兵庫駅
文字数 447文字
今でも半分はそうだけれど、兵庫駅というのは2階建ての駅だった。
山陽本線の1から4番線は高架上にあるが、和田岬線ホームと貨物ヤードは地平にあった。
貨物ヤードの先には和田岬線のほか、兵庫突堤の方へ伸びる路線もあった。
和田岬線とは違い、こっちの路線は貨物営業しかしていなかったが、この兵庫突堤というのがバナナの輸入で有名で、日本に入ってくるバナナの何割かを扱っていたとか。
そのバナナの輸送用かどうかは知らないが、兵庫駅の貨物ヤードには通風車(ツム1000とか)がいつも何台も留置されていた。
入換作業もあるから、DD13も待機している。
そんな貨物ヤードなのだけれど、線路と線路の間の狭い空き地に、小さな人工の池が作られていたことを覚えている人は、今ではもう少ないかもしれない。
どこかの家の庭にでもありそうなサイズの池だけれど、ちゃんと名前もあって、山陽線を行き交う列車の車窓からも見えるように、看板が掛けられていた。
そこには、
『無事湖』
とあった。
おそらく「むじこ」と読むのだろう。