071 _________________ ‐2nd part‐
文字数 1,804文字
油断も隙もあったもんじゃないけれど、それにしても素速い。こんな時だけ葉植さん、ヤケにっ。
「アハハー、ウヒャッだって楯ク~ン」
「何すんですかっ、オレはまだ生きてるでしょ。もう、マジで鍛えるのやめてやる」
「試触だよー。それならば、フヤケる前に仕舞いつけてあげちゃおーかな~? ボクは金のタマなんか要らないしー、ニ~ッヒッヒッ」
「いやらしい笑いしないでください。葉植さんくらい実力行使で返り討ちです、それこそ正当防衛で。何せオレにも、ヴィーという証人がいることになるわけですから、葉植さんがオレを狙う動機を証言してくれる」
「やっとこさ利害が一致したねー。それでは、まずヴィーちゃんを血祭りだー。くたばーれ点取りムシ、煉獄の炎は真っ赤だぞー。ホンボラセンナムフルフルフル~」
知らんけれど、なんか諸諸が物凄くバカらしくなってきた……。
彼女と行き会うまでの激昂も低迷状態も、今はもうない。
おそらく、死んだらとか、殺すとか、底辺の会話がガスぬきをしてくれたんだ。
ん? もしや、この葉植さん、そこまで間尺に入れてオレの相手をしてくれていたなんてこと……ないとは言いきれないから嫌だよなぁ。
「葉植さんって、ホント難儀と言うか、ある意味ウートレイ(傾 き者)なキャラしてますよねぇ。まぁ好きなことをやり倒すってことが、かなり剛毅だってのはわかりましたけれど、自分以外の相手が必要な場合はどうです?」
「例えばー?」
「例えば……バスケだと、3on3でも最低あと五人は必要で、オレがいくら好きでやりたくても、いつでも集まるとは限らないじゃないですか?」
「ほかにはー?」
「……気に入った人と、もっと話がしたい、二人だけで遊びたいとか思っても、向こうにその気がなかったらムリなわけだし。好きになればなっただけ、嫌われるのが怖くなって、やりたいことができなくなって、どうにもならない閉塞的な状況に陥って行っちゃうでしょう?」
「それでー?」
「って言うか、オレがウダウダ考えちゃうのは、つまりは、予測不能な相手方が存在するからで。相手の立場やら感情やらを害さないためにも、姑息だろうとズルだろうと、巧いこと立ちまわる必要があるんですよ」
「そーなのぉ? フ~ン……」
「フツウ、大抵の場合がそうじゃないですか、人間関係も関係なわけなんですから」
「やりたかったら独りでもやるー。形式とか、相手とか、タイミングとか、関係なくなるのが好きってことだしー、それでも集まっちゃうのがホントーの人間関係。予測不可能なことをウダウダ考えても無意味なのー、好きな誰かに嫌われたって、ボクが好きなことには変わりがなーい」
「なーいって、そんな……」
「第一、好きになってもらえるかなんて、それこそスグになんかわからないものー。ホントーに好きか嫌いか判断されてもいない内から、コソコソ巧く立ちまわろーと、ややこし~者同士が縺れ合って人間関係をこんがらがせてるだけー。楯クンは、だから自業自得なのー」
「……まいったなぁ。なんか敵わないやホント全然。でも、すっきりしちゃいました、恥を忍んで話してみてよかったです。また今度ウダウダ考え始めたら、葉植さんを捜し廻りそうですよ」
「ヤダー。ボクは子供電話相談室じゃーないし、カタルシスが欲しいだけなフヤケゆくおケツには興味なーい。せめてトレーニングを続けない限りは、も~二度とボクと、ばったり出会ったりしないのー」
オレの実在は大臀筋だけかよ?
……小憤 しつつも確かにR指定解除を目前にして、同学年のそれも女子相手に排泄行為じみた真似をしてしまったことに、じんわ~りと慙愧 の念が……顔も次第に赤らんでくる。
「そうでしたよね、すみませんでした厚かましくて」
「厚かましくも、謝る必要もないー。ボクとしゃべってスッキリしても、気持がいーのは楯クンだけだからズルー」
「……ズルとか言われても。じゃぁオレは何をどうお返しすればいいんでしょう?」
「ボクの言説に教唆されて、何かやらかしてくれなくちゃだねー。その顛末報告か、せめて鍛えたおケツにぎにぎのサーヴィスがあるなら、ボクはいつでもどこでも会って差しあげるー」
ったく、この人は……眉尻一つ動かさずに、そうも讒邪 なことばかり吐き散らすとはねぇ。ホントどこまでまともに相手をすればいいのやら?
