191 漆黒の意思へ喘げ! ‐1st part‐

文字数 1,283文字

 なんか、そもそもがフザケてるんだから、

が殺人鬼で、

が始末屋、ってカンジの、ありがちな関係性までがイメージされてもくる。

 ひょっとすると、

は、

の存在を知らないって可能性だってありそうだよな。
 それこそ

は横道派の人間、完璧なストーカーとして、影のように、

の身を守り続けているなんてことも考えられる。
 そうでなれければ、

に、あっさりと殺されちまうのがオチだろうし。

 

も最悪な殺人マニア、快楽殺人者と考えた方がよさそう。
 それも

と違って、バールや包丁といった直接的な凶器は使わない、そう、事故死を装って殺すというスタイルの。

 ってことは、僊婆の土地だった一帯が、

の殺人実験場の一つに選ばれたのか?

 実験が実験だ、

は場所を転転と変える必要があるから、地方へも行くだろうし、逆に地方でもヤバくなったんで、港区でも閑静な下麻布へやって来た?
 あるいは、

が考案した仕掛けやら手口やらの種類によって、それぞれ適した地相があるのかもしれない。
 
 とにかく、毎日のようには試せないはず。
 一度試して騒ぎになれば、ほとぼりが冷めるまで次はできないから、三件の高壁への突進事故も、同じような合間で発生していたんだ。

 そして、

の生活圏を中心に、周辺地域を巡ることになるだろう。
 偶偶それが、田宮謡のリサイタルスケジュールと重なったか、もしくはワザと重なるようにしていた、それも興趣でか? 

 

は、実験場を定めたあと、被験者となるターゲットの方は、場当たり的に定めているために、事故の発生そのものを不審がられようが、その場さえ逃げきってしまえば、ケーサツの捜査は及ばない。

 そして首尾良く事故を起こせても、僊婆のような高齢者以外は、死亡にまで至らなかった。
 だからこそ老人ばかりが死んでいることになるし、独り暮らし、それも家屋内での方が、仕掛けがし易いに決まってる。
 

が、死亡事故という結果を出そうと勤しんでいるのを、

は見張りのように、少し離れた位置で見守っているだけで、実験自体には直接手を貸さないんだ。

 それゆえ、その実験の目撃者は、ターゲットや

に気を取られていると、さらに、自分の背後から、一部始終を窺っている

の存在に気づけない。

 緑内も根上も、実験後にその場から離れる

の跡をつけようとしたところを、

に急襲されたんだとしたら?
 
 ……なんか、全ての辻褄が上手いこと合いそうじゃないかぁ? オレの当て推量にしては、いつになく!

 Y字路の呪いも、その<老婆が背後から覆い被さって、耳元で怨詛の言葉を囁く>といったモノは、なんとなく、何らかの装置を使った物理現象で引き起こせそうに思える。
 緑内なら絶対に、事故の発生を予感させるその何らかの異常ってヤツを、目敏く看破するに違いないんだし。

 演歌の呪いだって、その実際の実験内容は、想像もつかないけれど、根上も、科学的な事柄には詳しい上にミステリーマニアだ。
 

の行動を、勝庫織莉奈と張り込んでいたなら、

がターゲットへ、どんな手段を講じて事故を起こそうとしているのかを、たちどころに暴いてしまうことだろう。
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登場人物紹介

登場人物につきましてはイントロ的に一覧で掲載しておりますぅ


当作は主人公:楯の一人称書きをしておりますので、本編内で紹介されるプロフィール情報のムラは、楯との関係性によるところが大きくなりまっす


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