181 ______________ ‐3rd part‐
文字数 1,997文字
「根上のクルマからして、警察が見つけるまでは、御近所の知り合いが駐めているんだろうくらいの認識で、気にもしない土地柄ですから」
「そうよね~」
「根上たちの事件が初めての騒乱と不祥事であって、現にその管轄内では事件当日、死亡事故などの不幸な出来事は、老人関係なく一切起きていません」
「やっぱり。勝庫織莉奈に言われるまま、根上クンが張り込みをつき合ったところで、何も起こりはしなかったわけね」
「ホント物好きと言うか、人が好いわねぇ根上クン。まぁ、息ぬきにはなるんだろうけど」
「見張っていたのが呪いですからね、
「それあるわよ絶対、だって、勝庫織莉奈が気取ってるのは探偵少女だもん」
「トシの言うとおり間違いないでしょ。少女探偵なら、いざ知らずだけど」
「ですよね。根上のクルマ内にあったコンヴィニの袋から、市内の店舗を当たったところ、防犯カメラの録画には、根上と勝庫織莉奈が映っていました」
「ぬかりな~ぃ……」
「その来店時間が二二時五九分。出て行くまで、一〇分ほどかかっていますが、来てスグに勝庫織莉奈が、そして会計を済ましてから根上が、ぞれぞれトイレを借りています」
「そう言うトコは身近なカンジ~、夜食の買出しだけではなかったわけね」
「さらに少し遡 って、集合場所のマックを、二一時一五分まで待ってから出ていることが、やはり録画からわかっています」
「ホント、しっかりチェックしてるのねぇ」
「でも、それからコンヴィニへ現れるまでの間はどこで何をしていたのかはわかりません。たぶん、本格的に張り込みをするためのトイレ休憩で、コンヴィニを利用したんでしょう」
「でも、その間に二人と合流した人物がいて、買物中も車内から出ずに待っていたなんてことは、チョット考え難いですよね?」
「また深読みよトシは。トイレは行ける時に行くわよ、ずっと二人きりでもフツウだわ」
「そして、そのコンヴィニからクルマの発見場所までの距離は約七〇〇メートル。移動時間にして数分、司法解剖の結果によると、勝庫織莉奈がその時に買った物を口にしていることは確かでして、その消化状態から、少なくとも日付が変わるくらいまでは、二人の間に何もなかったはずなんです」
「……日付が変わったことをきっかけに、勝庫織莉奈が動いて見せたってトコじゃないの? 何かをカンジたとか言って、クルマから出てみるとか?」
「だとして、クルマを駐めた場所から雑木林までは、約一〇〇メートル離れる距離関係です。そして事件現場の細い道路も、さらに道なりに一〇〇メートルほど行った所で林の中を貫いている」
「何か、事件につながるアクションを起こしたのは、勝庫織莉奈の方からだと考えるのが自然よね。より人目も人けもない場所への移動だし、根上クンからなら、クルマを使わない手はないもん」
……上婾さん、いよいよ草豪の話に、筌松よりも先に喰いつきだすとは。
「勝庫織莉奈もいい加減、根上クンがわかりながら騙されてくれているんじゃないかってことぐらい、感づくだろうしねぇ。根上クンの眠気を覚ます意味と、自分のことを信じてくれてるのかを試す意味でも、緑内クンの殺害を自分がやったと、仄めかすような話でも始めたんじゃないの?」
「唯一来てくれたのは、ほかの誰が来なくても来て欲しかった<Root’N>の根上クンなんだもんね……それで思いのほか、クルマの中が気マズい空気になって、話を逸らすためにも、勝庫織莉奈はクルマから出るしかなさそう。でも全然素直じゃないから、今何か気配がしたとか言い出すわけね?」
上婾さんはそう言うと、一人で頻りに頷いた。
筌松は、横睨 む。
まぁ、オレも同じくまだまだ頷けない。
って言うか、筌松と上婾さんがまた調子づいて、緑内の殺害犯はもう、勝庫織莉奈で確定だと完全に決めつけて話しだしたってのに、ここは全く軌道修正に動かないのか剣橋は?
