268 _________ ‐3rd part‐
文字数 1,524文字
ましてや、今はもういない母さんと、ミラノを天秤にかけてしまったら……。
「でも、その、根拠ってのは何だって言うんですか?」
「楯クンだって、実体験したでしょートリノ嬢のPK能力を。今は成長してるかもしれないけどー、幼い頃はコントロールができなくて、ミラノ嬢の感情に、敏感に、強烈に、反応してた可能性があるー」
「…………」
「さっきもそーだよ、トリノ嬢は、ミラノ嬢に握られたサンダー50BMGも同然だったー」
それ、いつだったか、根上が話題にしていたような……。
「50口径の、非人道的な惨状になるから、国際法で人を撃っちゃダメって決まって、騒がれたヤツですか?」
「そー。ミラノ嬢が危機を感知しただけで、トリノ嬢が防衛力を発揮してしまうとしたらー。二人どちらにも殺意がないのに、人が死んでしまうー。それも現代科学では解明できない、誰にも納得されない殺され方でー」
「…………」
「だってミラノ嬢は、妹がしてるダイヤのピアスで脳ミソ撃ちぬくって、ボクに凄みを利かせたんだよー。楯クンは、あれを冗談と受け取ったー? ボクにはマジに聞こえたけどー」
「……ぇえ。まぁ、でも……」
「もしー僊河青蓮が、そんな類の死に方をしてて、その傍らで幼い姉妹が泣いてたら、フツー誰でも、思わず姉妹を問い詰めてしまうよね。だけど、姉の精神を脅かすと、妹の防衛本能を掻き立ててしまうことになるー。その連鎖反応に気づくまで、何人もが犠牲になるんだー」
「……何人もって……」
「あの姉妹ー、六歳にして母親を含め、何人殺したってゆーか、死なせてしまったか知れないよー。もしボクが二人の父親だったらー、とても警察沙汰にはできないねー。自分が罪を被ろうにも、人間ワザじゃないから絶対ムリー」
「…………」
「勿論、幼い姉妹の犯行だとも思われなーい。警察はどこの国でも、そーゆートコまで石頭だからねー。テレパシーにPKでは、見解を求めた有識者の間でも、盥まわしの無限ループになるだけだー」
「……だからって。でしょうけれど……」
「前代未聞の大事件だけど、警察が問える事件性そのものが立証できないわけだからー、始めから、刑事事件じゃーなかったことにするしかない、ってゆー発想にゆき着くし、それならさっさと、内内で処理しちゃうのが正解なのー」
「……けれど、でも、仮にそうだとして、僊河青蓮だけは隠しおおせるかもしれないとして、ほかの犠牲者たちはムリじゃないですか? それも何人もだなんて」
「ところがー。その、犠牲者たちってゆーのが、僊河青蓮の心酔者とゆーか、太鼓もちとゆーか──」
「って、ガチの話ですよねそれ?」
「勿論さ~。パリやロンドン時代の熱狂的な取り巻きの中でも、僊河青蓮をオッカケるあまりに、身をもち崩して、どーにもならなくなった連中がいた。そんな、僊河青蓮が、個人的に面倒を見るしかなかった、まともな人種じゃーないとしたらどーお?」
「……ミラノたちと一緒に暮らしていただけで、身元自体もしっかりしてないような人たちだった、ってことですか?」
「そー。僊河青蓮が結婚したあとも、ミラーノまで一蓮托生とくっついて来たー。ある意味、生活も性格も破綻しちゃってた人たちだよー。だから当然、母国の家族からも、とーの昔に見捨てられてて、死のーがどーなろーが、騒ぎ出すよーな人などいなかったんだ」
「……って、でもそれ、根拠あるんですか?」
「ボクが入手した情報ではー、少なくとも二人が、僊河青蓮と同時期から姿を消してるー。いずれも、そー言われれば見かけなくなった、程度のゆわれようだったー」
