294 ___________ ‐2nd part‐
文字数 1,207文字
「どう致しまして。今晩からイタリア語を教わるんだもん、このくらいお安い御用ですよ」
「またムリしちゃってー。ミラノ嬢から何を言われてるのか知らないけどー、別に正当な理由をつけてボクを定期的に監視しよーとしなくても、契約はちゃんと守るー。お祖父ちゃんの口利きでー、早くも午後から、関連するゼミに顔出しすることにもなってるしー」
「ムリなんかしてませんってば。ミラノは、親友は家族と一緒だから、覚悟してつき合わなくちゃダメなんだって言っただけ」
「……そ~ぉ?」
「大体オレ、こうして、自分から会話が交わしたくて交わせてる人って、ホント大学にはいないんですよね。大抵は命令されるだけだし、オレの話なんか、誰もまともに聞いちゃくれないもんだから」
「まーいいや、そーゆーことにしといてあげるー。ボクにとっても楯クンは、年齢相応の人間ぽさの基準だからねー」
「人間ぽさですかぁ……まぁ、それもそう言うことで。あぁそれと、明後日のセンパイの壮行会には出席してくれますよね? 葉植さんの入学祝いだけでなく、有勅水さんの歓迎会もかねてるんだし」
「出席させていただくよー。珂児也クンも、とーとー念願のブレイクなんでしょー? 順調すぎーる気もするけど、この国での負けを認めたってことだから、精精励ましてあげないとー」
「そうはなるんでしょうけれど、NYのセイレネスショップで壁画を描くってんだから、とんでもないよなぁ。それを手始めに活動の場を向こうに移すってことは、やっぱり日本には見切りをつけたことでしょうし。でもなんか、みんな華華しく成功しちゃって嫌になるよなぁ」
「んん~?」
「葉植さんは医学部だし、里衣さんも、年内には自分の店が出せる目途が立ちそうだって話だし。毛絲さんなんか、いきなりコスプレ仲間のカレシと婚約したって言いだしたんですよっ。それも、オンラインゲーム系のITヴェンチャーで、年商一〇億超えの副社長だって。一昨日の緊急入院騒ぎも、実は妊娠が原因だったんですから」
「あはは~。相変わらずの豪気だねー」
「もう、この世は何でもアリですよねぇ。オレも浮ついてないで、地に足のついた暮らしができるよう、気張らなくちゃ」
「そだねー、しっかりお励みー。だけどー、珂児也クンの入れ替わりに、有勅水さんが楯クンの家に住んじゃうなんてことには、チョット驚きー」
「まぁ忙しい有勅水さんには、独り暮らしは不便が多くて、つまらないってことみたい。前前から宅配便の受けとり先にされてたし、ウチで晩酌を愉しむ習慣までついちゃってるから。センパイのNY行きも、部屋が空くことを喜んでるんですもん」
「じゃーレッスンは邪魔されないよーに、首都高速をグルグルしながらしよーか? お祖父ちゃんのロータスを借りてあげるー」
「マジガチでっ……いつ免許なんて?」
「グルグルは決まりだー。ボクの運転技術に心配はない~って、わかってもらうためにー」
「……心配は、そのぉ……」
「またムリしちゃってー。ミラノ嬢から何を言われてるのか知らないけどー、別に正当な理由をつけてボクを定期的に監視しよーとしなくても、契約はちゃんと守るー。お祖父ちゃんの口利きでー、早くも午後から、関連するゼミに顔出しすることにもなってるしー」
「ムリなんかしてませんってば。ミラノは、親友は家族と一緒だから、覚悟してつき合わなくちゃダメなんだって言っただけ」
「……そ~ぉ?」
「大体オレ、こうして、自分から会話が交わしたくて交わせてる人って、ホント大学にはいないんですよね。大抵は命令されるだけだし、オレの話なんか、誰もまともに聞いちゃくれないもんだから」
「まーいいや、そーゆーことにしといてあげるー。ボクにとっても楯クンは、年齢相応の人間ぽさの基準だからねー」
「人間ぽさですかぁ……まぁ、それもそう言うことで。あぁそれと、明後日のセンパイの壮行会には出席してくれますよね? 葉植さんの入学祝いだけでなく、有勅水さんの歓迎会もかねてるんだし」
「出席させていただくよー。珂児也クンも、とーとー念願のブレイクなんでしょー? 順調すぎーる気もするけど、この国での負けを認めたってことだから、精精励ましてあげないとー」
「そうはなるんでしょうけれど、NYのセイレネスショップで壁画を描くってんだから、とんでもないよなぁ。それを手始めに活動の場を向こうに移すってことは、やっぱり日本には見切りをつけたことでしょうし。でもなんか、みんな華華しく成功しちゃって嫌になるよなぁ」
「んん~?」
「葉植さんは医学部だし、里衣さんも、年内には自分の店が出せる目途が立ちそうだって話だし。毛絲さんなんか、いきなりコスプレ仲間のカレシと婚約したって言いだしたんですよっ。それも、オンラインゲーム系のITヴェンチャーで、年商一〇億超えの副社長だって。一昨日の緊急入院騒ぎも、実は妊娠が原因だったんですから」
「あはは~。相変わらずの豪気だねー」
「もう、この世は何でもアリですよねぇ。オレも浮ついてないで、地に足のついた暮らしができるよう、気張らなくちゃ」
「そだねー、しっかりお励みー。だけどー、珂児也クンの入れ替わりに、有勅水さんが楯クンの家に住んじゃうなんてことには、チョット驚きー」
「まぁ忙しい有勅水さんには、独り暮らしは不便が多くて、つまらないってことみたい。前前から宅配便の受けとり先にされてたし、ウチで晩酌を愉しむ習慣までついちゃってるから。センパイのNY行きも、部屋が空くことを喜んでるんですもん」
「じゃーレッスンは邪魔されないよーに、首都高速をグルグルしながらしよーか? お祖父ちゃんのロータスを借りてあげるー」
「マジガチでっ……いつ免許なんて?」
「グルグルは決まりだー。ボクの運転技術に心配はない~って、わかってもらうためにー」
「……心配は、そのぉ……」