247 _______ ‐3rd part‐
文字数 1,656文字
「大体、勝庫織莉奈のことは、それ以前に三日連続で家まで尾行していたんだ、もう、無事に帰り着くのか心配で送っているようなものさ。勿論、無事を心配する根拠は違うんだけどね」
「三日も……勝庫織莉奈が、要らぬことをしないかって心配まで?」
「そうそう。スレで、喧喧囂囂 やり合ったところで、ペダンティックな知識のひけらかしでしかないもんだから、現実で完全犯罪を目論むボクの前には、何の足しにもならない」
「…………」
「ボクはボクで、彼らのような話題が交わされるサイトを前前から監視していて、気になるワードが検出されたら、スグに知らせてくれるAIまで導入していたし」
「……AIって……」
「でもって、そもそもボクは詰め用心で、田宮謡のツアーに沿うように、実際に当地の街までパトロールをしに行って、勝庫織莉奈も特定できたんだ」
「……そんなレヴェルのを使ってたわけ?」
「まぁそう、そんなチャチくない。モニタリングソリューションに特化させようとはしていたものの、性能レヴェル的にはほぼAGI(汎用人工知能)だからね。ボク自身の監視よりも遺漏がないんだ」
「…………」
「まったく、全国八八都市だなんて迷惑なことをしてくれるもんだよ。栃木で済んでくれてホント助かった。勝庫織莉奈も小賢しい分、こちらの行動パターンをしっかり把握した上で張り込んでくれたから、実にチョロかったし」
「でも葉植さんっ。オレにはITオンチだって言ってなかった?」
「まだそこぉ? でも音痴だって、唄えることは唄えるでしょ。一応ボクも、在栖川の特待生程度にはITを使い熟せるさ」
「……だよ、ね……」
「AIはさ、前前からお祖父ちゃんが使える環境を拝借して、実験的に用途別で育てていたんだよね。ただ、他人が組んだヤツはウザ苦しいんで、有勅水さんが整えてくれた販売システムも、お義理程度に使っただけ」
「…………」
「ボクも、楯クンと一緒で、あの広場では、不特定多数と直接やり取りすることが主目的だったから。独りで居続けると、俗に言われる衆生‐流俗どものレスポンスが、とんでもなく遅鈍にカンジて、本当に、ボケナスやドテカボチャに見えてくるもんだから」
「…………」
「いやまぁ、楯クンたちと過ごした時間は、ボクとしても愉しかったのは事実だよ、空世辞などではなく」
「…………」
「それでだね、億劫がらずに、念には念を入れた甲斐があって、三月八日の晩に宇津宮で、勝庫織莉奈がボクの監視に引っかかった。二一時近くに、地方都市の駅前を漫然と独り彷徨う少女がいれば、目にも留まるさ」
「…………」
「彼女は、自らハンドルネームを名乗って、今度高一になる一五歳と騙りながらも、呪いの因果律を探していることを得得とうち明けてくれた。翌日の夜に、今度は、黔磯へ出向こうとしているのも察しがついた」
「…………」
「それで、彼女が黔磯でもコソコソと嗅ぎ廻ったら、もう罠にかけてしまうしかなくなる、と言うか、さらに一一日未明の放火事件にまで、彼女の方から、どっぷりと罠へ嵌って来たんだから仕方がないね。そんな流れで一二日へとつながるわけ」
「流れ、だなんて……」
「二人が張り込みを決めた車内に、退屈が襲う頃まで過ごさせてから、ボクは、ドローンと指向性の強いスピーカからの音を使って、二人を車外へ飛び出させ、そして雑木林の方へと誘った」
「……そんな手で?」
「根上クンのクルマには、ドラレコのカメラがしっかり付いていたからね。でも真上からや、怪しいだけの音には無力でしょう? 一緒なのが女子、それも勝庫織莉奈となれば、車内の録音だけはオフしとかないとダメだしさ」
「…………」
「根上クンは、用意していたラップトップで、DGメンバーたちに向けて、張り込みの実況報告も書き込みし続けていたようだからね、チョットした動きや音でもガッツリだったよ、ボクの最後の罠へのハマり具合はさ」
