ED42
文字数 829文字
写真で姿を見るたびに前々から疑問に思っていたことに、
「ED42の運転台では、どうして運転席が右側にあるのか?」
というのがある。
よくご存知であろうが、電気機関車にしては珍しくED42は片運転台で、運転台は横川側にしかない。
形式図を見ると、EC40、ED40、ED41もみな右側運転席で、しかも全員が片運ときた。
(EC40だけは最初は両運だが、いつかの時点で軽井沢方の運転台を撤去したのだろう)
さてED42ですが、列車が横川へ向けて走る時には、ED42が先頭に立つのだから、片運でも問題はない。
逆向き、つまり軽井沢へ向かう時にももちろんED42が先頭に立つが、運転台は車体の横川方にしかないわけで、では機関手は、どうやって前方注視をするのかというと…。
それがですね…。
うまい例えではないが、まるでシュモクザメの目玉のように、ED42では運転台部分だけが、車体の他の部分よりも幅が広く、左右にぐいと突き出している。
その突き出しが、左右にそれぞれ10センチずつ。
つまり軽井沢行を運転するときには、機関手は体をねじって後ろを振り返り、寸法差10センチを利用して作った、まるで隙間みたいなのぞき窓を通して前方を見ていたのだろう。
その視野は、C62やE10の機関手席どころじゃなく狭かっただろう。
(C62とE10のボイラーはでかいですぜ)
こうなると、ED42の運転席が右側にあった理由も見当がつく。
線路際に立ててあって、木の棒を白く塗って作ったキロポストとか勾配標といったと標識だけれど、あれは線路のどちら側にある?
「標識は『くだり列車』から見て左側に設置される」
と何かの本で読んだことがある。
碓氷峠で「くだり列車」といえば、軽井沢行ではないか。
その列車から見て左側といえば、日本海の側ではなく、太平洋のある側。
そこに並ぶ標識を、幅10センチに満たないのぞき窓から確認しながら運転したければ、これはもう運転席を右側に設けるしかないよね。