文字
ふたたび一階に戻ってきた。
一階にはまだモンスターがたくさんいたが、かけつけた冒険者がいるので、じょじょに減ってきている。
それに、渋ワイルドな黒髪の武器屋のおじさんが、モーニングスターをふりまわして大活躍している。クサリで鉄球がつながってるから、正確にはフレイルだ。
「僕らはさきにルベッカさんを助けに行こう!」
「そげだね。女の人を助けらんと」
僕らは二階へと階段をかけあがった。
二階にも見習いガーゴイルやコウモリ男がいて、あばれまわっている。
細いろうかの奥から女の人の悲鳴が聞こえていた。
「ルベッカさーん! 助けにきましたよー!」
待っててください。ルベッカさん。
あのカッコよくて色っぽい赤毛のお姉さんを危険にさらしてなんておけない。一刻も早く助けださないと。
ろうかが細いから、モンスターも
つまり、戦闘に入っても、ぽよちゃん対モンスターの一対一なので、勝負は一瞬で決まった。すれ違いざまのぽよちゃんのなで切りで、ろうかは死体(ほんとは気絶してるだけ)の山だ。
僕らはその気絶体をとびこえて進んでいく。
「ルベッカさーん!」
うおおおーッ!——と悲鳴? いや、雄叫びが聞こえてくる?
僕らがつきあたりの情報屋の前にたどりつくと、ルベッカさんがムチをしならせ、コウモリ隊長と一騎打ちの最中だった。
コウモリ隊長はコウモリ男の大きいやつだ。一メートル五十センチほど。本来はコウモリ男を従えて出てくるモンスターなんだけど、ろうかが細いことが幸いして、お供はよこに並べない。
お供のほうはかけつけてきた僕らが、サクッと倒した。
「情報ノートは誰にも渡さないよ! あたしのムチの前にひざまずきなッ!」
ギャー! カッコイイーッ!
ビシッ、ビシッとうなるムチ。
立ちあがったルベッカさんはウエスタンスタイルの革のミニスカだ。ニーハイブーツからのぞくふとももが健康的!
僕らの見てる前で、コウモリ隊長は目をまわした。
まわりにはルベッカさんが倒したらしいモンスターが何匹も
なんか、助けいらなかったかも。
「ルベッカさん。強いんですね」
「あたしと武器屋のソウレ、防具屋のペリペン、預かり所のフラウは昔、パーティーを組んで旅する冒険者だったんだ。でも、このままずっと一人で戦闘は厳しかった。ありがとう」
ああ、美女のありがとうって、美味しいなぁ。
「あたしは大丈夫だけど、フラウが心配だ。フラウはプリーストだったから、攻撃力はさほどじゃない。一人で苦戦してるかも」
「助けに行きましょう」
ルベッカさんはノートを黒革のリュックにつめこんで背負った。カウンターをとびこえて、こっちに出てくる。
僕らは急いで、となりの預かり所に向かう……んだけども、そこには驚愕の光景が広がっていた。
な、なんだコレ?
僕らが通りすぎてきた長いろうかには、るいるいと気絶体が折りかさなっている。ぽよちゃんが倒してきたんだから、それは当然なんだけど。
じゃあ、なんで、倒れてるのが全部、人間なんだ?