236 残滅がテーゼの天使 ‐1st part‐
文字数 1,433文字
「ボクもお説教は結構。仕方がないんだ、だってそうだろ?」
……ウッソ。葉植さんが、フツウの口調でしゃべっちゃってるだなんて! でも、声が変わらないときてるから、受け容れるどころか受けつけられないぃ……。
「そうって、そうなのぉ?」
「だって、人間なんか、文字どおりゴミ山同然にウジャらけてるけど、あのコはこの世に一体しか存在しない。なのに、あのコは自分では、その稀有さや崇高さがわからないんだ」
「うんうん」
「だから、ボクが守ってやらないと。誰が創ったのかは、どう調べてもわからないけど、神が気紛れに地上へ放逐した、本物の天使なのかもしれないとも考えたよ」
「フ~ン」
「ボクの知る限り、あのコは、三界一の最高傑作だからね。生き腐ってる老残どもが何人死のうと、あのコ一人の価値に対当することなどあり得ない。むしろ、天使に選ばれた生け贄ってことで、感謝されるべきことだ。天使には、人間のルールなんか通用しないんだから」
「うーん……」
「大体、人間ってのは、老いぼれに限らず、無気力で懈怠 な役立たずが、罪もないほかの命を喰らってのうのうと生き晒してる。ならば天使が生きて行くために、人間が何人死のうと何でもない」
「うぅ~ん?」
「あのコは、存在するだけで、犠牲になる何倍もの人間に清福を齎 すんだから、この世を煩わせるだけの有象無象の命なんぞ、お安いモノだ」
「あのコは天使なんかじゃないんだよ。それに、この世界に一人だけでもないよ。だから、あのコの生け贄になる人たちの方が、ホントは唯一無二の存在で、稀少価値はあのコなんかより高いはずだよ」
「一人じゃない……それって本当に? だけど天使にだって、九位までの階級があるくらいだからね、それであのコの価値が、人間の固有性なんかで下落することはない」
「あのコは、天使と言うより怪物なんだよ。迦陵頻伽 で唄っては、人を惹きつけ誘い込む、そう、まるでセイレーンみたいなんだよ」
「まぁ確かに、唄うため、仕留めるため、自由気ままに飛んで行く……で、あのコはどこから来たの? 誰が創った?」
「知らないない。とにかく、もう人殺しはやめるんだよ。それがワタシの取り引き条件の一つだよ。あのコを守りたいなら、もっとしっかり、この世界のことを教育しなくちゃダメダメ」
「している最中なんだ。だから言うことを聞いてもらうために、ボクがお手本も披露した。殺しすぎたことは自覚しているし」
「う~んだよ、また」
「でも、一箇所で一度にどれだけ殺すと、どれくらいの騒ぎとなって自身を追いつめることになるのか、それを理解させるには、院長の心中沙汰を装っての、養護施設への放火は致し方なかったんだ」
「理解ね~? させるのも、してもらうのも、殺さないとダメなんて、ダメダメだよ」
「だって、あのコへの理解者も、ボクがそうだったからって、スグまた容易く得られるモノではないとゆうことも肝に銘じたはずだ。あの勝庫織莉奈のお蔭でね。人間は子供でも表裏があるって理解できたろうし、罪をなすりつけた結果として、あのコをいい方向へ導けていると思うし」
「ダメダメそう言う教育はぁ。やれやれだよ」
「第一、あの施設のありよう自体が、問題だったしさ」
「う~ん?」
「回復の見込みのないアルツハイマーや、重度の老人性痴呆症患者ばかりを受け入れては、共依存や、代理ミュンヒハウゼン症候群傾向にあるヴォランティアにほとんどを任せて、不当利得を貪るとゆう、実態は体の良い現代の姥捨て山だ」
「うんうんだよ、そっちは」
……ウッソ。葉植さんが、フツウの口調でしゃべっちゃってるだなんて! でも、声が変わらないときてるから、受け容れるどころか受けつけられないぃ……。
「そうって、そうなのぉ?」
「だって、人間なんか、文字どおりゴミ山同然にウジャらけてるけど、あのコはこの世に一体しか存在しない。なのに、あのコは自分では、その稀有さや崇高さがわからないんだ」
「うんうん」
「だから、ボクが守ってやらないと。誰が創ったのかは、どう調べてもわからないけど、神が気紛れに地上へ放逐した、本物の天使なのかもしれないとも考えたよ」
「フ~ン」
「ボクの知る限り、あのコは、三界一の最高傑作だからね。生き腐ってる老残どもが何人死のうと、あのコ一人の価値に対当することなどあり得ない。むしろ、天使に選ばれた生け贄ってことで、感謝されるべきことだ。天使には、人間のルールなんか通用しないんだから」
「うーん……」
「大体、人間ってのは、老いぼれに限らず、無気力で
「うぅ~ん?」
「あのコは、存在するだけで、犠牲になる何倍もの人間に清福を
「あのコは天使なんかじゃないんだよ。それに、この世界に一人だけでもないよ。だから、あのコの生け贄になる人たちの方が、ホントは唯一無二の存在で、稀少価値はあのコなんかより高いはずだよ」
「一人じゃない……それって本当に? だけど天使にだって、九位までの階級があるくらいだからね、それであのコの価値が、人間の固有性なんかで下落することはない」
「あのコは、天使と言うより怪物なんだよ。
「まぁ確かに、唄うため、仕留めるため、自由気ままに飛んで行く……で、あのコはどこから来たの? 誰が創った?」
「知らないない。とにかく、もう人殺しはやめるんだよ。それがワタシの取り引き条件の一つだよ。あのコを守りたいなら、もっとしっかり、この世界のことを教育しなくちゃダメダメ」
「している最中なんだ。だから言うことを聞いてもらうために、ボクがお手本も披露した。殺しすぎたことは自覚しているし」
「う~んだよ、また」
「でも、一箇所で一度にどれだけ殺すと、どれくらいの騒ぎとなって自身を追いつめることになるのか、それを理解させるには、院長の心中沙汰を装っての、養護施設への放火は致し方なかったんだ」
「理解ね~? させるのも、してもらうのも、殺さないとダメなんて、ダメダメだよ」
「だって、あのコへの理解者も、ボクがそうだったからって、スグまた容易く得られるモノではないとゆうことも肝に銘じたはずだ。あの勝庫織莉奈のお蔭でね。人間は子供でも表裏があるって理解できたろうし、罪をなすりつけた結果として、あのコをいい方向へ導けていると思うし」
「ダメダメそう言う教育はぁ。やれやれだよ」
「第一、あの施設のありよう自体が、問題だったしさ」
「う~ん?」
「回復の見込みのないアルツハイマーや、重度の老人性痴呆症患者ばかりを受け入れては、共依存や、代理ミュンヒハウゼン症候群傾向にあるヴォランティアにほとんどを任せて、不当利得を貪るとゆう、実態は体の良い現代の姥捨て山だ」
「うんうんだよ、そっちは」