「じゃあ、それ幸いに、その人たちの死体を始末しちゃったって言うんですか? それで、何事もなかったように知らん顔して? これまで?」
「でも、その、根拠ってのは何だって言うんですか?」
「楯クンだって、実体験したでしょートリノ嬢のPK能力を。今は成長してるかもしれないけどー、幼い頃はコントロールができなくて、ミラノ嬢の感情に、敏感に、強烈に、反応してた可能性があるー」
「…………」
「さっきもそーだよ、トリノ嬢は、ミラノ嬢に握られたサンダー50BMGも同然だったー」
それ、いつだったか、根上が話題にしていたような……。
「50口径の、非人道的な惨状になるから、国際法で人を撃っちゃダメって決まって、騒がれたヤツですか?」
「そー。ミラノ嬢が危機を感知しただけで、トリノ嬢が防衛力を発揮してしまうとしたらー。二人どちらにも殺意がないのに、人が死んでしまうー。それも現代科学では解明できない、誰にも納得されない殺され方でー」
「…………」
「だってミラノ嬢は、妹がしてるダイヤのピアスで脳ミソ撃ちぬくって、ボクに凄みを利かせたんだよー。楯クンは、あれを冗談と受け取ったー? ボクにはマジに聞こえたけどー」
「……ぇえ。まぁ、でも……」
「もしー僊河青蓮が、そんな類の死に方をしてて、その傍らで幼い姉妹が泣いてたら、フツー誰でも、思わず姉妹を問い詰めてしまうよね。だけど、姉の精神を脅かすと、妹の防衛本能を掻き立ててしまうことになるー。その連鎖反応に気づくまで、何人もが犠牲になるんだー」
「……何人もって……」
「あの姉妹ー、六歳にして母親を含め、何人殺したってゆーか、死なせてしまったか知れないよー。もしボクが二人の父親だったらー、とても警察沙汰にはできないねー。自分が罪を被ろうにも、人間ワザじゃないから絶対ムリー」
「…………」
「勿論、幼い姉妹の犯行だとも思われなーい。警察はどこの国でも、そーゆートコまで石頭だからねー。テレパシーにPKでは、見解を求めた有識者の間でも、盥まわしの無限ループになるだけだー」
「……だからって。でしょうけれど……」
「前代未聞の大事件だけど、警察が問える事件性そのものが立証できないわけだからー、始めから、刑事事件じゃーなかったことにするしかない、ってゆー発想にゆき着くし、それならさっさと、内内で処理しちゃうのが正解なのー」
「……けれど、でも、仮にそうだとして、僊河青蓮だけは隠しおおせるかもしれないとして、ほかの犠牲者たちはムリじゃないですか? それも何人もだなんて」
「ところがー。その、犠牲者たちってゆーのが、僊河青蓮の心酔者とゆーか、太鼓もちとゆーか──」
「って、ガチの話ですよねそれ?」
「勿論さ~。パリやロンドン時代の熱狂的な取り巻きの中でも、僊河青蓮をオッカケるあまりに、身をもち崩して、どーにもならなくなった連中がいた。そんな、僊河青蓮が、個人的に面倒を見るしかなかった、まともな人種じゃーないとしたらどーお?」
「……ミラノたちと一緒に暮らしていただけで、身元自体もしっかりしてないような人たちだった、ってことですか?」
「そー。僊河青蓮が結婚したあとも、ミラーノまで一蓮托生とくっついて来たー。ある意味、生活も性格も破綻しちゃってた人たちだよー。だから当然、母国の家族からも、とーの昔に見捨てられてて、死のーがどーなろーが、騒ぎ出すよーな人などいなかったんだ」
「……って、でもそれ、根拠あるんですか?」
「ボクが入手した情報ではー、少なくとも二人が、僊河青蓮と同時期から姿を消してるー。いずれも、そー言われれば見かけなくなった、程度のゆわれようだったー」
「じゃあ、それ幸いに、その人たちの死体を始末しちゃったって言うんですか? それで、何事もなかったように知らん顔して? これまで?」