204 ________________ ‐2nd part‐
文字数 1,557文字
って言うか、オレまだちゃんとコクりきってもいないのに、どうしてそんな、別れの危機を察知したカノジョみたいな、随分と先にでも心配すればよさそうなことを言うかなぁ?
いやいや、何をそんな。大それたことを考えてはダメダメ。
オレの方こそ、ミラノが、親しくしてくれるだけで充分なんだから。
こうして手なんかつないでくれて、チョットしたことを頼ってくれて、それで喜んでくれたらもうサイコ~……。
けれど、オレはただ、チョットしたことではないことでも、ミラノに頼られる男になりたがっている。
ミラノが世界のどこにいようと、難儀があれば、アテにされるような人間にね。
それには殺人犯の二人くらい、逮捕に協力できないとマズいでしょう? ホント、ただそれだけのことなのにさ……。
「そんなこと、ワタシにはよくわかんないない。だってワタシは、一人で外出もできない、ダメダメに大それた人間だよ。殺人犯なんか関係なく、ワタシは楯に頼るしかないんだし、これからだって、頼るなら楯がいいに決まってるんだよ」
「それは、頼ってくれて全然いいんだけれど……」
「第一、楯がやさしいのは弱いからなんだからぁ。強い人にやさしい人なんかいないんだよ。だから殺人犯になんか、勝たなくていいのいいの」
「ん~。ミラノが言うならそうなんだろうけどさ……」
「だけど、いろいろ全部ワタシが決めても、自分一人で動けちゃう楯だから、ワタシはああだよこうだよ言ったり、言わなかったりするしかないない。でも楯が殺されちゃうのが、一番イヤイヤなんだよ」
「……ミラノは、未来のことまでわかったりするわけ? オレが、ミラノを好きじゃなくなって、その追った犯人たちからも、返り討ちにされちゃうって言うのは、的中率一〇〇パーセントの予言ってことなの?」
いきなりミラノが立ち止まるので、オレは危うく自分の左足で、先に踏み出していた自分の右足を蹴りそうになる──。
しかしどうにか、バッシュやジーンズを蹴ることも、コケることもなく歩行停止。
「未来は、わからないの、だからイヤイヤなんだよ。いろんな人がいろんなことを考えてて、これから何をやろうとしているのかもわかるけど、人はいろんな人からスグ影響を受けて、そのとおりにならないことの方が多いんだよ」
「……ん。まぁ確かにね」
「それに気紛れで、急に途中で止めちゃったり、全然違う方へ進んじゃったりする。楯だけをずっと意識してても、もう明日どうなっちゃうのかよくわからないのに、楯が影響される大勢のことまでなんか、とても意識しきれないない」
「それだって、当然のことじゃないの?」
「でも、自分をダメじゃないと思ってる人にとっては、ほかの大勢のことなんか、関係なくやっちゃおうとしていることがわかるワタシは、邪魔者でしかないんだもん。それだけは一〇〇パーセントそうだったんだよ」
「う~ん」
……確かに、自負心の強い人間ほど、俗念に支配されていて、思いやりや親切までもが、相手の心情もおかまいいなしにテキパキ、バリバリ、自分のペースで直往邁進 しがちではあるよな。
でもオレは、何もそこまで驕 るつもりは更更ないし、どんなにガンバっても、そこまで驕れやしないだろう。
それでも、ダメダメという負の界域を生きてしまっているオレが、ここで一気に正の界域へとはいかないにしろ、どうにかゼロベースにまで浮上しないことには、ミラノとつり合えたところで、そこから先の進展なんか、あり得そうもないんじゃないのかなぁ。
「楯が知らないだけだよ、ワタシのチカラを知ってて、気にしない人なんか滅多にいないんだよ。知ってて、ワタシを好きなままでいてくれるのは、グアスタを除けば、これまでで楯だけなんだもん」
グアスタさんってのは、確か、NYにいるミラノの爺やの名前だったか……。
いやいや、何をそんな。大それたことを考えてはダメダメ。
オレの方こそ、ミラノが、親しくしてくれるだけで充分なんだから。
こうして手なんかつないでくれて、チョットしたことを頼ってくれて、それで喜んでくれたらもうサイコ~……。
けれど、オレはただ、チョットしたことではないことでも、ミラノに頼られる男になりたがっている。
ミラノが世界のどこにいようと、難儀があれば、アテにされるような人間にね。
それには殺人犯の二人くらい、逮捕に協力できないとマズいでしょう? ホント、ただそれだけのことなのにさ……。
「そんなこと、ワタシにはよくわかんないない。だってワタシは、一人で外出もできない、ダメダメに大それた人間だよ。殺人犯なんか関係なく、ワタシは楯に頼るしかないんだし、これからだって、頼るなら楯がいいに決まってるんだよ」
「それは、頼ってくれて全然いいんだけれど……」
「第一、楯がやさしいのは弱いからなんだからぁ。強い人にやさしい人なんかいないんだよ。だから殺人犯になんか、勝たなくていいのいいの」
「ん~。ミラノが言うならそうなんだろうけどさ……」
「だけど、いろいろ全部ワタシが決めても、自分一人で動けちゃう楯だから、ワタシはああだよこうだよ言ったり、言わなかったりするしかないない。でも楯が殺されちゃうのが、一番イヤイヤなんだよ」
「……ミラノは、未来のことまでわかったりするわけ? オレが、ミラノを好きじゃなくなって、その追った犯人たちからも、返り討ちにされちゃうって言うのは、的中率一〇〇パーセントの予言ってことなの?」
いきなりミラノが立ち止まるので、オレは危うく自分の左足で、先に踏み出していた自分の右足を蹴りそうになる──。
しかしどうにか、バッシュやジーンズを蹴ることも、コケることもなく歩行停止。
「未来は、わからないの、だからイヤイヤなんだよ。いろんな人がいろんなことを考えてて、これから何をやろうとしているのかもわかるけど、人はいろんな人からスグ影響を受けて、そのとおりにならないことの方が多いんだよ」
「……ん。まぁ確かにね」
「それに気紛れで、急に途中で止めちゃったり、全然違う方へ進んじゃったりする。楯だけをずっと意識してても、もう明日どうなっちゃうのかよくわからないのに、楯が影響される大勢のことまでなんか、とても意識しきれないない」
「それだって、当然のことじゃないの?」
「でも、自分をダメじゃないと思ってる人にとっては、ほかの大勢のことなんか、関係なくやっちゃおうとしていることがわかるワタシは、邪魔者でしかないんだもん。それだけは一〇〇パーセントそうだったんだよ」
「う~ん」
……確かに、自負心の強い人間ほど、俗念に支配されていて、思いやりや親切までもが、相手の心情もおかまいいなしにテキパキ、バリバリ、自分のペースで
でもオレは、何もそこまで
それでも、ダメダメという負の界域を生きてしまっているオレが、ここで一気に正の界域へとはいかないにしろ、どうにかゼロベースにまで浮上しないことには、ミラノとつり合えたところで、そこから先の進展なんか、あり得そうもないんじゃないのかなぁ。
「楯が知らないだけだよ、ワタシのチカラを知ってて、気にしない人なんか滅多にいないんだよ。知ってて、ワタシを好きなままでいてくれるのは、グアスタを除けば、これまでで楯だけなんだもん」
グアスタさんってのは、確か、NYにいるミラノの爺やの名前だったか……。