068 ________________ ‐2nd part‐
文字数 1,815文字
「ヴィーちゃんに、楯クンの特待生とゆー認識自体を汚辱 されたくないのなら、大学へ犠牲覚悟で直訴するとかー、怪文書なり匿名電話なり、嫌がらせ行為をバンバンやるって選択肢もあるねー」
「それはオレも考えましたって。でも何て言うか、もっと現実的な展開を予想してですね、オレだけじゃなく、社会的にも収まりがよくて、オレに致命的なダメージのない方法を選びたいってわけですよ」
「ウフ~、正当防衛か完全犯罪がいーんだー? でも正当防衛とゆーのは、楯クンが決められることじゃーないから、リスキーなの」
「……ま、でしょうけれど……」
「ボクなら断然、完全犯罪だねー。どーしたってついてまわるリスクの中から、どれなら甘んじて受けられるかなーって複数選択をした上で、絞り込んでゆく問題。詰まるところ好き嫌いなのー」
「好き嫌い? なんですか……」
「勿論、好き嫌いには個人差があって世の中で入り乱れてるから、楯クンみたいに、多数派の好き嫌いに、自分本来の好き嫌いが惑わされる人が出てくるー。ボクは自分の好きに生きることに慣れてるだけー、そこを楯クンは自分とは違う、頭の良さだって思ってるだけー」
「……でしょうか、ガチに?」
「ガチガチー。好き嫌いは判断の究極なので一番効率がいーの。だから決断から行動までが速くて、その速さが、頭良さそーなカンジがするだけー」
「ウ~ン……」
「特待生のヴィーちゃんも、迷いがなさそーな珂児也クンも、自分の好きで生きてるだけなのー。楯クンは、そんな全てをわかっているのに、実際の行動に移せないだけー」
「またぁ、そんな詭弁は通用しません。リフラフなプレブス(下民)は、その手の励ましに敏感なんですから」
「ムフ~。けど詭弁じゃないよー」
「ならばお尋ねしますけれど、好き嫌いだけじゃ成績の悪さや、理解力の差が、歴然と出る理由の説明にはならないじゃないですか。オレ、好きな曲でもスグ途中を忘れちゃうし、嫌な事なのに、記憶がいつまでも鮮明だったりしますし」
「だーから楯クンは、自分の好き嫌いがよくわかっていないだけ。好きなことをやってる内に結局は勉強してることになるー、いつしか嫌いなことまでを裏側からねー。何でも好きで突き詰めれば、万事を乗り越えちゃってるものなのさー。いー成績をとることが大好きな人ばかりの環境にいるせいで、完全に誤認識しちゃってるー」
「ウゥ~ン……」
葉植さんの言うそれ、
「また、世間でもて囃された五感にすんなーり入ってくる物事が、ホントーに好きだとも全然ゆえなーい。必勝セミナーがいー例だねー、熱血・ド・トリオ自体はどーであれ、教え方は好き嫌いで言ったらどっちー?」
「……まぁ嫌いではなかったですよ。むしろ、そうまで単純明快にできるのかって、おもしろいくらいでしたけれど」
「ネ~ッ。自分の好き嫌いを信じて行動すればいーだけなの。嫌いだからって行動しないんじゃー、頭がいーも悪いもないねー。最新最速のスパコンだって~量子コンだって、あらかじめデータの選り好み方法を決めといてあげないと、答えなんか算出できないー」
「…………」煙 に巻かれまくってる気がするんだけれどなぁ。
「いくらネットワークが複雑化して構造が脳ミソと似通っても、ウェブ上に自我が芽生えなかったのはねー、情報が漫然とあるだけで、それを意思に変える好き嫌いがなかったからなんだよー。けどAIによる
「好き嫌いですか? そんなのも……」
「さー納得したら、頭の悪さの壁を越えよー。地獄の門の前では、いつまでもボクが待っててあげるー。楯クンの手応えのいーおケツを、羅刹 たちよりもお先にちょうだいするためにー」
ったくこの人は! つくづくキレ者なんだか痴れ者なんだか?
