284 ミソサザイも鳴かずば撃たれまいに ‐1st part‐
文字数 1,338文字
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テラスの上を数歩行く間、確かに、表面が平らでも水平でもないこともカンジ取ることができた。
しかも一箇所ではなく、結構たくさん、違う大きさで設けられているみたいだ。
歪な四角形の、中空に突き出している側の方が、その凹みは深そうだけれど、深いと言っても、その曲面はホント微妙で、受けた電磁波を増幅して送り出すなんてことができるとは、感覚的にとても思えない。
きっと、その辺の感性からして、オレの物理センスのなさなんだろうなぁ。
ミラノの傍まで行くと、ミラノはいつものようにオレへ手を伸ばしてくる。
オレは絶命したスマホをポケットに仕舞い、両手を軽くたたき合わせてからミラノの手をとった。
「じゃあ帰ろっか。オレもまだ眠気はないけれど、横になったら爆睡できそう」
「うんうん。楯に言っとくけど、青蓮は誰かに会おうとか考えないだけで、ちゃんと生きてるんだからぁ。死んでなんかいないない。だから楯は、ムダで余計な心配なんか、全然しなくていいのいいの」
「え……あ、そう。そうなんだ?」
ミラノが足を止めないので、オレも立ち止まらずに返答。
「そうそうだよだよ」
「へぇ~。葉植さんでも、うっかりだけでなく、大間違いをすることがあるんだね」
「う~ん。大間違いじゃなくたって、大事なトコをうっかりしたら大変なんだよ。とにかくワタシは、いつでも青蓮とつながれるんだからぁ。会わなくたって、ワタシが全部教えてあげるんだよ」
「……えっと~、どう言うこと? 別に僊河青蓮、って言うか、ミラノのお母さんに会いたいとか思わないよ、畏れ多くて、ってミラノが畏れ多くないとも思ってないしさ」
「去年の夏から、葉植木春菊は大間違いだらけじゃん。しっかりしないとダメダメだよ楯。親友になったからって、それで何でも正しいとは限らないない」
「……だったよねぇ。ウ~ン、しっかりしないと……」
「だよ。これからも、さっきみたくしっかり頭を使って、きちんと判断していかなくちゃ。楯だって、きちんと使えば、頭がしっかり働くんだからぁ」
「え? それって……じゃあ葉植さん、やっぱり? もしかしてプレハブの戸、開けてたのミラノ?」
「そうだよ、楯が考えたことが大アタリなんだよ。これでもうホントに終わりだよ楯、ワタシもその事はもう何も話せないんだから。楯だって、もう危ない方へ近寄って行ったらダメダメだってこと、ワタシがこうして言うまでもなく、よくよくわかってるよねっ?」
「……はい。よくわかってますっ」
「葉植木春菊が楯を騙してなくたって、信じていいのは、葉植木春菊がきちんと勉強したことだけなんだよ」
うわー、オトナの意見……でも、そのとおりだよなぁ。オレは、せめてマジガチにしっかりして、精神的には急成長しとかないと。
羽撃きのセイレーンの手前で待っていたトリノさんへ「お疲れ様ぁ」と、とりあえず能転気に声をかける。
プレハブ内ほどではなかったけれど、その顔には、まだ幾分険しさが残っていたから……。
軽く頷いて見せただけのトリノさんだったが、テラスから階段へと降りる際には、ミラノのもう片側の手をつないでサポートしてくれる。
なので、機嫌気褄が特別悪いというわけでもなさそうだ。これで下まで、フツウの歩調で行くことができるし。
テラスの上を数歩行く間、確かに、表面が平らでも水平でもないこともカンジ取ることができた。
しかも一箇所ではなく、結構たくさん、違う大きさで設けられているみたいだ。
歪な四角形の、中空に突き出している側の方が、その凹みは深そうだけれど、深いと言っても、その曲面はホント微妙で、受けた電磁波を増幅して送り出すなんてことができるとは、感覚的にとても思えない。
きっと、その辺の感性からして、オレの物理センスのなさなんだろうなぁ。
ミラノの傍まで行くと、ミラノはいつものようにオレへ手を伸ばしてくる。
オレは絶命したスマホをポケットに仕舞い、両手を軽くたたき合わせてからミラノの手をとった。
「じゃあ帰ろっか。オレもまだ眠気はないけれど、横になったら爆睡できそう」
「うんうん。楯に言っとくけど、青蓮は誰かに会おうとか考えないだけで、ちゃんと生きてるんだからぁ。死んでなんかいないない。だから楯は、ムダで余計な心配なんか、全然しなくていいのいいの」
「え……あ、そう。そうなんだ?」
ミラノが足を止めないので、オレも立ち止まらずに返答。
「そうそうだよだよ」
「へぇ~。葉植さんでも、うっかりだけでなく、大間違いをすることがあるんだね」
「う~ん。大間違いじゃなくたって、大事なトコをうっかりしたら大変なんだよ。とにかくワタシは、いつでも青蓮とつながれるんだからぁ。会わなくたって、ワタシが全部教えてあげるんだよ」
「……えっと~、どう言うこと? 別に僊河青蓮、って言うか、ミラノのお母さんに会いたいとか思わないよ、畏れ多くて、ってミラノが畏れ多くないとも思ってないしさ」
「去年の夏から、葉植木春菊は大間違いだらけじゃん。しっかりしないとダメダメだよ楯。親友になったからって、それで何でも正しいとは限らないない」
「……だったよねぇ。ウ~ン、しっかりしないと……」
「だよ。これからも、さっきみたくしっかり頭を使って、きちんと判断していかなくちゃ。楯だって、きちんと使えば、頭がしっかり働くんだからぁ」
「え? それって……じゃあ葉植さん、やっぱり? もしかしてプレハブの戸、開けてたのミラノ?」
「そうだよ、楯が考えたことが大アタリなんだよ。これでもうホントに終わりだよ楯、ワタシもその事はもう何も話せないんだから。楯だって、もう危ない方へ近寄って行ったらダメダメだってこと、ワタシがこうして言うまでもなく、よくよくわかってるよねっ?」
「……はい。よくわかってますっ」
「葉植木春菊が楯を騙してなくたって、信じていいのは、葉植木春菊がきちんと勉強したことだけなんだよ」
うわー、オトナの意見……でも、そのとおりだよなぁ。オレは、せめてマジガチにしっかりして、精神的には急成長しとかないと。
羽撃きのセイレーンの手前で待っていたトリノさんへ「お疲れ様ぁ」と、とりあえず能転気に声をかける。
プレハブ内ほどではなかったけれど、その顔には、まだ幾分険しさが残っていたから……。
軽く頷いて見せただけのトリノさんだったが、テラスから階段へと降りる際には、ミラノのもう片側の手をつないでサポートしてくれる。
なので、機嫌気褄が特別悪いというわけでもなさそうだ。これで下まで、フツウの歩調で行くことができるし。