228 _____________ ‐2nd part‐
文字数 1,480文字
けれど、一番わかり易いし、明日帰ってしまうおハルになら問題ないだろうから……ゴメン、葉植さん。
「彼女が生まれる前から、教授の信奉者たちが、我が物顔で住み込んでるって話でさ。葉植さんは、地下にある実験室の予備室や、書庫を部屋にするしかなかったらしいんだ」
「それは確かに、ややこしそうだワ」
「当然お互いの存在なんか、無視し合ってるって印象だったし、両親ともやっぱ学者でさ、家を空ける方が多いんだ。特に父親は、欧米の大学や研究機関を転転としてるもんだから、居候との立場が、完全に逆転しちゃってるんじゃないのかな?」
「何アンタ、そんな厄介な相手まで、私にどうにかしろっての? 自分の女のケリくらい、自分でつけなよねぇ」
「そこまでは頼まないって。第一、葉植さんは中学前から不登校してて、フツウに電話し合う女友達がいるようなタイプじゃないんだ。きっと女性でもあつかいは一緒だよ」
「ややこしいねぇ、大東京ってのは」
……しかし、やはり行ってみるしかないだろう。ほかに捜すアテがないんだから。
不審者と見なされたら、走って逃げきるしかないな。
そうだ、ミラノがくれたアイテムの中に、キャップもあったはず。あれを被って、顔をまともに晒さないようにしよう。
「それじゃぁオレ、チョット捜しに行って来ます。何にせよ、トリノさんが一緒なら、心配は要らないと思うけれど。おハルはもう寝てください、ホントお騒がせしちゃいました」
「アンタねぇ、この状況で、寝ろって方がキツいわよ。かと言って二人で行くのも怪しいし、手分けするにも、私には土地勘がないんだからね。とり敢えず下で留守番しとくワ。アンタと入れ違いで帰って来るかもしれないし、そしたら、アンタのスマホを鳴らしてやるワ」
「ありがと、ヨロシクお願いします。ホント助かったよ、おハルがいてくれて。でもムリしないで、眠たくなったら寝ちゃってよね、おハルも、明日、まだ帰る前に一仕事があるんでしょ?」
「じゃぁ、遅くなるようなら、ソファーで横にさせてもらうワ。けど、な~んかいいカンジはしないんだワ、忌まわしい、シベルネティゼの写真の裏にメッセージだなんて。このキャンドルからして、その葉植ってコも、相当な猪口才ってカンジときてるし」
! おハル今っ──。
「何で、シベルネティゼまで知ってるのっ。その写真のも、ムッシューがつくったヤツってわけ?」
「ムッシュー? あぁザ・レルム・オブ・ザ・シェイズってのは、ベルギー人でも、フランス語を話す地域の出身だったはずだワ。楯こそ、呆れる猪口才。って言うか何で知ってた? その名誉教授の名物孫娘からの、安受け売りってわけ?」
「いや、その本人を知ってるんだよ。本名はディース・シオウル・天地って言って、二月の終わりまでこっちにいたんだ」
「ほぇ~っ。そりゃビックリ。日本なんかにいたんだ? 名前に天地ってあるなら、当然かもだけど」
「今は西海岸だろうけれど、有勅水さんが、ムッシューのエージェントみたいな仕事をしてる関係で、いろいろとつき合いがあってさ。ムッシューの弟さんも、日本人の奥さんと横須賀に住んでて、船に乗せてもらう約束までしてるんだ」
「へぇ~、それは全然知らなんだワ。唏までもが、ますますもって猪口才だったわけねぇ。なんか、完全に目が冴えてきちゃったわよ」
「でも、そのシベルネティゼが、忌まわしいってどう言うことなの? そもそも、それってどこの写真?」
「わかったわかった、話してやるからとり敢えず静かに。とにかくアンタもその辺に座りな」
──写真の場所は、奇しくもストーンヘンジとつながりがあった。
「彼女が生まれる前から、教授の信奉者たちが、我が物顔で住み込んでるって話でさ。葉植さんは、地下にある実験室の予備室や、書庫を部屋にするしかなかったらしいんだ」
「それは確かに、ややこしそうだワ」
「当然お互いの存在なんか、無視し合ってるって印象だったし、両親ともやっぱ学者でさ、家を空ける方が多いんだ。特に父親は、欧米の大学や研究機関を転転としてるもんだから、居候との立場が、完全に逆転しちゃってるんじゃないのかな?」
「何アンタ、そんな厄介な相手まで、私にどうにかしろっての? 自分の女のケリくらい、自分でつけなよねぇ」
「そこまでは頼まないって。第一、葉植さんは中学前から不登校してて、フツウに電話し合う女友達がいるようなタイプじゃないんだ。きっと女性でもあつかいは一緒だよ」
「ややこしいねぇ、大東京ってのは」
……しかし、やはり行ってみるしかないだろう。ほかに捜すアテがないんだから。
不審者と見なされたら、走って逃げきるしかないな。
そうだ、ミラノがくれたアイテムの中に、キャップもあったはず。あれを被って、顔をまともに晒さないようにしよう。
「それじゃぁオレ、チョット捜しに行って来ます。何にせよ、トリノさんが一緒なら、心配は要らないと思うけれど。おハルはもう寝てください、ホントお騒がせしちゃいました」
「アンタねぇ、この状況で、寝ろって方がキツいわよ。かと言って二人で行くのも怪しいし、手分けするにも、私には土地勘がないんだからね。とり敢えず下で留守番しとくワ。アンタと入れ違いで帰って来るかもしれないし、そしたら、アンタのスマホを鳴らしてやるワ」
「ありがと、ヨロシクお願いします。ホント助かったよ、おハルがいてくれて。でもムリしないで、眠たくなったら寝ちゃってよね、おハルも、明日、まだ帰る前に一仕事があるんでしょ?」
「じゃぁ、遅くなるようなら、ソファーで横にさせてもらうワ。けど、な~んかいいカンジはしないんだワ、忌まわしい、シベルネティゼの写真の裏にメッセージだなんて。このキャンドルからして、その葉植ってコも、相当な猪口才ってカンジときてるし」
! おハル今っ──。
「何で、シベルネティゼまで知ってるのっ。その写真のも、ムッシューがつくったヤツってわけ?」
「ムッシュー? あぁザ・レルム・オブ・ザ・シェイズってのは、ベルギー人でも、フランス語を話す地域の出身だったはずだワ。楯こそ、呆れる猪口才。って言うか何で知ってた? その名誉教授の名物孫娘からの、安受け売りってわけ?」
「いや、その本人を知ってるんだよ。本名はディース・シオウル・天地って言って、二月の終わりまでこっちにいたんだ」
「ほぇ~っ。そりゃビックリ。日本なんかにいたんだ? 名前に天地ってあるなら、当然かもだけど」
「今は西海岸だろうけれど、有勅水さんが、ムッシューのエージェントみたいな仕事をしてる関係で、いろいろとつき合いがあってさ。ムッシューの弟さんも、日本人の奥さんと横須賀に住んでて、船に乗せてもらう約束までしてるんだ」
「へぇ~、それは全然知らなんだワ。唏までもが、ますますもって猪口才だったわけねぇ。なんか、完全に目が冴えてきちゃったわよ」
「でも、そのシベルネティゼが、忌まわしいってどう言うことなの? そもそも、それってどこの写真?」
「わかったわかった、話してやるからとり敢えず静かに。とにかくアンタもその辺に座りな」
──写真の場所は、奇しくもストーンヘンジとつながりがあった。