けれど、思い返してみると、オレが避けようとしていただけで、葉植さんはいつでもオレの話をしっかり聞いてくれているんだよな。
その返答が、オレの好みじゃないだけで。
非常識で社会的には許容範囲外だけれど、オレにとっては善い人なんじゃないだろうか? やっぱ忌避するのは、如何わしい発言だけでいいんじゃないかな。
「そんなことを真顔で言い退けちゃうなんて、ほかでしない方がいいですよ。葉植さんは、お勉強が大好きな、ガリ勉コちゃんだと思われちゃいますから」
「それはオレも考えましたって。でも何て言うか、もっと現実的な展開を予想してですね、オレだけじゃなく、社会的にも収まりがよくて、オレに致命的なダメージのない方法を選びたいってわけですよ」
「ウフ~、正当防衛か完全犯罪がいーんだー? でも正当防衛とゆーのは、楯クンが決められることじゃーないから、リスキーなの」
「……ま、でしょうけれど……」
「ボクなら断然、完全犯罪だねー。どーしたってついてまわるリスクの中から、どれなら甘んじて受けられるかなーって複数選択をした上で、絞り込んでゆく問題。詰まるところ好き嫌いなのー」
「好き嫌い? なんですか……」
「勿論、好き嫌いには個人差があって世の中で入り乱れてるから、楯クンみたいに、多数派の好き嫌いに、自分本来の好き嫌いが惑わされる人が出てくるー。ボクは自分の好きに生きることに慣れてるだけー、そこを楯クンは自分とは違う、頭の良さだって思ってるだけー」
「……でしょうか、ガチに?」
「ガチガチー。好き嫌いは判断の究極なので一番効率がいーの。だから決断から行動までが速くて、その速さが、頭良さそーなカンジがするだけー」
「ウ~ン……」
「特待生のヴィーちゃんも、迷いがなさそーな珂児也クンも、自分の好きで生きてるだけなのー。楯クンは、そんな全てをわかっているのに、実際の行動に移せないだけー」
「またぁ、そんな詭弁は通用しません。リフラフなプレブス(下民)は、その手の励ましに敏感なんですから」
「ムフ~。けど詭弁じゃないよー」
「ならばお尋ねしますけれど、好き嫌いだけじゃ成績の悪さや、理解力の差が、歴然と出る理由の説明にはならないじゃないですか。オレ、好きな曲でもスグ途中を忘れちゃうし、嫌な事なのに、記憶がいつまでも鮮明だったりしますし」
「だーから楯クンは、自分の好き嫌いがよくわかっていないだけ。好きなことをやってる内に結局は勉強してることになるー、いつしか嫌いなことまでを裏側からねー。何でも好きで突き詰めれば、万事を乗り越えちゃってるものなのさー。いー成績をとることが大好きな人ばかりの環境にいるせいで、完全に誤認識しちゃってるー」
「ウゥ~ン……」
葉植さんの言うそれ、
好き
と言表しちゃ絶対マズいレヴェルの好き
なのでは?「また、世間でもて囃された五感にすんなーり入ってくる物事が、ホントーに好きだとも全然ゆえなーい。必勝セミナーがいー例だねー、熱血・ド・トリオ自体はどーであれ、教え方は好き嫌いで言ったらどっちー?」
「……まぁ嫌いではなかったですよ。むしろ、そうまで単純明快にできるのかって、おもしろいくらいでしたけれど」
「ネ~ッ。自分の好き嫌いを信じて行動すればいーだけなの。嫌いだからって行動しないんじゃー、頭がいーも悪いもないねー。最新最速のスパコンだって~量子コンだって、あらかじめデータの選り好み方法を決めといてあげないと、答えなんか算出できないー」
「…………」
「いくらネットワークが複雑化して構造が脳ミソと似通っても、ウェブ上に自我が芽生えなかったのはねー、情報が漫然とあるだけで、それを意思に変える好き嫌いがなかったからなんだよー。けどAIによる
おすすめ
提示の最適化が今の勢いで進んじゃえば、2045年を待たずして、シンギュラリティーが起きちゃうかもー」「好き嫌いですか? そんなのも……」
「さー納得したら、頭の悪さの壁を越えよー。地獄の門の前では、いつまでもボクが待っててあげるー。楯クンの手応えのいーおケツを、
ったくこの人は! つくづくキレ者なんだか痴れ者なんだか?
けれど、思い返してみると、オレが避けようとしていただけで、葉植さんはいつでもオレの話をしっかり聞いてくれているんだよな。
その返答が、オレの好みじゃないだけで。
非常識で社会的には許容範囲外だけれど、オレにとっては善い人なんじゃないだろうか? やっぱ忌避するのは、如何わしい発言だけでいいんじゃないかな。
「そんなことを真顔で言い退けちゃうなんて、ほかでしない方がいいですよ。葉植さんは、お勉強が大好きな、ガリ勉コちゃんだと思われちゃいますから」