……葉植さんは、得意げなど毫 も出さない真顔のまんま。
なのでむしろ、根上たちの呆れたハマり具合を、オレにもガッツリ伝えたいって、カンジがしちゃう。
「三日も……勝庫織莉奈が、要らぬことをしないかって心配まで?」
「そうそう。スレで、
「…………」
「ボクはボクで、彼らのような話題が交わされるサイトを前前から監視していて、気になるワードが検出されたら、スグに知らせてくれるAIまで導入していたし」
「……AIって……」
「でもって、そもそもボクは詰め用心で、田宮謡のツアーに沿うように、実際に当地の街までパトロールをしに行って、勝庫織莉奈も特定できたんだ」
「……そんなレヴェルのを使ってたわけ?」
「まぁそう、そんなチャチくない。モニタリングソリューションに特化させようとはしていたものの、性能レヴェル的にはほぼAGI(汎用人工知能)だからね。ボク自身の監視よりも遺漏がないんだ」
「…………」
「まったく、全国八八都市だなんて迷惑なことをしてくれるもんだよ。栃木で済んでくれてホント助かった。勝庫織莉奈も小賢しい分、こちらの行動パターンをしっかり把握した上で張り込んでくれたから、実にチョロかったし」
「でも葉植さんっ。オレにはITオンチだって言ってなかった?」
「まだそこぉ? でも音痴だって、唄えることは唄えるでしょ。一応ボクも、在栖川の特待生程度にはITを使い熟せるさ」
「……だよ、ね……」
「AIはさ、前前からお祖父ちゃんが使える環境を拝借して、実験的に用途別で育てていたんだよね。ただ、他人が組んだヤツはウザ苦しいんで、有勅水さんが整えてくれた販売システムも、お義理程度に使っただけ」
「…………」
「ボクも、楯クンと一緒で、あの広場では、不特定多数と直接やり取りすることが主目的だったから。独りで居続けると、俗に言われる衆生‐流俗どものレスポンスが、とんでもなく遅鈍にカンジて、本当に、ボケナスやドテカボチャに見えてくるもんだから」
「…………」
「いやまぁ、楯クンたちと過ごした時間は、ボクとしても愉しかったのは事実だよ、空世辞などではなく」
「…………」
「それでだね、億劫がらずに、念には念を入れた甲斐があって、三月八日の晩に宇津宮で、勝庫織莉奈がボクの監視に引っかかった。二一時近くに、地方都市の駅前を漫然と独り彷徨う少女がいれば、目にも留まるさ」
「…………」
「彼女は、自らハンドルネームを名乗って、今度高一になる一五歳と騙りながらも、呪いの因果律を探していることを得得とうち明けてくれた。翌日の夜に、今度は、黔磯へ出向こうとしているのも察しがついた」
「…………」
「それで、彼女が黔磯でもコソコソと嗅ぎ廻ったら、もう罠にかけてしまうしかなくなる、と言うか、さらに一一日未明の放火事件にまで、彼女の方から、どっぷりと罠へ嵌って来たんだから仕方がないね。そんな流れで一二日へとつながるわけ」
「流れ、だなんて……」
「二人が張り込みを決めた車内に、退屈が襲う頃まで過ごさせてから、ボクは、ドローンと指向性の強いスピーカからの音を使って、二人を車外へ飛び出させ、そして雑木林の方へと誘った」
「……そんな手で?」
「根上クンのクルマには、ドラレコのカメラがしっかり付いていたからね。でも真上からや、怪しいだけの音には無力でしょう? 一緒なのが女子、それも勝庫織莉奈となれば、車内の録音だけはオフしとかないとダメだしさ」
「…………」
「根上クンは、用意していたラップトップで、DGメンバーたちに向けて、張り込みの実況報告も書き込みし続けていたようだからね、チョットした動きや音でもガッツリだったよ、ボクの最後の罠へのハマり具合はさ」
……葉植さんは、得意げなど
なのでむしろ、根上たちの呆れたハマり具合を、オレにもガッツリ伝えたいって、カンジがしちゃう。