「それを追って根上クンもクルマを離れたわけ? それから、その二〇〇メートルくらいを歩いている内に、お互いどんどん険悪なムードにもなっていくでしょ?」
「トシってば、先走ってなぁい?」
「緑内クンを殺したって言う話だもん、そんな距離でも充分じゃない? それで草豪さん、凶器の包丁とか手足を縛ったダクトテープとかは、一体どっちがもって来てたの?」
「えぇ筌松さん、そこなんです。現場には勝庫織莉奈のリュックはありましたが、根上のバッグ類は見つかっていません、根上が持って出たのは懐中電灯のみです。その夜、現地では月が明るかったので、使ったとしても雑木林を突っきる道路に入ってからでしょう」
「なんだかイヤ~なカンジの夜よねぇ……そしていよいよ、事件の発生現場と言うわけね?」
イヤ~な、なんて言う割りには、ヤケに愉しげな筌松だった。
「そうよね~」
「根上たちの事件が初めての騒乱と不祥事であって、現にその管轄内では事件当日、死亡事故などの不幸な出来事は、老人関係なく一切起きていません」
「やっぱり。勝庫織莉奈に言われるまま、根上クンが張り込みをつき合ったところで、何も起こりはしなかったわけね」
「ホント物好きと言うか、人が好いわねぇ根上クン。まぁ、息ぬきにはなるんだろうけど」
「見張っていたのが呪いですからね、
今夜は月が明るすぎる
とか、言いのがれはどうにでもできそうですし」「それあるわよ絶対、だって、勝庫織莉奈が気取ってるのは探偵少女だもん」
「トシの言うとおり間違いないでしょ。少女探偵なら、いざ知らずだけど」
「ですよね。根上のクルマ内にあったコンヴィニの袋から、市内の店舗を当たったところ、防犯カメラの録画には、根上と勝庫織莉奈が映っていました」
「ぬかりな~ぃ……」
「その来店時間が二二時五九分。出て行くまで、一〇分ほどかかっていますが、来てスグに勝庫織莉奈が、そして会計を済ましてから根上が、ぞれぞれトイレを借りています」
「そう言うトコは身近なカンジ~、夜食の買出しだけではなかったわけね」
「さらに少し
「ホント、しっかりチェックしてるのねぇ」
「でも、それからコンヴィニへ現れるまでの間はどこで何をしていたのかはわかりません。たぶん、本格的に張り込みをするためのトイレ休憩で、コンヴィニを利用したんでしょう」
「でも、その間に二人と合流した人物がいて、買物中も車内から出ずに待っていたなんてことは、チョット考え難いですよね?」
「また深読みよトシは。トイレは行ける時に行くわよ、ずっと二人きりでもフツウだわ」
「そして、そのコンヴィニからクルマの発見場所までの距離は約七〇〇メートル。移動時間にして数分、司法解剖の結果によると、勝庫織莉奈がその時に買った物を口にしていることは確かでして、その消化状態から、少なくとも日付が変わるくらいまでは、二人の間に何もなかったはずなんです」
「……日付が変わったことをきっかけに、勝庫織莉奈が動いて見せたってトコじゃないの? 何かをカンジたとか言って、クルマから出てみるとか?」
「だとして、クルマを駐めた場所から雑木林までは、約一〇〇メートル離れる距離関係です。そして事件現場の細い道路も、さらに道なりに一〇〇メートルほど行った所で林の中を貫いている」
「何か、事件につながるアクションを起こしたのは、勝庫織莉奈の方からだと考えるのが自然よね。より人目も人けもない場所への移動だし、根上クンからなら、クルマを使わない手はないもん」
……上婾さん、いよいよ草豪の話に、筌松よりも先に喰いつきだすとは。
「勝庫織莉奈もいい加減、根上クンがわかりながら騙されてくれているんじゃないかってことぐらい、感づくだろうしねぇ。根上クンの眠気を覚ます意味と、自分のことを信じてくれてるのかを試す意味でも、緑内クンの殺害を自分がやったと、仄めかすような話でも始めたんじゃないの?」
「唯一来てくれたのは、ほかの誰が来なくても来て欲しかった<Root’N>の根上クンなんだもんね……それで思いのほか、クルマの中が気マズい空気になって、話を逸らすためにも、勝庫織莉奈はクルマから出るしかなさそう。でも全然素直じゃないから、今何か気配がしたとか言い出すわけね?」
上婾さんはそう言うと、一人で頻りに頷いた。
筌松は、
納得するにはまだ早いんだけど
、といった表情で上婾さんをまぁ、オレも同じくまだまだ頷けない。
って言うか、筌松と上婾さんがまた調子づいて、緑内の殺害犯はもう、勝庫織莉奈で確定だと完全に決めつけて話しだしたってのに、ここは全く軌道修正に動かないのか剣橋は?
「それを追って根上クンもクルマを離れたわけ? それから、その二〇〇メートルくらいを歩いている内に、お互いどんどん険悪なムードにもなっていくでしょ?」
「トシってば、先走ってなぁい?」
「緑内クンを殺したって言う話だもん、そんな距離でも充分じゃない? それで草豪さん、凶器の包丁とか手足を縛ったダクトテープとかは、一体どっちがもって来てたの?」
「えぇ筌松さん、そこなんです。現場には勝庫織莉奈のリュックはありましたが、根上のバッグ類は見つかっていません、根上が持って出たのは懐中電灯のみです。その夜、現地では月が明るかったので、使ったとしても雑木林を突っきる道路に入ってからでしょう」
「なんだかイヤ~なカンジの夜よねぇ……そしていよいよ、事件の発生現場と言うわけね?」
イヤ~な、なんて言う割りには、ヤケに愉しげな筌松だった。