間違いなく葉植さんの方は、終始一貫まともに話してくれていると、確言するんだろうけれど。
「アハハー、ウヒャッだって楯ク~ン」
「何すんですかっ、オレはまだ生きてるでしょ。もう、マジで鍛えるのやめてやる」
「試触だよー。それならば、フヤケる前に仕舞いつけてあげちゃおーかな~? ボクは金のタマなんか要らないしー、ニ~ッヒッヒッ」
「いやらしい笑いしないでください。葉植さんくらい実力行使で返り討ちです、それこそ正当防衛で。何せオレにも、ヴィーという証人がいることになるわけですから、葉植さんがオレを狙う動機を証言してくれる」
「やっとこさ利害が一致したねー。それでは、まずヴィーちゃんを血祭りだー。くたばーれ点取りムシ、煉獄の炎は真っ赤だぞー。ホンボラセンナムフルフルフル~」
知らんけれど、なんか諸諸が物凄くバカらしくなってきた……。
彼女と行き会うまでの激昂も低迷状態も、今はもうない。
おそらく、死んだらとか、殺すとか、底辺の会話がガスぬきをしてくれたんだ。
ん? もしや、この葉植さん、そこまで間尺に入れてオレの相手をしてくれていたなんてこと……ないとは言いきれないから嫌だよなぁ。
「葉植さんって、ホント難儀と言うか、ある意味ウートレイ(
「例えばー?」
「例えば……バスケだと、3on3でも最低あと五人は必要で、オレがいくら好きでやりたくても、いつでも集まるとは限らないじゃないですか?」
「ほかにはー?」
「……気に入った人と、もっと話がしたい、二人だけで遊びたいとか思っても、向こうにその気がなかったらムリなわけだし。好きになればなっただけ、嫌われるのが怖くなって、やりたいことができなくなって、どうにもならない閉塞的な状況に陥って行っちゃうでしょう?」
「それでー?」
「って言うか、オレがウダウダ考えちゃうのは、つまりは、予測不能な相手方が存在するからで。相手の立場やら感情やらを害さないためにも、姑息だろうとズルだろうと、巧いこと立ちまわる必要があるんですよ」
「そーなのぉ? フ~ン……」
「フツウ、大抵の場合がそうじゃないですか、人間関係も関係なわけなんですから」
「やりたかったら独りでもやるー。形式とか、相手とか、タイミングとか、関係なくなるのが好きってことだしー、それでも集まっちゃうのがホントーの人間関係。予測不可能なことをウダウダ考えても無意味なのー、好きな誰かに嫌われたって、ボクが好きなことには変わりがなーい」
「なーいって、そんな……」
「第一、好きになってもらえるかなんて、それこそスグになんかわからないものー。ホントーに好きか嫌いか判断されてもいない内から、コソコソ巧く立ちまわろーと、ややこし~者同士が縺れ合って人間関係をこんがらがせてるだけー。楯クンは、だから自業自得なのー」
「……まいったなぁ。なんか敵わないやホント全然。でも、すっきりしちゃいました、恥を忍んで話してみてよかったです。また今度ウダウダ考え始めたら、葉植さんを捜し廻りそうですよ」
「ヤダー。ボクは子供電話相談室じゃーないし、カタルシスが欲しいだけなフヤケゆくおケツには興味なーい。せめてトレーニングを続けない限りは、も~二度とボクと、ばったり出会ったりしないのー」
オレの実在は大臀筋だけかよ?
……
「そうでしたよね、すみませんでした厚かましくて」
「厚かましくも、謝る必要もないー。ボクとしゃべってスッキリしても、気持がいーのは楯クンだけだからズルー」
「……ズルとか言われても。じゃぁオレは何をどうお返しすればいいんでしょう?」
「ボクの言説に教唆されて、何かやらかしてくれなくちゃだねー。その顛末報告か、せめて鍛えたおケツにぎにぎのサーヴィスがあるなら、ボクはいつでもどこでも会って差しあげるー」
ったく、この人は……眉尻一つ動かさずに、そうも
間違いなく葉植さんの方は、終始一貫まともに話してくれていると、確言するんだろうけれど。