099 ________________ ‐3rd part‐
文字数 1,827文字
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作戦そのものは、想定外にも金樟が、僊河青蓮を、服づくりの女神とまで崇めるアフィシナドーであったことが手伝って、順調な進行状況と言えそうだった。
あとは僊河姉妹の公聴会と、熱血・ド・トリオのセミナー開始時間をカブらせることが、第二の課題だったけれど、それも昼メシを済ませてからの方が集中できるということで、公聴会の開始が午後になったことと、オレの一八回目の誕生日が訪れてくれて難なく解決。
そしてその今日、バーティー後だろうと決行されるはずだった必勝セミナーが、ヴィーの強烈な駄駄でも中止ではなく、パーティーの前へとズラされて、昼下がりに開かれていた公聴会とバッチリ重なってくれた。
ソファーのあるそのスグ横、襖一枚を隔てたヴィーが不当占拠する和室で、必勝レポート作成セミナーが熱くブチカマされだしたもんだから、明王どももさぞかし驚いたことだろう。
その明王どもの顔を見られなかったのが非常に残念っ。
オレの誕生日は単なるとば口にすぎず、意味合い的には僊河姉妹の歓迎パーティなので、明王どももオレの招待を断れない。
用事があるからと、一旦ウチを離れた剣橋と草豪を除く三人は、会が終わったあともミラノさんの話し相手になっていた。
そして、誠に意表だったのは、ミラノさんは、明王ども相手にも全くヒけをとらないということ。
オレは、会の初日ものっけから、明王どもの容赦ない高論卓説の応酬に置き去られ、以後会の最中はLDへ近づかないようにしていながらも、ミラノさんがいつまでもつかを案じていたんだけれど、僊河青蓮の娘って身分をぬきにしても、対等に論じ合えているもんだから感心してしまう。
ミラノさん、トボけた口調こそ変わらないのに、ファッションに関してと言うか、服づくりに関しては、別人のような才気縦横ぶりを発揮していた。
殊ファブリクス、繊維全般から、皮革や毛皮や羽毛に樹脂類の工学的知識は、ティーンズ向けファッションのECサイトも運営する金樟より遥かに玄人はだし、と言うより、ガチのプロフェッショナルだった。
やはり、妖鳥の娘は妖鳥、理 も当然の臥龍鳳雛 だろうけれど、オレとしては、どこかうら寂しさなんかをカンジてきちゃう……。
オレは、少しでも肩身の狭さを緩和するため、根上と緑内にも、有勅水さんをエサにパーティーへと誘ってはみた。
けれど、さすがに、明王どもがいる事実を隠し立てなんかできない。
結果、根上は生徒会の一員だったにもかかわらず、「行けたら行かせてもらうよ」と、明らかに尻込みした返答。
緑内も、「チョット考えさせてくれ」だなんて、それっきりメールすらもよこさない。
それぞれ、明王どもとの間に何があったのかは知らないけれど、一年が経とうってのに、附属校生だった当時そのまんまの反応と言える。
つくづく、凄絶な五人を呼び寄せちまったと、再認識させられた。
まぁ、曲りなりにも衣裳道楽のヴィーからして、自分の御用達ブランドではないとは言え、公聴会に関わろうという素ぶりすらも見せないし。ド・トリオが、セミナーの途中で休憩を告げても、和室から出ようとさえせず温和しいもんだ。
それゆえ、ド・トリオを明王どもへ紹介するのも実にすんなり。闘争心の炎にジェット燃料を注ぐ意味でも、ド・トリオのド経歴を並べ立ててやった。
ド・トリオへも、五人が附属あがりの中でも如何に魁奇な存在であるかを披瀝してやると、目論見どおり、セミナーの後半へ熱く誘引しだすから、ほくそ笑まずにはいられない。
既に、戦意をスグ剥き出しにする草豪と、その草豪を一喝で黙らせる剣橋が離脱していたために、残りの三人は、割りとスムースにド・トリオの口車にノって、必勝セミナーにもまんまと巻き込まれてくれた。
オレが思うに、いない二人とは、常に一緒にいる江陣原が残っていたことからして、怪しげなセミナーの実態をつかもうとしていたことは間違いない。
だから剣橋は、その前にブチ壊す惧れがある草豪を、ウチから引き離したんだろう。
再開された必勝セミナーに、江陣原はトリオの講義を熱心にメモする一方、座卓の下で頻りにスマホを弄ってもいた。
江陣原の報告から、草豪のネットワークを使い、ド・トリオのことだけでなく、ヴィーの諸諸まで調べあげているとも考えられる。
