241 _______________ ‐3rd part‐
文字数 1,519文字
次に何を言えばいいのかすら考えられず、葉植さんと目が合ったまま、オレも一緒にフリーズ状態へと陥りかけていたところを、ミラノが沈黙から破ってくれる。
「だからここはダメダメなんだよ、外がよくわからないから。責任とって、ちゃんと楯を納得させてあげてよねっ葉植木春菊。楯も深呼吸でもして落ち着く着く。私たちに、葉植木春菊を殺させたくないでしょ?」
ミラノたちは、やはりベッドに腰を下ろしていた。並んではいるものの、互いの間を幾分広く空けて。
奥がミラノで引き戸寄りがトリノさん。そしてミラノは洗った髪が汚れないよう、タオルで太巻きみたいに束ねていた。
額を出しているとホント二人は瓜二つ。こちらも実に怪しく、オフホワイトのナイロンスーツをおソロで着ている……。
「ミラノこそ、何でそんなに冷静でいられるんだよ。それも葉植さんを殺すだって? そんなこと軽軽しく言わないでくれ。なんかもう、おかしくなりそうだよっ」
「だって、楯がここでキレだしたら、葉植木春菊は楯の口も封じなければならないんだよ。そしたらワタシは、トリノに止めてもらうしかないない。トリノのチカラは強すぎるから、葉植木春菊は死んじゃうんだよ」
「えぇっ……え?」トリノさんは、微動だにしないノーリアクションだけれど……。
「話は、もうスグ終わったのに、どしてもう少し眠ってなかったの? どして、今夜に限って私たちの部屋を開けちゃったの?」
「どしてって……」
「まぁ落ち着いてよ楯クン、ボクの儚い命のためにもね。はいこれ、楯クンのイスでしょ? 遠慮なくどーぞ」
「…………」
そんな、姿形はオレの知ってる葉植さんなのに、フツウにさらりと達弁っぽく言われても。
退いて差し出されたデスクチェアにだって、はいどうもと、腰を下ろせるわけがないじゃないかっ。
「あぁ、このしゃべり方がお気に召さない? でも、猫を被っているのはむしろ今の方だよ、語尾を伸ばせば、ずっと先や、ほかのことを考えながら会話できるもんだから。まぁ、ミラノ嬢には不評みたいなんでね」
「ダメダメ、楯は余計にグルグルン。トリノ、お願いなんだよ」
んっ! んんんんんんんっ???
……魂消たぁ。
ミラノがトリノさんへ言ったあと、スグにオレの後ろの引き戸がピシャリと閉じたと思ったら、次は、葉植さんがオレに勧めたデスクチェアが独りでに動いて、オレのスグ横でストップした。
その上、座面までが回って、きっちり、オレが腰かけるのに背倚れが邪魔にならない位置へとズレまでした──。
「楯、座る座る。葉植木春菊が全部話すんだよ」
「ウワ、やられた~妹の方はPK能力者だったんだ? 同じ顔してそんなのズルだ、何がつき添いだよ。二人ともテレパスだと思ったからヨシとしたのにぃ。端からボクの方が夏の虫じゃないか!」
「葉植木春菊もグルグルしないない、ワタシは騙してなんかいないんだよ。ワタシは一人でここへ来ることはできても帰れないんだもん。だからいつも楯に一緒にいてもらったんだよ。別に、楯が襲われないようにって、葉植木春菊を警戒して張りついてたわけじゃないないの」
「……それはどうかなぁ。先月、雑誌の取材で離れた時に、楯クンをいつもより早く家から出したよね?」
「それはそうだよ、私たちが家にいないのをいいことに、楯の反応次第では、殺すしかないかもだなんてぇ、見のがすわけ絶対ないじゃん。葉植木春菊だって、あの日から、家のLDを盗聴してたんだからお相コだよ」
「盗聴っ? ……葉植さんそんなことまで!」
葉植さんなら、ガチにやってくれちゃいそうだけれど、実際にやられても、それが葉植さんでしかないんだけれど──何なんだ一体、この怒涛と逆巻くわけのわからん感情はぁ!
