第129話 ホワイトドラゴン戦! 3

文字数 1,606文字



 僕と三村くんの攻撃は同じだ。通常攻撃のみ。
 でも、僕の攻撃はかなりの頻度でクリティカル化する。クリティカルになると100以上のダメージを食らわせられるから、けっこう主戦力になれた。

 早く三村くんに、もっといい武器を持たせないと、戦士になってもらった意味がない。ムダに高い腕力がほんとにムダになってる。

 それでも蘭さんと僕の通常攻撃で、毎ターン300以上のHPをけずることができた。

「この調子なら、もうすぐ倒せますね」
「あと3ターンくらいかな」

 しかし、油断したころが危ないのだ。
 いつも、そう。

 蘭さんの四連続攻撃!
 と、そのときだ。
 蘭さんが悲鳴をあげて、とつぜん倒れた。

 蘭さんのレベルは今22。
 最大HPは192だ。
 そのHPが19にまで減っている。
 反射だ。
 ホワイトドラゴンの反射攻撃が発動した!

「ロラン!」
「だ……大丈夫。続けて……あとちょっとだ」

 ところが、そのあと、「もっと燃えろ〜」を放ったアンドーくんも、「わッ」と叫んでひざをついた。アンドーくんはもともとのHPが高い。でも魔法使いの職業病でマイナス補正がかかるため、今のHPは175。90も減ってる。

「反射攻撃って、連続するときは連続するのか」
「それか、そのターンずっと続くかやな。二人、早よ治さんとあかんで」
「シャケ。スズランと代わってくれる? スズランなら全体回復魔法を使える」
「せやな」

 ところがだ。
 なぜか、スズランよりさきに、たまりんが馬車から降りてきた。

「えっ? たまりん?」

 たまりんはポロロロンと、海鳴りのハープを弾いた。
 な、なんで今?
 海スライムのときもだったけどさ。
 たまりん、こんなに聞きわけのない子だった?

 しょうがないから、とりあえず深手の蘭さんに僕は「もっと元気になれ〜」をかける。なんとかHPの半分が回復した。
 やっぱり僕、僧侶でないとダメだったかな? こういうとき単体でも全体でもいいから、完全回復魔法があれば……。

 次のターン、蘭さんは大事をとって、まず自力で「元気になれ〜」と回復。
 ほぼ全回復した。

「まだ反射するかな? でも、僕の攻撃力で試すのはギャンブルすぎますか?」
「僕が破魔の剣の装備魔法で、ようす見たほうがいいよ」
「そうですね。お願いします」

 蘭さんは待機行動をとった。
 アンドーくんも薬草をかじる。
 たまりんは、またポロポロポロンとハープをいじる。手がないのに演奏できるのが不思議なんだけど。吐息で吹いてるのか? それとも……念力?

 しょうがないんで、僕は破魔の剣をかかげた。
「破魔の剣〜」

 って、やっぱり返ってきた!
 パラパラと火の粉が僕のまわりで飛びちる。

「アチチ。あちッ。まだ反射してるよ」
「何ターンか続くんですね」
「困ったなぁ」

 いったい何ターン続くんだろう?
 そこが問題なんだよな。
 攻撃できないと、ホワイトドラゴンが魔法バリア張らなくなるし、そのぶん反撃されるようになる。今度はこっちのHPがけずられていく。

 次のホワイトドラゴンのターンは聖なる光だった。ピカッと光って、痛いというより、まぶしい。

「ああ、目がくらんだ!」
「前が、よく見えませんね」
「どげする? 攻撃できんよ」

 聖なる光は、目くらましの付加攻撃だったのか。
 これじゃ数ターン攻撃できない。
 どっちにしろ反射攻撃が解けないと攻撃はできないんだけど。
 あっ、まさか。ちょうど反射攻撃の切れめに目くらまししかけてきたのかッ? こっちの攻撃を封じるために? あわせ技、使ったのか?

 もうダメかもと、僕らのあいだに悲壮感がただよう。

 ところがそのとき、ハープの音色がとても美しい音楽を奏でた。
 心地よい音の波が、僕らを洗ってくれるかのようだった。
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登場人物紹介

東堂薫(僕)

ニックネームは、かーくん。

アパレルショップで働くゆるキャラ的人間。

「なかの人、しまねっこだよね?」とリアルで言われたことがある。

東堂猛(兄)

顔よし、頭よし、武芸も達人。

でも、今回の話では何やら妙な動きをしている。

九重蘭(ここのえらん)

同居している友人……なのだが、こっちの世界では女の子?

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