189 ____________________ ‐2nd part‐

文字数 1,390文字

 だって、根上の葬式が行えるようになる前に、緑内殺害の真犯人が自ら出頭でもして、それが男だったと判明すれば、勝庫織莉奈を悪者にした筋立てが根底から覆ってしまう。

 それまでに草豪たちが、どれだけの人数をその気にさせるかは見当もつかないけれど、当然その連中は、一杯喰わされたと騒ぎだすに決まってる。

 学友の葬式を、より多くの理解を得て執り行おうって呼びかけに、騙すも騙されたもないんだけれど、無残な結果になることは必至だろうから。

「同級生の二人は、自分から殺されに行ったも同じで、水埜楯は関係ないない。それに、今のままだと犯人は捕まらないんだよ。ケーサツは全然違う方を捜してて、偉い人たちが、犯人は勝庫織莉奈で納得しちゃうなら、それでいいよねってカンジなんだからぁ」

「えぇ~っ……でもそうなんだ? わかった、黙ってるよ絶対」

「ウンウン。今日の水埜楯はいいコだから、もうチョット教えてあげるよ。二つの事件の犯人はね、どっちも一緒の犯人なんだよ」

「……ガチでっ?」

「ガチガチ、それも当然教えちゃダメダメ。もう、水埜楯の知り合いが殺されることはないだろうけど、犯人を突き止めようと近づいて行けば、必ず殺されるんだよ。そこにいる眞弓も、正道派の人だから、余計な情報をあげるだけ、どんどん危険になるんだよ」

「……正道派って、全部すっかり聞いちゃってたわけミラノさん?」

「聞いちゃってないない、聞こえてきちゃうだけだけ」

「凄いなぁ……」って、まさか! オレを介して聞こえてたなんてことなら……。

「グフフ~。でねっ、犯人は、好きな人を助けるためなら、何人でも殺しちゃう横道派の人だよ。決定的な証拠を突きつけたって、ミステリー小説のようには絶対なんないない。そんなことをして来る人は、メ~探偵だろうとケ~サツだろうと、好きな人を助け続けるために、皆殺しに遭うだけなんだよ」

「…………」

「ウンウン。犯人が、人を殺してまで好きな人を助けたい気持は、水埜楯にもわかるけど、人を殺さないと助けられないっていう、その犯人が好きな人のこと、置かれてる状況とかがよくわからないの水埜楯?」

「うん、そうそう。あ! でもミラノさんこそ大丈夫なの? そんなことを話してて。周り、変な顔してない? 有勅水さんとか」

「大丈夫だよ。部屋のバーニョで話してるから、バスルームって言うかユッタリこんな椅子まである化粧室だよ。唏が予定をギッシリこん組んだから、インタヴューには、トリノ一人で答えた方がいいみたいだよ。私は最初の挨拶と、最後に写真を撮る以外は用ナシナシ」

「なら安心したけれど、って別に、ミラノさんがインタヴューに答えてないってことにじゃないよ。どうせどこも質問事項は、似たり寄ったりでつまらないんだろうから、ミラノさんは撮影の時だけ、トリノさんの分までニッコリしてあげればいいじゃん。それだけでもう、仕事への実質的貢献度はどっこいだよ」

「ウンウン、そうするする~。じゃぁしょうがないない、ホントは教えたくなかったけど、私を気づかってくれたお礼に、教えてあげるんだよ」

「……って、また何を?」

「それはね、犯人が助けてる好きな人も、やっぱり人を殺し続けているからだよ。その数は、犯人なんか比べモノにならないくらい。だから犯人が、その人助けるためには、やっぱり人を殺すしかないってことなんだよ。これでギリギリ、わかったぁ?」
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登場人物紹介

登場人物につきましてはイントロ的に一覧で掲載しておりますぅ


当作は主人公:楯の一人称書きをしておりますので、本編内で紹介されるプロフィール情報のムラは、楯との関係性によるところが大きくなりまっす


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