「だからここはダメダメなんだよ、外がよくわからないから。責任とって、ちゃんと楯を納得させてあげてよねっ葉植木春菊。楯も深呼吸でもして落ち着く着く。私たちに、葉植木春菊を殺させたくないでしょ?」
ミラノたちは、やはりベッドに腰を下ろしていた。並んではいるものの、互いの間を幾分広く空けて。
奥がミラノで引き戸寄りがトリノさん。そしてミラノは洗った髪が汚れないよう、タオルで太巻きみたいに束ねていた。
額を出しているとホント二人は瓜二つ。こちらも実に怪しく、オフホワイトのナイロンスーツをおソロで着ている……。
「ミラノこそ、何でそんなに冷静でいられるんだよ。それも葉植さんを殺すだって? そんなこと軽軽しく言わないでくれ。なんかもう、おかしくなりそうだよっ」
「だって、楯がここでキレだしたら、葉植木春菊は楯の口も封じなければならないんだよ。そしたらワタシは、トリノに止めてもらうしかないない。トリノのチカラは強すぎるから、葉植木春菊は死んじゃうんだよ」
「えぇっ……え?」トリノさんは、微動だにしないノーリアクションだけれど……。
「話は、もうスグ終わったのに、どしてもう少し眠ってなかったの? どして、今夜に限って私たちの部屋を開けちゃったの?」
「どしてって……」
「まぁ落ち着いてよ楯クン、ボクの儚い命のためにもね。はいこれ、楯クンのイスでしょ? 遠慮なくどーぞ」
「…………」
そんな、姿形はオレの知ってる葉植さんなのに、フツウにさらりと達弁っぽく言われても。
退いて差し出されたデスクチェアにだって、はいどうもと、腰を下ろせるわけがないじゃないかっ。
「あぁ、このしゃべり方がお気に召さない? でも、猫を被っているのはむしろ今の方だよ、語尾を伸ばせば、ずっと先や、ほかのことを考えながら会話できるもんだから。まぁ、ミラノ嬢には不評みたいなんでね」
「ダメダメ、楯は余計にグルグルン。トリノ、お願いなんだよ」
んっ! んんんんんんんっ???
……魂消たぁ。
ミラノがトリノさんへ言ったあと、スグにオレの後ろの引き戸がピシャリと閉じたと思ったら、次は、葉植さんがオレに勧めたデスクチェアが独りでに動いて、オレのスグ横でストップした。
その上、座面までが回って、きっちり、オレが腰かけるのに背倚れが邪魔にならない位置へとズレまでした──。
「楯、座る座る。葉植木春菊が全部話すんだよ」
「ウワ、やられた~妹の方はPK能力者だったんだ? 同じ顔してそんなのズルだ、何がつき添いだよ。二人ともテレパスだと思ったからヨシとしたのにぃ。端からボクの方が夏の虫じゃないか!」
「葉植木春菊もグルグルしないない、ワタシは騙してなんかいないんだよ。ワタシは一人でここへ来ることはできても帰れないんだもん。だからいつも楯に一緒にいてもらったんだよ。別に、楯が襲われないようにって、葉植木春菊を警戒して張りついてたわけじゃないないの」
「……それはどうかなぁ。先月、雑誌の取材で離れた時に、楯クンをいつもより早く家から出したよね?」
「それはそうだよ、私たちが家にいないのをいいことに、楯の反応次第では、殺すしかないかもだなんてぇ、見のがすわけ絶対ないじゃん。葉植木春菊だって、あの日から、家のLDを盗聴してたんだからお相コだよ」
「盗聴っ? ……葉植さんそんなことまで!」
葉植さんなら、ガチにやってくれちゃいそうだけれど、実際にやられても、それが葉植さんでしかないんだけれど──何なんだ一体、この怒涛と逆巻くわけのわからん感情はぁ!