まぁ、そこまでしたとしても、オレまでが特待生候補だという現実までは、明王どもの心腹に、すんなりとは収まらなかったみたいだけれど。
作戦そのものは、想定外にも金樟が、僊河青蓮を、服づくりの女神とまで崇めるアフィシナドーであったことが手伝って、順調な進行状況と言えそうだった。
あとは僊河姉妹の公聴会と、熱血・ド・トリオのセミナー開始時間をカブらせることが、第二の課題だったけれど、それも昼メシを済ませてからの方が集中できるということで、公聴会の開始が午後になったことと、オレの一八回目の誕生日が訪れてくれて難なく解決。
そしてその今日、バーティー後だろうと決行されるはずだった必勝セミナーが、ヴィーの強烈な駄駄でも中止ではなく、パーティーの前へとズラされて、昼下がりに開かれていた公聴会とバッチリ重なってくれた。
ソファーのあるそのスグ横、襖一枚を隔てたヴィーが不当占拠する和室で、必勝レポート作成セミナーが熱くブチカマされだしたもんだから、明王どももさぞかし驚いたことだろう。
その明王どもの顔を見られなかったのが非常に残念っ。
オレの誕生日は単なるとば口にすぎず、意味合い的には僊河姉妹の歓迎パーティなので、明王どももオレの招待を断れない。
用事があるからと、一旦ウチを離れた剣橋と草豪を除く三人は、会が終わったあともミラノさんの話し相手になっていた。
そして、誠に意表だったのは、ミラノさんは、明王ども相手にも全くヒけをとらないということ。
オレは、会の初日ものっけから、明王どもの容赦ない高論卓説の応酬に置き去られ、以後会の最中はLDへ近づかないようにしていながらも、ミラノさんがいつまでもつかを案じていたんだけれど、僊河青蓮の娘って身分をぬきにしても、対等に論じ合えているもんだから感心してしまう。
ミラノさん、トボけた口調こそ変わらないのに、ファッションに関してと言うか、服づくりに関しては、別人のような才気縦横ぶりを発揮していた。
殊ファブリクス、繊維全般から、皮革や毛皮や羽毛に樹脂類の工学的知識は、ティーンズ向けファッションのECサイトも運営する金樟より遥かに玄人はだし、と言うより、ガチのプロフェッショナルだった。
やはり、妖鳥の娘は妖鳥、
オレは、少しでも肩身の狭さを緩和するため、根上と緑内にも、有勅水さんをエサにパーティーへと誘ってはみた。
けれど、さすがに、明王どもがいる事実を隠し立てなんかできない。
結果、根上は生徒会の一員だったにもかかわらず、「行けたら行かせてもらうよ」と、明らかに尻込みした返答。
緑内も、「チョット考えさせてくれ」だなんて、それっきりメールすらもよこさない。
それぞれ、明王どもとの間に何があったのかは知らないけれど、一年が経とうってのに、附属校生だった当時そのまんまの反応と言える。
つくづく、凄絶な五人を呼び寄せちまったと、再認識させられた。
まぁ、曲りなりにも衣裳道楽のヴィーからして、自分の御用達ブランドではないとは言え、公聴会に関わろうという素ぶりすらも見せないし。ド・トリオが、セミナーの途中で休憩を告げても、和室から出ようとさえせず温和しいもんだ。
それゆえ、ド・トリオを明王どもへ紹介するのも実にすんなり。闘争心の炎にジェット燃料を注ぐ意味でも、ド・トリオのド経歴を並べ立ててやった。
ド・トリオへも、五人が附属あがりの中でも如何に魁奇な存在であるかを披瀝してやると、目論見どおり、セミナーの後半へ熱く誘引しだすから、ほくそ笑まずにはいられない。
既に、戦意をスグ剥き出しにする草豪と、その草豪を一喝で黙らせる剣橋が離脱していたために、残りの三人は、割りとスムースにド・トリオの口車にノって、必勝セミナーにもまんまと巻き込まれてくれた。
オレが思うに、いない二人とは、常に一緒にいる江陣原が残っていたことからして、怪しげなセミナーの実態をつかもうとしていたことは間違いない。
だから剣橋は、その前にブチ壊す惧れがある草豪を、ウチから引き離したんだろう。
再開された必勝セミナーに、江陣原はトリオの講義を熱心にメモする一方、座卓の下で頻りにスマホを弄ってもいた。
江陣原の報告から、草豪のネットワークを使い、ド・トリオのことだけでなく、ヴィーの諸諸まで調べあげているとも考えられる。
まぁ、そこまでしたとしても、オレまでが特待生候補だという現実までは、明王どもの心腹に、すんなりとは収まらなかったみたいだけれど。